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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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VS∞ウェポン

 激闘をくぐり抜け、6体目のボス撃破後、ポーションを使い猪塚と青宮は回復をしていた。


「ようやく次で終わりか……」


「そうですね」


 次のワープポイントは、最後だからか――ドス黒く、禍々しい裂け目であった。

 雰囲気でわかる危険さ。見ているだけで鳥肌が立った。

 今まで倒してきたボスの中で、もっとも強力な相手が用意されているのだろう。

 青宮が裂け目に触れると、その内容に息を飲んだ。


『――最後のフロアは、それぞれ1人での戦闘となります。ワープしますか?』


 どうやらタイマンにさせられるようだ。


「猪塚さん、いけますか?」


「ええ。おそらく、片方でも負けたら終わりなのでしょう。必ずや、勝ってみせます」


「……わかった。じゃあ、いきますよ」


 2人は裂け目に手を触れ――同時にワープする。

 瞬時に、世界が変わった。

 空の色と、床の色がダークブルーへと変化する。

 そして猪塚の姿はない。

 やがて、足音共に現れたその敵に――青宮は不敵な笑み浮かべた。


「ここに来て、最大の敵は自分だとでも言いたいのか?」


 やって来たのは、()() ()()であった。

 右手には∞ウェポンを握り、こちらへ向けてゆっくりと歩んでくる。

 そして驚くべきことに――青宮と同じ声で、偽物は喋った。


「お前は、弱い」


 はっきりと、告げてくる。


「ザコのくせに、勘違いして思い上がるな。ヒーローごっこは終わりだ」


「っ!?」


 偽物は煽りながら、青い炎をまといながら素早い動きで駆け出す。

 振り下ろされた斧を∞ウェポンで受け止めると、ズドンッ!!! と、目の前で衝撃と金属音が弾けた。

 ギリギリギリギリ、と両腕から全身へ押し込まれるような重圧がかかる。


(この力……! 本当に俺の力のコピーなのか!?


「“俺”の力じゃねぇだろ?」


「なに!?」


「お前は覚醒スキルに運よく目覚めただけの、ザコじゃねぇか」


 偽物が瞬時に左拳を青宮の胸めがけて放つ。

 肺から酸素を吐き出され、ごすんっ、という衝撃音と共に青宮は後方へふっ飛ばされる。


「うっ、ぐっ……! なんだ、こいつ。ただのコピーじゃない……!」


 戦い方、動き方が青宮とは異なっていた。

 戦闘を熟知した、ベテランの戦士のように――技術のある、柔軟な立ち回りだ。

 冒険者として日が浅い青宮にはない、膨大な引き出しの多さを感じる。

 偽物は不敵な笑みを浮かべた。


「認めろ、ザコ。お前は弱い。覚醒スキル――∞ウェポンが強いだけだ」


 青宮は立ち上がりながら、その表情を睨みつける。

 どうやらこの偽物は、こちらが弱いということを、証明したいようだ。

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