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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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サイクロプス

 猪塚の周囲には5つの杖が浮遊していた。

 杖1本につき、1つの属性が付与されており、強力な攻撃魔法を操ることができる。

 猪塚は右手を伸ばし――白い杖を手繰り寄せ、手にした。


「浄化させてあげましょう――ホーリー・ジャベリン」


 杖の先端に、白い魔法陣が広がる。

 そこから聖なる槍が飛び出し――その大きな魔力の奔流は、サイクロプスの巨体をも呑み込み、そして後方にいるモンスターをも貫いた。

 地面すらもえぐれるほどの強力な攻撃。

 巻き込まれたモンスターは姿を消していた。

 圧倒的な高火力。

 まさにギルドマスターの名にふさわしい一撃だ。

 だが、猪塚は――息を飲んだ。


「効いて、ない……?」


 現れるのは、体に傷のついていないサイクロプスだ。

 大半のモンスターを即死させる一撃を受けておいて、ノーダメージ。

 そしてサイクロプスは戦いを楽しむかのように、にやりと口角を上げた。

 この中で戦闘能力が高い猪塚めがけて、走り出す。

 巨体に似合わない、俊敏な動きであった。


「させないよ……!」


 フェミ旅団のメンバー……かつて合同ダンジョン攻略でも一緒になった女の子の1人が、盾をもって立ち塞がる。

 しかしサイクロプスの棍棒で払われ、その体が宙を舞った。


「っ、あぁぁぁぁ!?」


 なんとか盾でガードして致命傷は避けたが、衝撃は殺せない。

 猪塚は女の子を受け止めた。


「リーダー……!」


 だが、余韻に浸っている場合ではない。

 サイクロプスの足止めにすらならなかったため、距離を詰められた。

 重々しい棍棒が、上から下へと一気に振り落とされる。


「っ!」


 猪塚はとっさに宙を舞う杖をかざすも、それでは防ぎきれないことをわかっていた。

 後継者争いとして、こんなところでリタイヤしたら話にならない。

 そう思った瞬間であった。

 ズドオオオオオオオオっ!!! と、凄まじい音と共に、サイクロプスが吹き飛んだ。

 背後から飛んできて、棍棒に対して武器を一閃した青宮が、フォローに入ったのである。

 サイクロプスの巨体が、道路をゴロゴロと転がり回った。


「無事か?」


 青宮が言うと、女の子の方が顔を赤くした。

 樹との会話の時に、青宮を狙うと発言した子なので、尚更その思いが強くなる。


「は、はい♥」


 対して、猪塚は歯ぎしりをした。


(青宮 翼……やはり、危険な男。獅子山は大したことないけど、この男が獅子山派についているというのが、私達最大の難関。彼がいれば、簡単に戦況はひっくり返る)


 サイクロプスが起き上がり、青宮を睨みつける。

 先ほどまで上がっていた口角は戻っていた。

 対して青宮は、にやりと笑う。


「さっきまでの、余裕そうな顔がないな。どうしたんだ?」


「オオオオオオオオオ!!!」


 言葉が通じているわけではないだろうが、サイクロプスは激怒したかのような咆哮を上げる。

 その声量は威圧感共に凄まじく、地面を揺らしたのであった。

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