青宮さんをとっちゃいますからね
夜。徹底的に己を追い込んだ樹は、ベッドへダイブした。
「ふぁ~~~……なんとか生き残った」
全身が痛むのを感じつつ、携帯を手に取る。
青宮からはまたメッセージを送られていて、ドキっとした。
(……心配してくれてるんだよね)
申し訳ないのと同時に、気にかけてもらえているという喜びの気持ちが、混在した。
なので、ちょっと上機嫌そうに返信をする。
ただ気になったのは、姫咲からも新たにメッセージを送られていたこと。
なんだろうと確認すると――驚くべき内容であった。
――青宮さんのこと、樹さんがいない間にとっちゃいますからね。
「っ!?!?!?」
樹は思わず、がばりと起き上がった。
「ななななな、なんですとぉ!?」
素っ頓狂な高音が出た。
☆
朝礼を終えた後、スマイル・アドベンチャーの事務所でメールを確認していた。
獅子山が色々動いているので、今後のことや変更事例が大量に送られており、いちいちそれにサインしなくてはならない。
「めんどくさ……」
青宮はぼやきつつ、終わった頃には11時となる。
眠くなって、欠伸をした。
「なんか、疲れたな」
珍しくそんなことを呟きつつ、青宮はソファの上で横になった。
ふと、携帯の画面で樹とのメッセージ画面を見る。
「樹は大丈夫だろうか……」
何日も顔を合わせないのは、はじめてのことだ。
青宮は携帯を机の上に置いた後、眠りに落ちた。
☆
「うぅ……?」
「ふふふ。おはようございます、青宮さん」
「っ!?」
姫咲の声がして、がばりと起き上がる。彼女は机の上にノートパソコンを置き、なにか作業をしていた。
青宮の体にはタオルケットがかけられている。
時刻は17時。
どうやらがっつり眠ってしまったようだ。
「し、しまった……俺としたことが」
「可愛らしい寝顔でしたよ」
「わ、悪い。つい」
「いいんですよ。無茶しすぎなんです、青宮さんは。たまには休みましょうね」
「う……そうだな」
がっつり眠ってしまったので、言い返せない。
(休むのは重要なんだな……)
自覚がないだけで、疲れが溜まっていたのだろうと、痛感する。
「樹さんは、青宮さんのために頑張りたいんですよ」
「え?」
「ダンジョンブレイクの時、私もなにもできなかったので……役に立ちたいんだと思います」
「それは……」
青宮が口ごもる。
姫咲は複雑な胸中となった。
眠りにつく時、青宮は携帯の電源を入れっぱなしだったので、スリープに入る前の画面が姫咲の目に入ったのだ。
樹とのメッセージ画面であったので、心配しているのだろうと、すぐにわかった。
同時に、気になっているということも。
だから、青宮の普段が少しでも軽くなればと思い、おそらく、今樹が考えていることを教えた。
だけど乙女心としては、そうすることに、強い抵抗感もある。
姫咲は立ち上がった。
「……コーヒー、入れてきますね」
「あ、ああ。ありがとう」
どうせならゆっくりするかと思い、青宮は返事する。
姫咲は少し、しょんぼりしていた。




