社畜が無気力になる瞬間
『――青宮 翼のLVが46へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
『――ミッションを達成しました。レベルアップボーナスが付与されます』
『――青宮 翼のLVが47へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
「はあ、はあ……きつ……」
10時間ダンジョンに潜った青宮が、大の字で寝そべる。
近くにワープポイントが発生した。
これで帰れるわけだが、かなりキツいというのが本音だ。
少しペースを下げようかと思った矢先に、これ。
業界自体もホワイトになろうかという時期に、これ。
第八層はブラック体制のようだ。
しかも敵がどんどん発生するから、休む暇が少ないのもブラック感がある。
(ミッション達成でレベルが上がるのは、かなりデカいな。これなら短期間で強化も可能、か)
しかしながら、この密度の高い内容。
レベル上げには最適だが、体力的には厳しいものがあった。
(ずっと張り詰めているからか、疲れやすくなってるな……)
青宮はそんなことを感じていた。
明日のことを考えると、第七層でいいだろうかとか、そういうことを考えてしまう。
ダンジョンブレイクでの激闘か、今までの積み重ねがそうなったのか、青宮は気持ちが少し弱くなっていた。
「とにかく、戻ろう」
ワープポイントに触れ、受付へと戻る。
そして査定で驚くことになる。
第八層の魔石は極めて高エネルギーを観測されるらしく、1個80000円前後で査定された。
合計、なんと400万を超える。
第八層にて急激な日給のインフレだ。
獅子山改革によって上振れたというのも関係しているだろうが、それにしたって高い。
第七層が関門だけあって、第八層から一気に世界が変わるようだ。
ただ今の青宮は疲労が溜まっているので、感慨よりも休みたいが勝った。
「帰るか……」
☆
自室に戻り、珍しく休暇ということで今日はギルドへは行かなかった。
なんだかなにかをしようという、そんな気力が湧かない。
糸が切れたかのようだ。
ベッドの上で横になり、眠る。
朝食も食べていない。やる気が起きない。
とにかく寝ていたい、ゆっくりしたいという気分だ。
(全てのことがめんどくさく感じるな……)
全身がいつもより、どっしりと重く感じる。
と、ここでインターホンが鳴った。
「誰だ……こんな時に」
めんどくさいなと思いつつ、モニターへ近づく。
画面に映っていた姿に驚き、扉の鍵を開けた。
「こんにちは。青宮さん」
にこやかな笑みを浮かべた姫咲が、そこにいた。




