VS青宮 翼
青宮は立ち上がりながら、偽物が放った言葉に反論する。
「心外だな。運が良いのはたしかだが、釣り合うための努力をしてきた。大体お前こそ、俺と∞ウェポンが積み上げたもののコピーだろ。自分の努力でなにかを掴んだことがないやつに、得た物に対しての運の是非を説かれても、信用性がない」
「くくく、反論が出来ないから論点をズラそうと、必死だな」
「まあでも、わかりやすいよな。言葉は不要だろ。同じ∞ウェポン同士。これで勝った方が、少なくとも青宮 翼より上なんだからな」
「はははは! ちげーねぇ!」
(絶妙に性格は俺っぽくないな、こいつ……)
偽物が左腕を前にして、魔法を放つ。青宮も同時に、上級魔法を放った。
2人の声が重なる。
「「――ウェーブ・ストライク!」」
ゴオオオォ!!! と、大きな波が2人の前から飛び出し、ぶつかり合う。
大質量の波と波が干渉を起こし、より大きな波となって弾け飛ぶ。
まるで真ん中で大きな爆発が起きたかのよう。
青宮は後ろへ大きく飛び、波の余波をやり過ごす。
自身の飛んだ下で、川の氾濫のごとく水が流れていった。
「あいつはどこだ……?」
偽物の姿がどこにもない。
そう思った瞬間であった。
「ここだよ、ザコがぁ」
「っ!」
背後に殺気を感じて、慌てて振り返り斧でガードするようにかざす。
ドごんッ! と受け止めるも、衝撃で青宮は床へ叩きつけられた。
硬い床が体をしたたかに打ちつけ、強烈な衝撃が全身に走る。ステータス補正がなかったら、ひとたまりないだろう。
「っ、くそっ……! またか……!」
青宮は背中が痛むのを感じながら、立ち上がる。
偽物は足から炎をブースターのように噴射し、空を飛んでいた。
(あんな使い方ができるのか。俺のコピーというよりは、∞ウェポンのコピーということか?)
「ははは、お前より相棒を使いこなせているのを見て、絶望したかぁ?」
青宮は鼻で笑った。
「まさか。むしろ俺のコピーじゃないってことがわかって、気分が軽くなったところだ」
「俺はお前をわからせる存在だからなぁ。強いのはお前自身じゃなく、∞ウェポンなんだよ、ザコが」
「ザコはお前だ」
瞬間――青宮が偽物へ向かって跳躍。
正面から近づき、斧を一閃した。
だが、それを偽物は同じく斧で受け止める。
偽物は炎を噴射し、青宮を押し込もうとした。
「バカが。俊敏にものいわせたジャンプが、通用しな――」
空中で、青宮突如加速する。まるで後ろから、車で無理やり押し込んだかのよう。
グン、と偽物に強烈な押し込む力がかかり、体勢を崩し――青宮が斧を振り切る。
ズドン! と、今度は偽物が床に叩きつけられた。
「がっ、はぁ……! バカな……!」
偽物は戦士としての意地ですぐに立ち上がるも、驚愕の表情で青宮を見る。
青宮は偽物と同じように、炎をブースターのように使って飛んでいた。
「どういうことだ! ザコには、それができなかったはずだ!」
「見て仕事を覚えろ」
「っ!?」
「これ、社畜の基本な。礼を言うぞ、仕事を教えてくれたことにな」
「て、てめぇ……!」
「コピーのお前には出来ないだろ。なにせ社会に出たことすらない無職だ。元サラリーマンに勝てるわけがない」
「黙れ! 社会の奴隷め!」
偽物が炎を噴射して猛スピードで飛行し、青宮と距離を詰める。
そこから両者は、壮絶な空中戦を繰り広げた。
がぎぃん、がぎぃん! と、何度も斧と斧が交じり合う。
空を飛びながらの白兵戦は互角であった。致命的なダメージにはつながらないが、互いの体に傷を少しずつ増やしていく。
だが――偽物は感じていた。
徐々に青宮に押されているのだ。
(ふざけるな……! なにが見て仕事を覚えるだ! パワハラ野郎め!)
偽物は距離を取り、斧に振り上げる。ダークブルーの炎が、ごおおおおお、と宝石部分から噴き出した。
「こいつでケリをつけてやる!」
「早く勝負をつけようとするとは、自信が無くなったか?」
「黙れ!」
青宮の斧からも、ダークブルーの炎が燃え上がる。
空中で飛んだまま、互いの武器に炎の塊が宿り――共に、前へと出る。
「「――カオス・クレイブ!」」
炎と炎がぶつかり合い――弾ける。
音さえも置き去りにして、大爆発を起こす。
大型ミサイルの後のような黒煙。その中から1人の姿が落下する。
地上へと落ちたのは――偽物の方であった。
青宮は地上へと着地する。偽物は地面に伏せながら、体が消えていく。
「バカ、な。こんな、運だけの、チート野郎に……!」
偽物は恨みのこもった声をもらしながら、消滅。
システム音が、青宮のレベルアップを告げた。
『――ダンジョンブレイク、7つのボスフロアを制覇しました。踏破ボーナスを獲得しました』
『――青宮 翼のLVが37へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
『――青宮 翼のLVが38へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
『――ベルセルクがLV7へ上がりました』
ベルセルク LV7
消費MP50。自己強化スキル。攻撃力、俊敏を110%上昇。魔力、HP、”MP”、防御、精神を20%上昇。効果時間は7分、クールタイム10秒。
「よし。やっと終わったか」
現れたのは、白いワープポイントだ。
青宮はすぐさま、そこへ触れた。
「無事でいてくれよ、みんな」
青宮 翼 男 21歳
LV38
HP 1752→2900
MP 577→955
攻撃 513→877
防御 361→627
魔力 511→875
精神 375→641
俊敏 339→591
∞ウェポン
HP+320→710
MP+170→220
攻撃+210→230
防御+170→220
魔力+210→230
精神力+170→220
俊敏+170→220
青宮 翼 合計値
HP 5415
MP 1763
攻撃 2657
防御 1271
魔力 1658
精神 1292
俊敏 1946




