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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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後継者としてコミットするために

(さて、どうしたものか……ん?)


 青宮が思考を巡らせる中、猪塚の右手がピクリと動いた。

 瞬間――工藤の背後に白い杖が現れる。

 その杖が宙を勢いよく舞った後、工※の後頭部へ先端が突き刺さった。


「がはっ!?」


 怯んだところで猪塚が拘束から抜け出す。

 そして空を飛ぶ杖がブーメランのように来たのを、華麗にキャッチ。

 そのまま杖を一閃し、※藤は倒れた。


「※※、※※※※……」


 最後になにかを言っていたが、ノイズがひどく言葉がわからない。

 工※は地面に倒れ、その姿を消していった。

 モンスターと同じ消滅の仕方……やはり、本人ではないようだ。


「意識が戻ったんですね」


 青宮の問いかけに、猪塚はこくりと頷く。


「っ、ええ……なんとか。強さを見せるどころか、あなたの足手まといになっていたようですね。反省いたします」


「お。後継者は諦めるってことですか」


「それとこれは話が別です」


(まあ、そりゃそうか)


 フロアボス撃破により、次のワープポイントが現れる。

 残るは後、3体だ。


「ここから先は、共闘していきましょう」


「それは賛成だが……いけるんですか?」


「ダメージは残っていますが。サポートくらいはやります」


「了解。それなら、頼みましたよ」


 2人はワープポイントへ触れ、次のボスフロアへ進んだ。





「さて、と……みんなと合流しないとな」


 はあはあ、と膝をついて呼吸を整えつつ、震える足で立ち上がる。


「けど、ちと休ませくれ……」


 獅子山はふう、とため息をつく。

 久々のボス戦。そして強敵の相手は全身に響いた。

 ヒリついた戦いの雰囲気も、久しぶりだ。


「若い頃は、こういう戦いに飢えていたんだがね」


 昔は激しい戦いに気分が高揚していた。

 だが、今はそんな感性がない。

 むしろ逆で、戦いは楽をしたいというのが本音だ。


「……ん?」


 ぞわり、と。鳥肌が立った。

 その瞬間。ゴオオオオオオオ! という大きな音と共に、辺りに黒い障壁が一気に展開された。


「っ!? 結界スキルか……!」


 獅子山は慌てて剣を構える。

 だが、警戒が遅かった。トリニティ・ワイバーン撃破の後に、油断をしすぎたのだ。

 ずぶり、と。

 獅子山の胸を黒い剣が貫いた。


「っ、がはっ!? この剣に、黒い結界……荒木 貞雄か!」


 振り返らずとも、自分を刺した人間の名を当てる。

 黒い結界はドーム状の広がり、2人を空から覆い隠している。結界内にドローンは飛んでいなかった。

 計画的な犯行。

 最初から、この結界を使って獅子山を殺害するつもりだったのだ。

 貞雄は澄ました表情を浮かべ、冷徹に告げた。


「あなたごときでは、協会トップのプロセスはこなせない。後継者は、私がコミットします」

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