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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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VS青宮 翼

 青宮は立ち上がりながら、偽物が放った言葉に反論する。


「心外だな。運が良いのはたしかだが、釣り合うための努力をしてきた。大体お前こそ、俺と∞ウェポンが積み上げたもののコピーだろ。自分の努力でなにかを掴んだことがないやつに、得た物に対しての運の是非を説かれても、信用性がない」


「くくく、反論が出来ないから論点をズラそうと、必死だな」


「まあでも、わかりやすいよな。言葉は不要だろ。同じ∞ウェポン同士。これで勝った方が、少なくとも青宮 翼より上なんだからな」


「はははは! ちげーねぇ!」


(絶妙に性格は俺っぽくないな、こいつ……)


 偽物が左腕を前にして、魔法を放つ。青宮も同時に、上級魔法を放った。

 2人の声が重なる。


「「――ウェーブ・ストライク!」」


 ゴオオオォ!!! と、大きな波が2人の前から飛び出し、ぶつかり合う。

 大質量の波と波が干渉を起こし、より大きな波となって弾け飛ぶ。

 まるで真ん中で大きな爆発が起きたかのよう。

 青宮は後ろへ大きく飛び、波の余波をやり過ごす。

 自身の飛んだ下で、川の氾濫のごとく水が流れていった。


「あいつはどこだ……?」


 偽物の姿がどこにもない。

 そう思った瞬間であった。


「ここだよ、ザコがぁ」


「っ!」


 背後に殺気を感じて、慌てて振り返り斧でガードするようにかざす。

 ドごんッ! と受け止めるも、衝撃で青宮は床へ叩きつけられた。

 硬い床が体をしたたかに打ちつけ、強烈な衝撃が全身に走る。ステータス補正がなかったら、ひとたまりないだろう。


「っ、くそっ……! またか……!」


 青宮は背中が痛むのを感じながら、立ち上がる。

 偽物は足から炎をブースターのように噴射し、空を飛んでいた。


(あんな使い方ができるのか。俺のコピーというよりは、∞ウェポンのコピーということか?)


「ははは、お前より相棒を使いこなせているのを見て、絶望したかぁ?」


 青宮は鼻で笑った。


「まさか。むしろ俺のコピーじゃないってことがわかって、気分が軽くなったところだ」


「俺はお前をわからせる存在だからなぁ。強いのはお前自身じゃなく、∞ウェポンなんだよ、ザコが」


「ザコはお前だ」


 瞬間――青宮が偽物へ向かって跳躍。

 正面から近づき、斧を一閃した。

 だが、それを偽物は同じく斧で受け止める。

 偽物は炎を噴射し、青宮を押し込もうとした。


「バカが。俊敏にものいわせたジャンプが、通用しな――」


 空中で、青宮突如加速する。まるで後ろから、車で無理やり押し込んだかのよう。

 グン、と偽物に強烈な押し込む力がかかり、体勢を崩し――青宮が斧を振り切る。

 ズドン! と、今度は偽物が床に叩きつけられた。


「がっ、はぁ……! バカな……!」


 偽物は戦士としての意地ですぐに立ち上がるも、驚愕の表情で青宮を見る。

 青宮は偽物と同じように、炎をブースターのように使って飛んでいた。


「どういうことだ! ザコには、それができなかったはずだ!」


「見て仕事を覚えろ」


「っ!?」


「これ、社畜の基本な。礼を言うぞ、仕事を教えてくれたことにな」


「て、てめぇ……!」


「コピーのお前には出来ないだろ。なにせ社会に出たことすらない無職だ。元サラリーマンに勝てるわけがない」


「黙れ! 社会の奴隷め!」


 偽物が炎を噴射して猛スピードで飛行し、青宮と距離を詰める。

 そこから両者は、壮絶な空中戦を繰り広げた。

 がぎぃん、がぎぃん! と、何度も斧と斧が交じり合う。

 空を飛びながらの白兵戦は互角であった。致命的なダメージにはつながらないが、互いの体に傷を少しずつ増やしていく。

 だが――偽物は感じていた。

 徐々に青宮に押されているのだ。


(ふざけるな……! なにが見て仕事を覚えるだ! パワハラ野郎め!)


 偽物は距離を取り、斧に振り上げる。ダークブルーの炎が、ごおおおおお、と宝石部分から噴き出した。


「こいつでケリをつけてやる!」


「早く勝負をつけようとするとは、自信が無くなったか?」


「黙れ!」


 青宮の斧からも、ダークブルーの炎が燃え上がる。

 空中で飛んだまま、互いの武器に炎の塊が宿り――共に、前へと出る。


「「――カオス・クレイブ!」」


 炎と炎がぶつかり合い――弾ける。

 音さえも置き去りにして、大爆発を起こす。

 大型ミサイルの後のような黒煙。その中から1人の姿が落下する。

 地上へと落ちたのは――偽物の方であった。

 青宮は地上へと着地する。偽物は地面に伏せながら、体が消えていく。


「バカ、な。こんな、運だけの、チート野郎に……!」


 偽物は恨みのこもった声をもらしながら、消滅。

 システム音が、青宮のレベルアップを告げた。


『――ダンジョンブレイク、7つのボスフロアを制覇しました。踏破ボーナスを獲得しました』


『――青宮 翼のLVが37へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――青宮 翼のLVが38へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』


『――ベルセルクがLV7へ上がりました』


 ベルセルク LV7

 消費MP50。自己強化スキル。攻撃力、俊敏を110%上昇。魔力、HP、”MP”、防御、精神を20%上昇。効果時間は7分、クールタイム10秒。


「よし。やっと終わったか」


 現れたのは、白いワープポイントだ。

 青宮はすぐさま、そこへ触れた。


「無事でいてくれよ、みんな」


 青宮 翼 男 21歳

 LV38

 HP 1752→2900

 MP 577→955

 攻撃 513→877

 防御 361→627

 魔力 511→875

 精神 375→641

 俊敏 339→591


 ∞ウェポン

 HP+320→710

 MP+170→220

 攻撃+210→230

 防御+170→220

 魔力+210→230

 精神力+170→220

 俊敏+170→220


 青宮 翼 合計値

 HP 5415

 MP 1763

 攻撃 2657

 防御 1271

 魔力 1658

 精神 1292

 俊敏 1946

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