新体制でのギルドマスター会議
「というわけで、今日はギルドマスター会議へ行ってくる。なんか伝えてほしいこととか、あるか」
朝礼時。青宮の言葉に、スマイル・アドベンチャーのメンバーが首を横に振る。
だが、白井が手を上げた。
「樹ちゃんは、大丈夫そう……?」
「まあ、返信は来ているから、生きてはいる。本人はあくまでも、旅行と言い張っているな」
「ダンジョンブレイクで、力になれなかったこと、気にしてたから……どうしちゃったのかな」
青宮としても、かなり気になる問題だ。
突然の旅行。しかもこのタイミングで。
なにか隠していそう、と勘繰るには十分な状況であった。
「メッセージは送って、でも、そっとはしておこうと思っている」
「……青宮くんは、それで大丈夫?」
「まあ戻ってきたら、色々聞くかもしれない」
正直、動揺はしている。
なぜなにも明かしてくれないのかと、モヤモヤが強い。
それでも、今はそっとしておくしかないと、理性で我慢した。
「……リーダー。俺の処遇はどうするんですか」
と、ここで今日から復帰した荒木が問いかけてくる。
彼はダンジョンブレイクで無断離脱という問題行動をした身だ。
処分の是非を問うのは、自然である。
しかしその動機は兄を止めるための行動。
スマイル・アドベンチャーや冒険者業界を貶めるためのものではない。
深くは攻められないと、青宮は思っていた。
とはいえ、作戦での勝手な行動はNGだ。
ましてや自衛隊という秩序ガチガチな組織が絡んでいる、大規模な作戦である。
なので、短期間の謹慎と反省文の提出などをやってもらっていた。
「俺はもう、ここまでで良いと思うが。みんなはどうだ?」
特に反対意見は出ない。
「じゃあ、荒木さんは復帰ってことで、よろしくお願いします」
「わかりました」
青宮達は各々の仕事をこなすため、事務所を出た。
☆
いつも通りの会場であるが、ここ最近のドタバタによってメンバーが変わっている。
上座には新会長である獅子山が座り、死者が出たギルドマスターは組織をそのままに、新しいギルドマスターが座っている。
また、獅子山は衰えた体でスキル”風神”を使用した後遺症により、左目を失明。片目は眼帯によって覆われている。
次、スキル”風神”を使うことは、大きなリスクを伴う。
獅子山はもう、本気を出して戦うことは不可能となった。
「会議の前に、新任のギルドマスターからあいさつを頼む。では、君から」
ガタ、と眼鏡をかけた、半分の髪を緑色に染めたチャラい男が立ち上がる。
「キラキラキラ~~~☆ どうも! 一番星よりも輝く原石、神崎 緑輝です! 風間さんに代わり、バズり☆シーカーズのギルドマスターとなりました! 目標は年内、フォロワー100万人です! よろしくお願いします!」
パチパチ、とまばらな拍手が起きる。
そしてもう1人、転職のCMにでも出て来そうな、きっちりとした見た目の若い男が立ち上がった。
「冒険者団体ネクスト・イノベーション、右田 終です。風間さんに代わり、代表へコミットしました。プロセスに革新をもたらし、業界をドライブしていこうと考えております。よろしくお願いします」
パチパチ、とまばらな拍手が起きる。
(驚くほど同じようなやつが出てきたな……デジャブ……)
層の厚い業界だと、青宮は思った。
悪い方向で。
獅子山が周囲を見渡し、会議開始を告げる。
「では、新体制初のギルドマスター会議を、開始しよう」




