石化の瞳
ワープポイントに触れ、第八層へ移動する。
混沌とした紫の、床と壁が広がる、不気味な雰囲気のダンジョンであった。
石とも金属とも違う、硬い皮膚のような質感だ。
中は薄暗く、視界はやや悪い。空間は広く、城の中にいるかのようであった。
心なしか息苦しく、空気が淀んでいる。
そんな中で、ズズズズズ、と不気味な音が上からして、青宮は見上げた。
「さっそくお出ましか」
ミッションの内容を確認する暇すら、与えてくれないようだ。
天井から生えてきたのは、紫色の皮膚に包まれた大きな目玉であった。
全長は3メートルほど。人間の眼球と同じ色合いで、中心部が黒く、それ以外は白かった。
眼球は空中を滑るように移動し、瞳を赤く光らせる。
瞬間――バキバキ、という音と共に右足が石化し始めた。
灰色の石肌が足の先から徐々に広がり、浸食していく。
「っ!?」
不思議と痛みや妙などはない。
体が石に変化しているわけではなく、表面に石が形成され、広がっていくイメージだ。
だが、こんなものに覆われたら死は確定する。抜け出せる保証はない。
それに自身の体が変化しているように思えて、本能的に恐怖が湧いてくる。
「時間はないか……!」
ベルセルクの炎で空を飛び、眼球へ距離を詰める。
斧を振り下ろすも、眼球はするり、するりと横へ移動し、巧に回避した。
その間、眼球は赤く光る眼をガン開きして、ずっと青宮を見つめている。
石化が右足の膝にまで浸食していく。
「逃げられると思うな――フレイム・ストーム!」
赤熱とした風が、眼球を襲う。
近距離で放たれた範囲攻撃に、眼球は対応しきれず命中。
怯んだところへすかさず接近し、斧を一閃した。
「――」
眼球は切り裂かれ、その場で魔力となって消えていく。
紫色の玉のような魔石が、ごとん、と地面へ落ちた。
青宮は地上へ着地。パラパラ、と石は剥がれて落ちていった。
「一度崩せば脆い敵のようだが……確定の石化は厄介だし怖いな」
青宮はそんなことを考えながら、メニューを開く。
そこにはミッションが記載されていた。
『――クリア条件:ダンジョン内で10時間生き残る』




