VS∞ウェポン
激闘をくぐり抜け、6体目のボス撃破後、ポーションを使い猪塚と青宮は回復をしていた。
「ようやく次で終わりか……」
「そうですね」
次のワープポイントは、最後だからか――ドス黒く、禍々しい裂け目であった。
雰囲気でわかる危険さ。見ているだけで鳥肌が立った。
今まで倒してきたボスの中で、もっとも強力な相手が用意されているのだろう。
青宮が裂け目に触れると、その内容に息を飲んだ。
『――最後のフロアは、それぞれ1人での戦闘となります。ワープしますか?』
どうやらタイマンにさせられるようだ。
「猪塚さん、いけますか?」
「ええ。おそらく、片方でも負けたら終わりなのでしょう。必ずや、勝ってみせます」
「……わかった。じゃあ、いきますよ」
2人は裂け目に手を触れ――同時にワープする。
瞬時に、世界が変わった。
空の色と、床の色がダークブルーへと変化する。
そして猪塚の姿はない。
やがて、足音共に現れたその敵に――青宮は不敵な笑み浮かべた。
「ここに来て、最大の敵は自分だとでも言いたいのか?」
やって来たのは、青宮 翼であった。
右手には∞ウェポンを握り、こちらへ向けてゆっくりと歩んでくる。
そして驚くべきことに――青宮と同じ声で、偽物は喋った。
「お前は、弱い」
はっきりと、告げてくる。
「ザコのくせに、勘違いして思い上がるな。ヒーローごっこは終わりだ」
「っ!?」
偽物は煽りながら、青い炎をまといながら素早い動きで駆け出す。
振り下ろされた斧を∞ウェポンで受け止めると、ズドンッ!!! と、目の前で衝撃と金属音が弾けた。
ギリギリギリギリ、と両腕から全身へ押し込まれるような重圧がかかる。
(この力……! 本当に俺の力のコピーなのか!?
「“俺”の力じゃねぇだろ?」
「なに!?」
「お前は覚醒スキルに運よく目覚めただけの、ザコじゃねぇか」
偽物が瞬時に左拳を青宮の胸めがけて放つ。
肺から酸素を吐き出され、ごすんっ、という衝撃音と共に青宮は後方へふっ飛ばされる。
「うっ、ぐっ……! なんだ、こいつ。ただのコピーじゃない……!」
戦い方、動き方が青宮とは異なっていた。
戦闘を熟知した、ベテランの戦士のように――技術のある、柔軟な立ち回りだ。
冒険者として日が浅い青宮にはない、膨大な引き出しの多さを感じる。
偽物は不敵な笑みを浮かべた。
「認めろ、ザコ。お前は弱い。覚醒スキル――∞ウェポンが強いだけだ」
青宮は立ち上がりながら、その表情を睨みつける。
どうやらこの偽物は、こちらが弱いということを、証明したいようだ。




