新たなる力
地震のような衝撃が辺りに響いた。
サイクロプスが巨体に似合わぬ速度で駆け出していく。
青宮は∞ウェポンを握りしめた瞬間、力強く踏み出した。
目にも止まらぬ、凄まじい速さ。
次の瞬間、青宮はサイクロプスの背後にいた。
「っ……!?」
「これで終わりだ」
振り下ろされた斧は、空気を裂く音を放つ。
ズドンッ、という重低音が響き、サイクロプスの背中が割れる。
巨体は魔石だけを残して消えていった。
だが、これで終わりではない。
道路の奥から、さらに三体のサイクロプスが姿を現す。
(俺が来てから集まりやがって……)
青宮は舌打ちし、駆けた。
一気に決める。
サイクロプスへ突っ込み、攻撃魔法を放った。
「――ウェーブ・ストライク!」
大波が、電柱を曲げ、ガードレールをも曲げながら発生。
押し寄せる大量の水圧はまさに災害レベル。サイクロプス達が吸い込まれ、巨体が次々と潰れた。
後方で戦っていたフェミ旅団のメンバーは、呆然とその光景を見つめる。
「す、すご……」
「アーツファイトの時より、明らかに強くなってる……」
「やっぱり狙っちゃおうかな……」
「男だし、おっぱいで誘惑すれば……ふふ……」
戦場の緊張感とは裏腹に、彼女たちの会話は相変わらずだった。
だが、魔物の数はあまり減らない。
押し寄せる群れを斬り伏せ、撃ち抜き、数十分が経過した頃だ。
ようやく戦線が安定し始める。
青宮が最後のサイクロプスを斬り伏せた瞬間、耳にシステム音が響く。
『――青宮 翼のLVが34へ上がりました。HP+82 MP+27 攻撃+26 防御+19 魔力+26 精神+19 俊敏+18』
『――斧術LV7へと上昇しました』
『――スキル「カオス・クレイブ」を習得しました』
∞ウェポンの斧部分に埋め込まれたダークブルーの宝石が、幻想的に光った。
青黒い輝きは、美しくも恐ろし気な力を宿していた。
「カオス・クレイブ……斧のスキルか」
攻撃スキルの習得は、たしかに欲しいと思っていた。
ウルトラエレファンの登場など、火力が少し乏しいと感じる場面があったからだ。
「みんな、大丈夫か?」
戦闘終了後、スマイル・アドベンチャーのメンバーの元へと戻る。
樹達はケガもなく、大丈夫そうであった。
「協力、感謝いたします」
と、彼らの元へ猪塚がメンバーを引き連れてやってくる。
口では感謝を告げているが――猪塚の目は、青宮を警戒していた。




