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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第五章「最強の冒険者」

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トップの実力

「あなたは――桐澤さん!? 帰国していたのですか!」


 女性にしてナンバーワンという座を獲得しているからか、猪塚は敬意を抱いているようで、真っ先に声を上げる。

 その声音は嬉しそうなものであったが、桐澤はそれを全く相手にしようとせず、ズガズガと会議室の中へ入り、青宮の座る席へと向かう。


「お前か? 青宮 翼ってのは」


「……さあ、どうだろうな――」


 返事を待たずして、桐澤はアイテムボックスから180センチを超える大剣を取り出す。

 目にも止まらぬ、圧倒的な速さでの振り下ろし。

 強い身の危険を感じた青宮は、瞬時に∞ウェポンとベルセルクを発動。

 ズドオオオオオンっ!!! という音と共に、∞ウェポンと大剣が衝突した。

 その衝撃と風圧だけで、周囲の机や椅子が吹き飛ぶ。

 ギルドマスター達はバランスを崩し、会議室の壁へ叩きつけられた。

 まるで唐突にやってきた、竜巻のような災害である。


「っ! お前、いきなりなにを……!」


「いいねぇ、まずは合格点だ。オレはねむてー前戯なんかしねぇからよぉ。いきなり激しいから、覚悟しとけよぉ」


 ギギギギギギギギ、と競り合うも、徐々に青宮が押し込まれていく。

 桐澤は信じられないくらいのパワーであった。

 攻撃力の高い青宮ですら、真っ向勝負で分が悪い。


「おいおい、どうしたぁ? あんまりガッカリさせんなよ。このくらいで果てちまうつもりかぁ?」


「黙れ……!」


 ギルドマスター達は身動きがとれない。

 目の前の強者と強者の戦いは、それほどまでに絶対的な“力”があった。

 歴戦の彼らだからこそ、その異常な“質”を感じとることができる。


(こんなところで戦うわけには……!)


 どうにか抑えられないかと、青宮が逡巡。

 と、ここで獅子山が横から言葉を挟んだ。


「エース。頼むから、その剣をしまってくれないかい」


「あぁ? おめーが大将になったのか。まあ、所詮は茶番だし誰だろうと同じだが。ってことは、そろそろ時期か。くくくくっ」


「時期?」


「この様子じゃ、誰も辿り着いてねーってか? そういや、なんかお前ら面白そうなことを話し合っているじゃねーか」


 桐澤が大剣を引く。

 青宮は腕が痺れて、斧を降ろした。


「なにか知っていそうだな」


 青宮の問いかけに、桐澤は肩をすくめた。


「知ってるんじゃねぇ。たどり着いたんだ。冒険者ってのは、テメーの力で謎を解き明かすもんだ。情報共有なんざ、ねむてーことはしないぜぇ?」


 桐澤はにやり、と笑みを浮かべる。


「オレが求めてんのは、本能剥き出しのヤリ合いだ。全てを賭け、生を散らし、勝者と敗者を決める。理性ぶっ飛ぶヒリヒリした殺し合いこそが、最高のゲームってもんだろ?」


(イかれてるな……)


 警戒する青宮に、桐澤はふんと鼻を鳴らす。


「なにスカしてんだ。テメーもオレと同類だろ? 見りゃわかる。匂うんだよ。朝から夜中まで、激しくヤリ合っている顔をしている。わかるだろ? ダンジョンでアガれる奴ってのはなぁ、イカれてる奴なんだよ。認めろよ。本当は、同類と会えてギンギンに興奮してんだろ?」


「死ね。お前みたいなイカれビッチと一緒にするな」


「はっ! 素直になれねーってか? まあ、いいさ。その内自覚が出んだろ」


 桐澤は背中を向けた。


「テメーとの戦いは、後回しにしてやるよ。それまでせいぜい、興奮しながら待ってなぁ」

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