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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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決戦

 巨大ナメクジが青宮めがけて光線を放った。

 獅子山の時と違い余裕がないのか、複数の光線をこちらへ向けてくる。


「街をめちゃくちゃにしやがって。この大怪獣」


 空中でベルセルクの炎を噴射し、高速移動して光線を回避。

 強力な魔法攻撃が、休みなく一直線に襲いかかってきた。


「――フレイム・ストーム!」


 大きな熱風の渦が、巨大ナメクジに襲いかかる。

 液体の体を溶かすほどの熱さと威力に怯み、光線が一時的に止んだ。

 青宮はその隙をついて、間合いを一気に詰める。

 そして∞ウェポンへ魔力を送り、ダークブルーの炎を宿した。


「一気に決めさせてもらうぞ」


 カオス・クレイブを発動し、巨大ナメクジを一閃。

 ヌメヌメした体の一部を斬り飛ばし、ダークブルーの炎が断面をさらに焼いた。

 一か所に止まらないようにしながら、動きつつ斧をもう一振り。

 巨大ナメクジの体を着実に削り、大ダメージを蓄積させていった。

 しかし3回目の振り上げをしようとした瞬間――まばゆい光が放たれた。

 巨大ナメクジの体の前で、一瞬にして展開される魔法陣。そこから光線が、至近距離で放たれる。

 回避不可能のタイミングと、距離だ。


「っ、やべ――」


 咄嗟に炎をまとう∞ウェポンを振り、ガードするも大爆発が発生する。

 ふわり、と内臓がせり上がるような、強い浮遊感。

 その勢いは凄まじく、青宮の体を悠々と1キロはふっ飛ばしていった。


「……」


 巨大ナメクジは体を再生しながら、のそのそと進んでいく。

 青宮は全身が痛み、頭から血を流しながら、立ち上がった。


「今のは効いたな……!」


 視界が揺れ、足が震える。

 あと少しガードのタイミングが遅れていたら、もっと悲惨なことになっていただろう。

 だが、ダメージはすでに十分であった。

 痛みがそれほどではないのが、かえってダメな証拠なのかもしれない。

 ごふ、と口から大量の血を吐いた。


「がはっ、ぐっ!? っ、まだだ、限界を、超えろ……!」


 いつもの社畜魂を口にする。

 だが、呼吸を整えた後――青宮は前へと出た。

 そして∞ウェポンへ魔力を送る。

 これまでにないほどの、大量のものを。


「カオス・クレイブの消費MPは、自分が使おうと思った分だけ消費される。そしてその消費量が多ければ多いほど、カオス・クレイブの効果規模はデカくなる。どうしてもバカみたいな質量になるから振りは大きくなるし、動きも悪くなるから、威力が上がるわけじゃないから最大量を使う場面ってのは、中々ないんだが――」


 目の前の巨大ナメクジは再生能力と、強力な光線による火力はある。

 だが、その体は大きく、動きは非常に遅い。

 まさに今回獲得したスキル――カオス・クレイブの出番であった。

 最大出力。

 己のMPを、全て注ぎ込む。


「まあ今のところはざっと――ここまでやれる」


 ズドオオオオオンっ! と。

 巨大ナメクジへ向かう青宮が上へ掲げる∞ウェポンから、ダークブルーの炎によるタワーが出来た。

 それは全長50メートルの巨大ナメクジにすら匹敵するほど、圧倒的な大きさ。

 それを青宮は、両腕で持ち上げ操る。


「……」


 巨大ナメクジくるりと振り返り、光線を放った。

 渾身の一撃が来ると、察知したのだろう。

 これまでの中で、一番太い光線を複数叩きこんでくる。

 今まで見たこともない、圧倒的な破壊力。

 街を1つ吹き飛ばすであろう、巨大ミサイルのような一撃だ。

 もちろん恐怖はある。しかしだからこそ――高揚感もあった。

 心の中で、確信があるのだ。積み上げてきた経験が、叩き上げたステータスが、磨いた技が、このバケモノによる圧倒的な力の前に、対抗出来るのだと。

 青宮はにやりと笑い――超巨大なダークブルーの炎を、上から下へ振り下ろす。


「これが俺の、全力だ! いっけええええええええええ!!!」


 火山の噴火のごとく、凄まじい爆音が目の前で弾けた。

 光線と炎がぶつかり合う。


「っ、おおおおおおおお!」


 強力な抵抗。光線も複数集まっている。1つ1つが上級魔法級の威力だ。

 それでも青宮は高い攻撃力によるパワーで、∞ウェポンを振り下ろす。

 光線は呑み込まれ、破壊され、巨大ナメクジの体全体を炎が覆う。

 ゴゴゴゴゴゴゴ! と、炎のタワーはその怪獣を包み込み、焼き消していく。

 天へ向かって発射される噴水のように、炎の塔が大規模に形成。

 圧倒的質量の炎が、巨大ナメクジの再生すらも焼いていった。

 青宮にとってそれは長い、長い時間に感じた。

 やがて青い炎が晴れたそこには――巨大ナメクジの姿は、なかった。

 修正されることもなく、激戦によって出来上がった、超巨大クレーターの数々が、残っている。

 辺りはまるで、巨大隕石が複数落ちて来たかのように、ボコボコだ。


「っ、やった、か……」


 MPをありったけ注ぎ込んだ青宮は、その場で倒れる。

 全身の力が抜け、意識も遠のいていった。

 しかし戦場はこれで、完全ある落ち着きを見せる。

 敵勢力なし。モンスターの魔力反応も、ダンジョンブレイクも消滅している。

 戦いは、冒険者サイドの勝利となった。


『――青宮 翼のLVが40へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが41へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』

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