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彼女に捨てられた社畜、覚醒スキル《∞ウェポン》でダンジョン無双  作者: 音有五角
第四章「後継者争い」

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開戦

「――特にそこにいる貴様! コイツが一番気に入らん!」


 風間へ注意した隊員が、その勢いのままに青宮のところへ。

 隊員はまだ20代前半ぐらいの男だ。


「“斧使いの王子様”なんて気持ちの悪い名前を名乗りやがって! 女の人気を集めて、楽して金を儲けるような奴が防衛を背負うだなんて、日本は終わっている!」


「いや、それは運営が勝手に決めたリングネームなんだけど」


「こっちは毎日キツい訓練して、本気で国を守ろうとしているんだ! なぜ貴様らのような奴が同じ戦場に立てる!?」


 早口と大声でまくしたてる隊員を、めんどくさいと思った。

 と、ここで30代前半ぐらいの他の男の隊員が、興奮した隊員をなんとかなだめながら下げた。

 彼は興奮した隊員を遠ざけ、他の隊員に引き渡した後、青宮のところへ来て頭を下げる。


「ウチの隊員がすいませんでした。真面目というか、頭の硬いやつでな……本当にすまない」


「それはいいのですが……自衛隊は不満がある、という印象になったな。ここへ来る時も、感じの悪い隊員がいた。お互い、別行動でも良かったかもな」


 青宮が皮肉をぶつける。

 自衛隊は立派な勤めをしていると考えているが、ここまで敵意を向けられるとなると、話は変わってきた。

 こちらとしても馴れ合うつもりがなくなってくる。

 ただ、風間のような奴がいることも事実なので、そこは頭が痛いが。


「……そうだな。同じように、冒険者を嫌悪している隊員がいることは、否定しない」


「なら、敵でもなければ、味方でもない。好きにやらせてもらうぞ」


「不快にさせたことは詫びる。これからお互いに命を懸け合うのだ。どうか、よろしく頼む」


 隊員は右手を差し出してくる。

 あまり良い気分ではないが、無碍には出来ない。

 青宮は握手に応じた。


「でも、意志は統一できていないようなので、信用はしないですよ」


「うむ。それで十分だ」


 隊員が戻っていく。

 やり取りを聞いていた他の隊員が「なんだその態度は! ふざけんな!」と怒鳴り声を上げたが、他の隊員になだめられる。

 おそらくだが、そもそも冒険者協会と自衛隊の仲はあまり良くないのだろう。

 リーク騒動が原因だと思ったが、根強い険悪さを感じた。


「なんでこう、社会っていうのはこうなるんだろうね……」


 乾が悲しそうに呟く。

 青宮は肩をすくめた。

 そしてスピーカーから、艦内に艦長の声が響く。


『まもなく結界の突入フェーズへ移行する。一同、巨大モニターへ注目してくれ』


 格納庫の壁、その上部に設置された巨大モニターに映像が映る。

 そこには、都市の中にドス黒い、ドーム状の巨大な結界が張られていた。

 飛空艇の先端に、大量の魔石によって作られた、金色の魔力による“槍”が形成。

 これから結界を破り、中へ突入することとなる。

 そして結界は破壊されてもすぐ自動回復する性質だ。

 飛空艇がどんどん結界へ近づいていく。


『総員、衝撃に備えろ!』


 ズドォォォォォ!!! という大きな音と共に、魔力をまとった飛空艇が結界へ突撃。

 艦内が大きく、ドスンと揺れた。

 結界が前進を阻むように、飛空艇を一時的に止める。

 しかし光の魔力が結界を貫き、飛空艇は結界の中へと侵入。

 モニターに映った映像に、ざわめきが生じた。


「な、なんだこの量は……!?」


「これがダンジョンブレイク……!」


 多くの者が震えあがる。

 都市の中は、モンスターに溢れていた。

 狼、ヘビ、空を飛ぶワイバーンなど、多種にわたる。

 艦内は緊迫とした空気に包まれた。


「いよいよ始まるね」


 樹の言葉に、青宮はうなずいた。


「みんな死ぬなよ」


 メンバー全員へ告げる。みんなはこくりとうなずいた。


『まもなく、ポイント7へ到着! 一同、戦闘準備!』


 飛空艇はポイント7へ到着。広い一本道の道路の中に着地し、ハッチを開いた。


「総員、出撃!」


 自衛隊の隊員が声を上げ、ステータス補正のある動きで素早く外へ飛び出していく。

 青宮達もハッチから出た。


「「「グオォォォォォ!!!」」」


 大量のモンスター達が、威嚇するかのように、地面をも揺るがすような咆哮を一斉に上げる。

 青宮はアイテムボックスからドローンを飛ばしつつ、耳につけたイヤホンマイクで、本部へ告げた。


「スマイル・アドベンチャー、ポイント7へ到着。作戦行動を開始します」


『――了解です。スマイル・アドベンチャー、戦闘開始の確認をしました。どうかご無事で』


 男性オペレーターの声を聴きつつ、外へ出た青宮達は武器を構える。

 青宮はベルセルクを発動させ、青い炎を身に纏いながら、宣言した。


「よし。いくぞ!」

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