ナンバー1の帰国
「みんなに見てほしい映像がある。結論から言うと、荒木 貞雄が何者かの襲撃によって、留置所で殺された」
獅子山の言葉に、ギルドマスター達がざわついた。
無理もない。
貞雄はギルドマスターの名にふさわしい、実力者なのだ。
それがこの口ぶりからすると、単独犯によって殺されたということになる。
信じがたい話であった。
青宮の隣に座る新人ギルドマスター、神崎 緑輝も驚いた声を上げる。
「本当の話なのでしょうか……これはニュースですね。ところで、青宮さん。今度我々のチャンネルに、ゲスト出演してみませんか!?」
「ちょっと静かにしててくれ」
前のギルドマスターと全く同じことをしている。辟易とした。
このマインドによって前任者は死亡したわけだが、そういうのを理解していないようだ。
あの戦場を経験しているというのに。かなりのアレなのだろう。
獅子山がパソコンを操作し、プロジェクターを起動。
スクリーンに襲撃の映像が流される。
例のりりかと名乗った少女が、素手で貞雄を殺害した場面。
会議室がさらなるざわめきが生まれた。
「不意打ちとはいえ、あの荒木 貞雄を武器なしであっさり仕留めた。かなりの実力者である可能性が高い」
「ソンナニスゴイ、ボウケンシャガ、イルノカ?」
ホセの言葉に、獅子山は首を横に振った。
「データベースと照合したが、該当する冒険者はいないとのことだ」
「では、何者だというのですか?」
猪塚が問いかける。
巨大ナメクジとの戦闘を見たせいか、猪塚は獅子山を以前と比べると実力を認めた節があり、当たりが若干柔らかくなっている。
「不明だ。謎の力を持つ少女、としか言えない」
ダンジョンブレイクといい、次々とトラブルが起きる。
貞雄を倒せるほどの力の持ち主を、協会が把握していない現状。
ダンジョンなしで、どうやってここまでの力をつけたのか。
そもそもダンジョンがなければ、ステータスすら得ることができない。
さらにいうと、わざわざ荒木 貞雄を手にかけた理由も不明である。
この少女は一体なにが目的で、何者なのか。
(わからないことだらけだな。いつも情報戦で出遅れている)
そもそも前回のダンジョンブレイクも、まるでこちらの内情を知っているかのような現象が多かった。
ダンジョンについて、わからないことが多すぎる。
誰もが度重なる事態に困惑し、恐怖していた時であった。
ばたんっ!! と、会議室の扉が乱暴に開けられる。
そして室内に、戦意剥き出しの獰猛な女性の声が響いた。
「青宮 翼、いるかぁ? オレとヤろうぜ、なぁ?」
帰国した、日本のナンバーワン冒険者――桐澤 揚羽である。




