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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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ボスフロアに閉じ込められる

 猪塚へポーションを使い、処置をした。

 意識はないが、呼吸はしている。


「まあステータス補正はあるし、無事だろ」


 青宮は猪塚を左腕で樽のように抱え、現れた歪みへ手をふれる。

 そしてシステム音が、メッセージを告げた。


『――次のボスフロアへ進みますか?』


「なに?」


 本来ならばこれで外へ戻れるはず。

 それなのに、ワープポイントが導こうとするのは次のボスフロア。

 考える。ダンジョンブレイクで発生するボスフロアは7つと言っていた。

 つまりこの後、6連戦もしないと出られないということだ。


「おいおい、ふざけんなよ!」


 しかし何度ワープポイントに触れても、答えは変わらない。

 ボスフロアを移動しても、無限ループみたいな感じで同じところへ辿り着く。広い場所ではないのだろう。

 どうやら進むしか、選択肢はないようだ。

 外は戦場だ。早く樹達のところへ戻りたいが……まんまとここへ閉じ込められてしまった。


「くそ。つーか、指定人数2人で7連戦って、鬼畜難易度だろ」


 悪態をつきつつ、ワープポイントへ触れる。

 世界が光に包まれた後――次のボスフロアへ。

 広がる景色は変わらなかった。黒い床。紫色の空。

 だが、敵の姿は見えない。そう思った次の瞬間――殺意を感じ、ゾッとした。青宮は慌てて前へと大きく飛ぶ。

 彼がいなくなったところへ、紫色の長槍を持ったディアボロスが突きを放っていた。

 槍は空を斬る形となったが……ディアボロスはすぐさま、青宮めがけて翼をはためかせ全身。


「ちっ。正々堂々やらない、不意打ちパターンか。悪いが、ちょっとそこで寝ててくれ」


 猪塚を黒い床の上へ寝かす。

 ここからディアボロスと同等か、あるいはそれ以上のボスと連戦となると気が滅入る。ピンチと言ってもいいだろう。

 だが、やるしかないと考えた。

 青宮は∞ウェポンを持ち、ディアボロスめがけて駆けていく。


「お前らはアポなしで仕事ぶっこんで来たんだ。好き勝手に暴れてやるからな!」





「撃て、撃てー!」


 自衛隊がダンジョンで採掘できる金属によって生成した、対モンスター用のRPGを放つ。

 スマイル・アドベンチャー、フェミ旅団、移民冒険団で狼達を抑える。

 そうして攻撃態勢を整えながら、サイクロプスへ向けてRPGを休みなく怒涛の勢いで打ち込んだ。

 ズドンっ! ドスンっ! ゴゴゴゴゴ! と、重々しい爆発音が世界を揺らした。サイクロプスも打ち込まれるミサイルの雨に、怯んで徐々に後ろへ下がっていく。

 1発、2発――10発、20発。

 そこまで打ち込んでもまだ、倒れない。


「あれを一撃で倒していた青宮 翼は、何者なんだ……」


 隊員の誰かが、そんなことを呟いた。

 やがて、30発を撃ち込まれた瞬間。

 サイクロプスが倒れ、その体が消滅していった。

 おおおおお、と歓声が沸く。


「っ、待って、空を見て!」


 樹の叫びに、空に注意がいく。

 そこに飛んでいたのは、またしてもワイバーンであった。今度は6体が飛んでいる。


「またあのモンスター……!」


 白井が苦しげに呟く。

 実際、今のメンバーでワイバーンを相手するのは戦力不足だ。

 といって、撤退できるほどの火力もない。

 全滅――そんな最悪な言葉が脳裏をよぎった時、嵐のような風の上級魔法が、ワイバーン達を全て切り裂いていった。

 ビュン! ザシュっ! とワイバーンの体が、翼が裂かれ、次々と地面へ落下していく。

 そして背後から、新たな冒険者達と自衛隊が加勢していった。

 その一番前に現れた姿に――乾が声を上げた。


「獅子山さん!」


「よく戦ったね」


 周囲に荒々しい風を巻き起こしながら歩く獅子山は、両手にそれぞれ、緑色に輝く剣を持っていた。


「もう年だから、前線に立つのはもう性分じゃないんだが……他にいないんだから、ま、仕方ない」


 獅子山はすこしめんどうそうに――だが、その体から強力な魔力を放ちながら、宣言した。


「久々に、頑張ってみるか」

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