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ワイバーン

 目にも止まらぬ速さで駆ける黒い狼が、青宮達を追い込むように囲んでくる。

 そんな群れの中へ、青宮は単身突っ込み、斧を一閃した。

 見たこともない種類の魔物であったが――その重々しい一閃で、2体の狼を同時に撃破し、魔石へと変える。

 青宮を警戒したのか、狼達がさらに集まり、2体同時に飛び掛かってくる。


「このスピード……第六層ぐらいか?」


 しかしさらなる横払いにより、一撃で破壊。

 樹達もできるだけ固まりながら、前衛をヴァルキリア、乾、荒木の3人で耐えながら、樹と白井が後衛から攻撃して敵を倒していく。

 自衛隊側は陣形を組みつつ、魔力の弾丸を放つアサルトライフルで、敵を確実に撃破していた。

 当然、戦場を単身駆けて敵をどんどん減らしている青宮の姿は見えているので、彼らは改めて質の高い冒険者の強力さを目の当たりにすることになる。


「あれが……アーツファイトの勝者……」


「化け物かよ……」


「俺らが数人で撃って倒す相手を、斧一振り……?」


「どっちがモンスターなんだ……」


 その賞賛ぶりに――青宮を嫌っているあの隊員が、舌打ちをした。


(クソ。なんであんなやつが……俺だって……)


 出だしは好調かと思われたが、とんでもない光景もある。

 バズり☆シーカーズだ。

 ギルドマスター、風間 迅はまた携帯を取り出して、動画を撮影しているのだ。

 8人ほどのメンバーは真面目に戦っているので、より異常さを感じる絵面である。


「街中に大量のモンスター! しかもどれも、見たことがない魔物だ! これはすごい! 絶対にバズるぞ!」


 ふと空に気配がして、風間が携帯の画面を上へ向けた瞬間であった。

 ビュン、と。

 凄まじい突風と圧が襲いかかったと思いきや、風間の体が地面へ押しつぶされた。

 スマホを手放し、ガチャン、と画面が割れながら地面へ落ちる。

 赤い影――全長四メートルのワイバーンが、両足で風間を押し潰していた。

 バキッ、バキバキバキッ。

 骨が折れる音が、戦場に生々しく響く。


「ぐわっ!? あっ、あぁぁぁぁぁっぁあああっ!!!」


「ガァァァァァ!!!」


 ワイバーンは雄叫びを上げながら、さらに体重をかける。


「り、リーダー!!!」


「クソ、みんな援護しろ!」


 バズり☆シーカーズの後衛が炎、氷、雷の中級魔法を撃つも、ワイバーンはビクともしない。

 それどころかさらに力を加え、風間を強く押し潰した。


「ちっ、アホが……!」


 青宮が中級魔法、アクアランスをワイバーンへ向けて放つ。

 瞬間、ワイバーンは風間を掴んだまま飛翔し回避。

 バズり☆シーカーズがリーダー救出のため魔法を放つも、今度は当たりすらしない。

 ワイバーンは無慈悲に、高所から風間を落とす。

 風間は生々しい音を立てながら、硬い道路に叩きつけられ、その身体が不自然に折れ曲がる。

 ピクリとも動かなくなった。

 血が溢れ、動かない。

 一瞬の静寂。

 バズり☆シーカーズは、発狂した。


「うわああああああああ!?」


「リーダー、リーダー!」


「そんな……嘘だ、嘘だ嘘だぁぁぁぁぁ!」


 悲鳴が戦場に響き渡る。

 その声は、恐怖と絶望が混ざる、叫びだった。

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