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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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幕章2「契約」

「くっ……まさかこの私が、タスクを失敗するとは」


 貞雄は冒険者専用の留置場に入れられた後、イラだった様子で室内をウロウロする。

 ダンジョンブレイクの騒動により、後継者候補から犯罪者へと転落。

 全ては冒険者協会を手に入れ、四之宮の力によって、日本を再びアップデートするためであったが、それも無駄に終わった。

 後継者は獅子山となることが、正式に発表されたのだ。

 それは貞雄にとって、耐えられないことであった。


「このままでは、この国はスローダウンし、海外に置いていかれる……なんとか、なんとかしなければ。私が、この国をリファインしなくては……!」


 そんな時であった。

 ズドオオオオオン! と、留置所の壁が強力な爆発によって粉々になった。

 その衝撃で、貞雄が柵に叩きつけられる。


「がはっ!? な、なんだ……?」


 貞雄が破壊された壁を見る。

 そこに佇むのは、少女の姿であった。

 150後半の身長。肩の辺りまで伸びた髪は、右側が黒で左側が紫色だ。肌は白く、つり上がった瞳とあどけない顔立ちながらも、見る者を恐れさせる異端な雰囲気をまとっている。


「ハロー、○ー大柴さんみたいな人♪」


 貞雄が息を飲んだ。


「あ、あなたは……! 支柱が、なぜこんなところへ!?」


「支柱? ああ、アンタ勝手に崇拝してるんだっけ。それで家庭崩壊してるんだから、人間って不思議~」


 警報が鳴り響く。少女は貞雄に告げた。


「アンタさ、助かりたい?」


「っ!? 逃がしてくれるのですか!」


「うん。その代わり、りりかのお願いを1つ聞いてくれる?」


「こ、交換条件ですか。わかりました。アグリーです」


 少女――りりかは、にやりと笑った。


「そう? じゃあ――死ね」


 りりかが右拳を突き出す。

 貞雄も戦士だ。不意打ちだが、瞬時に殺気を察知。

 闇獣モードを発動し、両腕を交差しガードの体制をとった。

 だが、圧倒的なパワーをもつ拳は両腕を貫き、胸も貫いた。

 がはっ、と貞雄は血を吐く。


「バカ、な……!」


「ザーコ☆ お前なんか、もう見放されてるんだって。殺してもいいよって、四之宮様が言ったら、あたしが来たわけ。ドンマイ☆」


「私は、イノベーションを……! あき、らめない!」


「がんばれ~! りりか、応援してあげる☆」


 そう言って、貞雄を思いっきり右腕一本で突き飛ばす。

 今度は柵を捻じ曲げながら、貞雄は叩きつけられた。


「りりか、ザコを殺すの大好き☆ でも、勝手な殺しは怒られちゃうから、もう逃げるね~」


 りりかは通路にある監視カメラへ向かって、血に濡れた両手を振った。


「じゃあね、みんな~。早く強くなってよね! 人類みんな、魔王を倒す勇者候補なんだから!」





 19時。帰り道で樹は1人、ため息をついた。


「はぁ……あんまり上達しないなぁ……」


 ダンジョンブレイクから3日。

 それから休みをとることなく、樹はダンジョンと家を往復する日々を送っていた。

 求めるのは、青宮と並べる強さ。

 だけど樹には、到底その力はない。

 ましてや、青宮と同等となるとかなりのハードルだ。現状、彼の力は低く見積もってもギルドマスター内上位。

 今やトップと評しても、間違いではないだろう。

 下位のギルドマスターにすら及ばない樹が、そこへ辿り着くには真っ当な手段では不可能である。


「――力が、ほしいですか?」


「っ!?」


 聞き覚えある女性の声に、樹は驚いて振り返る。


「私と契約してください。そうすれば、あなた専用のEXダンジョンを用意してあげます」


 笑みを浮かべながら――四之宮 京子は、告げた。

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