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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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彼は立ち上がる

 ダンジョンブレイクの外で待機していた部隊が、巨大ナメクジを観測次第、輸送発射機で弾道ミサイルを発射した。


「撃て、撃てー!」


 ダンジョン産の材料で作られたミサイルは、モンスターに対しても強大な力を発揮する兵器だ。


「……」


 ナメクジの目の前に、紫色の魔力が集まる。

 瞬間――世界が、光った。

 紫色の光線がレーザービームのごとく放たれ、ミサイル全てに襲いかかる。

 ミサイルは空中で全て、ほぼ同タイミングで大爆発した。


「「「は……???」」」


 あまりに規格外な破壊力に、戦場の士気が一気に低下する。

 さらに……ナメクジの触覚が、紫色に光る。

 真っ直ぐに光線が放たれ、10キロ以上離れている輸送発射機を木っ端みじんに破壊した。

 光線の軌道上にあった高層ビルや、マンションも跡形もなく消えている。

 絶望が戦場を駆けめぐった。


「無理だ……」


 誰かがそんなことを呟いた。


「こんなの、勝てるわけがない」


「バケモノだ……」


 そして自衛隊の隊員の1人が、冒険者へ向けて叫んだ。


「なあ、お前達なら――倒せるんじゃないのか!?」


 震えた声で、すがるようにそう言い放つ。


「こんなこと言うの、すごく悔しいし、情けないけどさ!? だけど冒険者なら、ああいうバケモノと戦ったことがあるやつが、いるんじゃないのか!」


 しかし冒険者サイドが黙り込む。

 ここにきて、冒険者の質の荒さが出た。

 他国と比べ出遅れている、というナンバー1の評価は間違っていなかったのだ。

 突出した人間がいない。圧倒的な力を持った人材が出来上がっていない。

 だが――1人の男が立ち上がる。


「ま、俺がいくしかねーよなぁ。やれやれ、だが」


 ナンバー2と呼ばれた男、獅子山 志郎であった。

 彼はアイテムボックスから取り出した、1つでウン千万は超えるポーションを使い、完治している。

 巨大ナメクジが放つ魔力は強力で、みんなはまともな精神を保つのもやっとだ。

 だが、獅子山は違う。

 毅然と、真っ直ぐに立って敵を見据えている。

 しかし――乾は声を上げた。


「……でも。あなたは、震えていますよ」


 トリニティ・ワイバーンへ立ち向かった時もそうであった。

 獅子山は肩をすくめる。


「そりゃあ、怖いさ。若い時は勢いがあったけど、年をとった。本当は行きたかないさ。だが、他にいない。仕方ないだろう」


 青宮が立ち上がって前へ出ようとするが、獅子山はそれを制した。


「青宮。ここは俺に、任せてくれないか。君に行かせて全てを解決してしまうと、冒険者協会の立つ瀬がない」


「……いけるのか。今のあなたに」


 獅子山はうーん、とナメクジを見上げる。


「まあ、ナメクジ一匹に滅ぼされたなんて、シャレにならないからね。なんとかしてみせるよ」


 冗談みたいなことを言っているが、余裕がないのは明らかであった。

 ナンバー1の桐澤 揚羽と違い、自信がない。

 それほどまでに、年齢による衰えを感じているのだろう。


「……ムボウダ。アンナバケモノ、タオセナイ」


 ホセをも弱気にそんなことを言う。

 しかしそれでも――獅子山は迷わない。


「なら、ホセはそこで見ていてくれ。俺を頼りないと散々言ったんだ。ここで結果を残したら、さすがに認めてくれるだろ?」


「……ノコセレバ、ミトメル」


「頼んだぞ。君の影響力も、中々だからね」


 獅子山は2対の一本、右手に持った剣をかざした。


「冒険者協会ナンバー2。獅子山 志郎。でっかいナメクジさんを、いっちょ駆除してくるよ」

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