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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第五章「最強の冒険者」

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EXダンジョン

 青宮達に旅行へ行くと偽り、樹は四ノ宮元会長と会う決意を固めた。

 指定された駅を降りる。時刻は13時だ。

 改札口に駅員がいないくらい、閑散とした田舎である。

 そして駅前の道路にて、やたらと目立つ黒塗りの大きな高級車が停まっていた。

 近づくと、窓が開いて四之宮が中から微笑んでいる。


「ごきげんよう、樹 小春さん」


「……どうも」


 樹は警戒しながらも、車に乗る。

 中には四之宮、運転手以外には誰も乗っていない。

 車は静かに発車した。


「どうして、私にダンジョンの紹介を?」


 樹は問う。四之宮の誘いは、公表されていないダンジョンを好きに使っていい、というものであった。

 なぜ、そんなものがあるのか。

 なぜ、それを樹に提供するのか。

 疑問はつきなかった。


「わたくしの目的はいつだって、同じです。冒険者業界の発達。強き冒険者の育成。あなたの力が必要だと、判断したまでです」


「……」


「それでも、わたくしを信用できませんか?」


 樹は肯定も否定もしなかったが、答えは明白だ。

 強くなれる――そのためなら、なんでもするつもり。

 だが、四ノ宮が全く信用ならないのが現状だ。

 正直、今この瞬間も身の危険を感じていて怖い。

 しかし青宮のところへ辿り着くには、合法的な手段では無理なのだ。

 四ノ宮が強くなる近道を用意してくれるのならば、それにすがりたい。


「ならば、見るのが早いでしょう……着きました。この平屋です」


 家がまばらに建築されているところ、その内の1つである平屋の前に車が停まる。

 こじんまりとした、ごく普通の平屋だ。

 車を2人で降りると、四之宮が告げる。


「この家の中に、EXダンジョンへのワープポイントがあります」


「っ!?」


「ここをお好きに使っていいですよ。必要なものがあれば、言ってください。すぐに用意させますので」


 四之宮が家の中へと入る。樹も恐る恐る、中へと続いた。

 玄関を入って、右に曲がると――家具の置かれていない8畳ほどの和室の真ん中に、次元の黒い歪みがあった。

 ワープポイント。

 間違いなく、ダンジョンへの入口だ。


「嘘……どうして、こんなところに。ほ、報告とか、いいんですか?」


「あなたは今、強くなるために手段を選びたくない状況なのでは?」


「っ!?」


「社会的な制裁が加えられないことは、このわたくしが保証します。なぜならこのEXダンジョンは、長く持ちませんからね。誰にも気づかれず、消える運命です」


「どうして、そんなことがわかるんですか?」


「ふふふ。そんなこともわからないんですね」


 樹が息を飲む。

 存外に、自分が弱いのだと煽られていた。


「わたくしの正体を知っているのは、この日本では2人です。1人が、荒木 貞雄。もう1人はおそらく、桐澤 揚羽です」


「……おそらく?」


「荒木 貞雄に関しては、わたくしから教えたので。桐澤 揚羽――日本のナンバー1に関しては、ダンジョンの“真理”に辿り着いているので、おそらくわかっているのだろうという予測です」


「ダンジョンの、真理……」


 ごくり、と唾を飲む。

 そんなものがあるのかという驚き。

 そしてそこへ辿り着いた人間がいるという、驚きもあった。


「さて。とはいえ、引き返すなら今ですよ。どうなさいますか? 樹 小春さん」


 四之宮は樹を試すように、問いかけた。

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