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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第五章「最強の冒険者」

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バーサーク・コング

「おいおい。さっきのゴリラの親か?」


 冗談を口にしつつ、舌打ちをする。

 体にはまだ痺れが残っているのだ。万全とはいえない。

 そこでこの連戦だ。

 赤い毛の巨体が、青宮めがけて駆けてくる。


「ウホォォォォっ!!!」


 空気を震動させる大きな咆哮。

 新たなボス、バーサーク・コングの右腕に、黒い闇属性の魔力が発生する。

 漆黒の右ストレートを、青宮めがけて放った。

 青宮は素早く上空へ飛んで、それを回避。

 ブオンッ! と重たい風切り音が地上で放たれた。

 バーサーク・コングはそのまま連続パンチを撃つ。

 青宮はベルセルクの炎を使い、なんとか避け続けた。

 移動しながら、∞ウェポンに魔力を溜めていく。


「カオス・クレイブ!」


 ずどんっ!! と、ダークブルーの炎と斧の一閃を、バーサーク・ゴリラの右腕めがけて放つ。

 パンチを避けたすれ違いざまだ。

 バーサーク・ゴリラは右腕が切り裂かれ、痛そうに腕を引っ込める。

 瞬間――ちくり、と。

 今度は、右足に痛みを感じ、細い針が刺された。


「っ、また――」


 痛みの方へ視線を向けると、バーサーク・コングを小さくした、子供のようなサルが笑いながら草陰へ逃げて良く。

 憎たらしい。

 そう思いながらも、青宮の全身に電撃が走り、感覚が鈍っていった。


「くそ、めんどくせぇな」


「ウホオオオオオ!!!」


 バーサーク・コングが左腕のストレートを放つ。

 それも空中を飛び回り、間一髪のところで避ける。

 体の麻痺のせいで、斧を上手く触れない。


(時間を稼げば――)


 空中でポーションを使いつつ、バーサーク・コングの拳を避け続ける。

 右腕は先ほどの一撃で使いものにならないのか、振るうのは左腕のみ。

 それならば攻撃の間隔も短くなり、出所もわかるやすく避けやすい。

 しかしそれでも、万全に動けないのは青宮も同じ。

 時間にして数十秒の攻防。

 だが、青宮にとってはひどく長い時間に感じた。

 やがてポーションが効いて、体の痺れがとれていく。

 左拳を回避した後、前へと飛び出した。

 ∞ウェポンを握り、スキルを放つ。


「――カオス・クレイブ!」


 青い炎による一閃が、バーサーク・コングの胸を焼き、斬る。

 縦にぶった切られた思い一撃は、バーサーク・コングの悲鳴を奏でた。


「ォ、オオオオォ……!」


 バーサーク・コングは地面に背中から倒れる。

 動かなくなった後、その体は消えて魔石となっていった。


『――青宮 翼のLVが44へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


「くそ、あのクソサルめ……」


 地面へ着地した後、刺さった針を抜きながら、影山は毒づく。

 木陰から例のサルが現れることは、なかった。

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