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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第五章「最強の冒険者」

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第七層ボス

「……?」


 警戒しながら前へと進むも、なにも起きない。

 辺りは静まり返っていた。


「ボスフロアじゃないのか?」


 意味ありげな空間なだけで、なにもない可能性が高い。

 この辺りでも、事前情報がないことが牙をむく。

 命のやり取りの場において、先がわからないというのは恐ろしいことだ。

 ダンジョンブレイクでも経験したが、今まで事前情報ありだったが故に、大きなディスアドバンテージを感じる。


「っ、いてっ」


 チクリ、と左手に痛みを感じた。

 刺さっているのは小さな針。

 全身に痺れが走り、体の感覚が鈍くなっていく。


「くそ、またこの手口かよ!」


 しかし木陰には、ブロウガン・モンキーも姿はない。

 なにが起きているのかがわからないものの、ここで立ち止ってスタンするのはまずいと判断。

 ベルセルクの炎で空へ飛び、ポーションを使った。

 それでも全身の痺れがすぐにとれず、鈍った感覚のまま∞ウェポンを握ることになる。


「ステルスか……?」


 冒険者でも姿を消すスキルがある。

 その類を使われているのかもしれない。

 大抵、その手のスキルは気配や殺気は消せないはずだが……今回は、足音1つすら聞こえてこなかった。

 炎で出来るだけ早く動き回りながら、地上へ着地。

 そこで攻撃魔法を解き放った。


「――ウェーブ・ストライク!」


 大きな波が、開けた平地に叩きつけられる。

 瞬間、太い声が上がった。


「ウホゥ!?」


「あいつか」


 波から現れたのは、全長2メートルほどのゴリラ――アサシン・コングであった。

 どうやらこいつがボスのようである。

 しかし青宮はまだ、体に痺れが残っていた。

 先手を打ったのは、アサシン・コングの方だ。

 動きの鈍る青宮に向けて素早く距離を詰め、右拳をふるう。

 青宮は斧をかざしてそれを正面から受け止めるも、スタンで下がるパワー故に、わずかに押し負ける。


「うぐっ!?」


 どすっ、ドスン!! と、連続で放たれるパンチとキック。

 さばききれず、青宮のボディにも肉薄が入っていく。

 拳は骨が軋み、蹴りで生々しい痣を増やしていった。

 蓄積されていく体へのダメージ。

 だが、時間の経過と共に、ポーションの効果によって痺れがとれていく。

 そしてアサシン・コングの動きを見切った青宮は、カウンターで斧を一閃した。


「ウホゥ!?」


 悲鳴を上げたアサシン・コングが、攻めから一転して後ろへ跳んで下がる。

 胸には大きな傷が刻まれた。

 睨み合う両者。

 共にダメージは蓄積されている。

 そして同時に前へと飛び出し――すれ違った。

 鋭く、素早く振り下ろされた∞ウェポン。

 その一閃はアサシン・コングの腹を裂き、致命傷となった。

 ばたりとその場に倒れ、その体が魔石へと変わっていく。


『――青宮 翼のLVが43へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


 青宮はふう、と息を吐いた。


「よりにもよって、初見殺しみたいなやつが情報不足とはな――」


 ポーションを使い、傷を癒す。

 しかしその瞬間、ごおおおおお! という音と共に、赤い魔法陣が現れた。


「っ!?」


 青宮は慌てて武器を構える。

 魔法陣から現れたのは――アサシン・コングと同じゴリラの外見をしたモンスター。

 しかしその全長は、6メートルを超えていた。

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