素晴らしきこのブラック業界
壮絶な空中戦は長く続いた。
ドラゴンもトリニティ・ワイバーンも大きなダメージを負い、消耗している。
上に乗るホセも、肩で息をしていた。
「ソロソロキメル」
同じことを敵も考えていたようで、トリニティ・ワイバーンは息を吸い魔力を蓄える。
こちらも魔力を溜めて――ホセは雷魔法を、ドラゴンは雷のブレスを吐いた。
「――ライジンハ!」
すさまじい量と威力の雷が、トリニティ・ワイバーンへ向かって落ちていく。
トリニティ・ワイバーンも、三本の首から炎の海を吐き出した。
強力な上級魔法と上級魔法がぶつかり合ったことにより、空中で爆ぜた。
建物を、ビルを破壊するほどの爆発が起きる。
吹き飛んだトリニティ・ワイバーンは――雷魔法に貫かれ、地面へ落下。
どすんっっっっ!!! と大きな音と共に、ぐったりと動かなくなり、その体は消えていった。
ドラゴンとホセも落下していき、緑豊かな公園へと落ちる。
ドラゴンはダメージによって消えていった。そして彼がクッションになったことで、なんとかホセも生き残る。
しかし消耗が激しく、体のあちこちを焼かれ、激痛が走っていた。
仰向けになって転がり、ホセはポーションを体にかける。
じゅうううう、とポーションが音を立てて蒸発し、焼けた肌に染みていった。痛みで思わず、うめき声が出る。
「ハァ、ハァ……キツイ」
賃金は良いと思っているが、毎日働かされ、命がけで、ホセは思わず弱音をこぼした。
昨日だって、たっぷりダンジョンをしていたのだ。疲労がある。
そこに多くの命がかかわる、大規模戦闘の仕事。
ホセは呟いた。
「ニッポンハ……ブラックダネ」
★
現れたディアボロスは槍を持っていたため、前回の戦闘とは違った展開となっていく。槍は接近戦ながらもリーチが長く、青宮の斧より外の距離にいながらも、休みなく近距離攻撃を放っていく。
襲いかかってくる突きを回避し、槍の軌道を斧で叩いたりして逸らすことで、防御をする。
懐へ入り攻撃をせず、そうして時間を稼ぐ。
手数や近距離戦で攻められる方が、青宮としては確実な勝機を掴めないと判断したのだ。
あまり近づきすぎると、素早い動きで反撃される。
現に近い距離での駆け引きは、ヒヤリとする場面がいくつかあった。
圧倒的に勝てるのは、ベルセルクで増している攻撃力。
真っ向からのパワー勝負だ。
攻防の後――やがてディアボロスは槍へ魔力を込め、その先端に混沌とした闇の力を宿す。
青宮も新たなスキル、カオス・クレイブを発動させた。ダークブルーの炎を武器に宿し、前へ出る。
「さあ、勝負だ」
両者の武器がぶつかり合う。
ズドオオオオオ! と、魔力同士が爆発し――その衝撃が、ディアボロスの体を溶かしていく。
悪魔の大きな鳴き声が木霊しながら、体が消えていく。
そして次のワープポイントが現れた。
間髪入れずに、次のボス戦。
中間の探索エリアとかがない分テンポはいいが、ハードであることには変わりない。
「はぁ、はぁ……まあ、地獄の社畜時代と比べれば、まだまだイケるけどな。休憩は与えられているし」
少し息を整えるために休憩をした後、猪塚を抱えてワープポイントへ触れる。
「よし。次だ」




