死神、再来
ドオオオオオン!!! という爆音と、空に大きな爆発が発生したのを樹達も目撃した。
「あれは、ホセだろうか……」
獅子山が風の上級魔法を放ち、ワイバーンを全て撃破した後に呟いた。
戦闘は獅子山が合流したことにより、死者も怪我人もなく進んでいく。
だが、空からそれが現れた――ホセと戦っていたのとは別個体の、トリニティ・ワイバーンだ。
その巨体から放たれる魔力と威圧感は禍々しく、戦場に緊張感が走る。
「また、あのドラゴン……!」
樹が茫然と呟く。
一体どれだけ、絶望的なボス戦がインスタントに現れる戦場なのだろうかと、戦慄した。
そしてある程度は自分のペースで進めることと、事前にインターネットで調べれば情報が出てくるダンジョン攻略が、いかにヌルゲーかということを知る。
現実の戦いには事前情報がなく、理不尽なのだ。
こちらのレベルや戦力など、考えてはくれない。
「俺がいこう」
獅子山が宣言する。
彼のギルドメンバーが止めるにはいるが、獅子山は首を横に振る。
「他にやれる人材がいない。青宮が不在なのは、ボスフロアへ行ったからだろ? 彼がやられるはずがない」
獅子山の言葉に、乾が頷いた。
「そうです。ただ、柱が一気に消えて、戻って来ないんです」
「おそらく、7つの柱全てをやらされているのだろう。海外で、そういったパターンも観測されている」
「っ!?」
「大丈夫だ。青宮なら、全て倒して戻ってくるだろう。それよりも、あのドラゴンをどうにかしないといけない」
獅子山は2対の剣を握りながら、前へと出る。
しかし乾は気づいた。
獅子山のその両手は――少しだけ、プルプルと震えていたのだ。
「行ってくるよ。みんな、あとは任せた」
★
3体目のボスは剣を持ったディアボロスであった。
槍と似たようなタイプだったので、真っ向勝負に持ち込んで倒す形で突破する。
動きも3戦目となると、ある程度慣れてくるので、安定して立ち回ることが出来た。さらに経験値も多いようで、レベルも上昇する。
『――青宮 翼のLVが36へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
ダンジョンブレイクは休みなく戦闘になり、強敵とも連戦になるので、レベルは上がりやすい。
この災害の、唯一のメリットと言えることなのかもしれない。
「……さて。次へ行くか」
猪塚を抱えつつ、次のワープポイントへ触れる。
次のダンジョンフロアへ瞬間移動。同じ空間だが――対峙する相手の姿を見た瞬間に、青宮は息を飲んだ。
「なっ……お前は、工藤!?」
「やあ。久しぶりだね」
現れたのは、冒険者狩りをするユニークスキル“死神”を操った男――工藤であった。




