ボスフロア前
ギルドマスター会議を終えた青宮は、ダンジョンへと向かった。
(気まぐれで退いてもらって、助かったっていうのが現状か……)
街を歩きながら、そんなことを思う。
ほんの少しだけだったが、桐澤と戦ってわかった。
向こうの方がおそらく、実力が上だ。
しかも桐澤はまだ、本気ではなかっただろう。
強力なスキルの1つや2つ、あるに違いない。
そしてあの女は平気で、気に入った冒険者を堂々と殺そうとするのだろう。
圧倒的な力を持つだけに、そんな暴挙が看過される。
猛獣のような人間が圧倒的なエースとは、頭の痛い話だろう。
ましてや彼女は、日本内にとどまらず国外含め、トップだと推定されている。
冒険者業界は、好戦的な彼女に振り回されているのだ。
(ここで能力を叩き上げないと、あの女になにされるか、わかったもんじゃないな)
受付を済ませ、青宮はワープポイントで第七層へと入る。
ブロウガン・モンキーに気をつけつつ、ゴーレムを狩っていく。
これまでのダンジョンとは違い、体力をしっかり削られていくのをしっかりと感じた。
それでいて、気を抜けば一気に終わるという緊張感がある。
ブロウガン・モンキーの麻痺効果は強力だし、ゴーレムの攻撃力も高い。
これまでにない緊迫感があった。
初期の頃に似たギリギリの戦いだ。
ダンジョンブレイクで大幅に力をつけてこれなのだから、やはり第七層はいきなり難易度が跳ね上がったと実感する。
現に職員から聞いた話によると、第七層へ潜っているのは1パーティーしかいないのだという。
上級者でも第六層で留まるのだという。
青宮は安定してゴーレムを撃破しているが、そもそもこのゴーレムも第六層と比べると強力なモンスターだ。
普通ならばこの時点でつまづく。その上、ブロウガン・モンキーという厄介な奇襲型モンスターが湧く。
大きな壁として立ちはだかるのは、納得の難易度だ。
「ん……? この先、開けてるな」
森がなく、目の前には平地が広がっている。
その先にはまだなにもいないが、おそらく、ボスフロアだろうと考えた。
「うし。いくか」
時刻は19時。
青宮は少し休憩を入れた後、ボスフロアへと足を踏み入れた。




