第35話 渓谷への道
「私、ユキワの事が好きです。」
いつも座っている庭園の端にあるベンチで、キャロは優しい笑みでベルに向かってそう答えた。
それを聞いて驚いていたベルは持っていたドリンクを落として唖然としていた。
彼にとってはもっと他の返事が出てくるかと思っていたからだ。
その中で、ユキワはキュースケと一緒に追いかけっこをしながら遊んでいた。
「ベル博士、私ね・・・ユキワが敵だったって言われた時は、正直どうしていいか分からなかった。でもそんなのどうでも良かったたんだなって・・・」
「キャロちゃん・・・」
「リオ姉やルナ姉がね、私の事を大切って言ってくれたんです。なんにもできない私なのに、それでも大切にしてもらえてるって実感感じるんです。だから思ったんです。今の彼女は何があっても裏切らないって、だったら何が何でも私は信じたいし、私にとってもうユキワは妹みたいなものですから♪」
そう言いながら、キャロは立ち上がるとユキワの元に向かい一緒に遊びだした。
ベルは落としてしまったコップを拾い上げ、ユキワとキャロを見つめながら口元で優しく笑みを作りながら、研究室へ戻りながら独り言を言っていた。
「ミアの妹、また違った意味で優秀な人材が入ったな・・・」
その頃、総監室の中にてクレハと日光、月光が話をしていた。
「ガルゼン渓谷に不審な動きがある・・・情報を聞いて俺たちも動こうとしたがあの地域は貴族至上主義の連中ばかりだ。」
「なんとかしたかったんですが、あのエリアに入ることすら拒まれました。どうしたものかと・・・総監としてキャロの意見を聞きたくてね」
二人の言葉を聞き、クレハは頭を悩ませながら口を開いた。
「貴族と一部の許可を得た者しか入れない特殊な地域・・・そこで起きている不審な動き・・・今、M'sKであの地域に入れるチームは1組・・・」
その言葉を聞くと、日光と月光はため息をしながらヤレヤレというような顔をして頭を掻いていた。
そしてクレハは1組のチームを招集した。
「魔法幼女の方程式、あなた達への新しい任務を伝えます。ガルゼン渓谷に向かい地域内の街にて情報収集、キングダム関係の事件があった場合は速やかに対処するように。」
招集した3人に早速、クレハは任務を伝えた、それを聞いてリオとキャロは了承したが、ルナだけはクレハに向かい返答した。
「総監!ガルゼン渓谷って言ったら・・・貴族の言動が全てのとんでもないエリアじゃないですか!!あんなところで事件が・・・?」
ルナの言葉には何故か焦ったような口調となり、普段の彼女よりも落ち着きがなかった。
「そう、だからこそ今回の任務は貴方の力が必要なのよ・・・貴族出身のルナの力が・・・」
リオとキャロは、クレハのその言葉を聞いて、ルナに目を向けた。
彼女は更に唖然とした顔になりながらも、不安な顔をしながらも右腕の拳を握りそれを自分の左胸に持っていきクレハに目を向けた。
「かしこまりました。ルナ・アンバーレイン含め魔法少女の方程式全3名、任務を承らせていただきます。」
そう言うと、3人は総監室から出ていき任務へと向かった。
日光と月光も別の任務に向かい、1人になった総監室にてクレハは肘をテーブルに着きながらブレスで連絡を始めた。
「・・・クレハです。ガルゼン渓谷に3人を向かわせました。・・・・・・・・・はい、わかりました。」
通信を終えると、椅子の背もたれに全体重をかけて目を瞑りながらため息を一つついた。
「これは、きっと罠ね・・・」




