第36話 渓谷の街
ガルゼン渓谷
ここはミラサキーノ領土内の北西に位置する水や森の溢れた豊かな地域、渓谷を中心部より半径10km県内は国の指定公園となっており、平坦な地域では貴族の別荘地として使用しており、貴族や一部の指定公園を管理する者、そして貴族が中心での世界統一を主とする貴族至上主義の者達の住む地域である。
その地域は人が登れない高さの塀で覆われており、渓谷の谷底等の人が向かえない部分を覗いては3箇所のみの出入り口での身分証確認にて管理をしている。
魔法少女の方程式の3人は任務のため、このガルゼン渓谷へ来ていた。
「身分証確認をお願いします。」
「・・・これで、後ろの二人は付き人です。」
出入り口での門にある管理窓口にて、ルナは持っていた身分証を渡して確認をとっていった。
リオとキャロも合わせて身分確認を取っていたが、ルナの付き人という形で話を通し承諾が得られ3人は渓谷の中に入って行った。
「わぁぁぁ、ここがVIP御用達!ガルゼン渓谷の別荘街・・・ゼンメル・・・落ち着きのある雰囲気の中に高級感がって凄くイイ!!」
「もう、リオ姉ったら・・・都会に来た田舎者みたいな感じになってますよ~」
「えへへ、ごめんなちゃい♪」
レンガ作りのモダンで大きな屋敷の多い景色を見て、リオが凄くはしゃいでいたのをキャロが落ち着かせていた。
そんな中、ルナは凄く気分が下がっている状態でいた。それに気づいた二人は声を掛け、我に返ったルナは普段どおりに表情に戻り、道案内を始めた。
「お二方様、お待たせしました。この階段を登った先にある赤い屋根の建物がアンバーレイン家の別荘となります。」
花の咲き誇る階段を登った先に3つの大きな屋敷があり、その中の赤い屋根のお屋敷、そこがアンバーレイン家の屋敷があった。
そこは、大きさこそあれ、周りの屋敷よりも落ち着きのあるものであった。
ルナは屋敷の鍵を開けて屋敷の中に入ると、建物の明かりを点けた。
「凄い広いなぁ・・・玄関ホール部分だけでも私の家が1戸丸々入っちゃうな・・・」
「ルナ姉って、やっぱ貴族さんなんですね・・・」
二人が建物の中を観て唖然となっていると、ルナはゆっくりと歩きながら2階への階段を登り始めた。
途中、リオとルナに対して振り返りながら早くと誘いながら2階の部屋に向かい荷物を置いた。
「とりあえず、この屋敷は数ヶ月に一回くらいしか使わないから、今回は私達3人だけだから自由に使ってぢ大丈夫よ。一旦はゆっくりしていて、私はお隣さんに挨拶してくるから♪」
そう言いながらルナは部屋から出ていった。二人は旅の疲れを癒やすようにベッドに倒れ込んでいた。
屋敷から出たルナはゆっくりとした足並みで隣の屋敷に向かっていた。
小鳥が木から木へと飛び回る道の進んでいると、目の前に1人の男性が立っていた。
20歳位の男性は、立ち止まったルナに一歩、また一歩と近づき2mほどの距離に来ると口を開いた。
「お久しぶりです。ルナ様・・・お待ちしておりました。」
「こちらこそ、アルフレア様・・・今からそちらへご挨拶にお伺いしようと思っていました。」
お互い、顔は笑っているが表面上だけの笑顔で一定の距離を取りながら話を始めた。
そして二人は、何気ない普段の話を終えるとそのまま別れルナは自分の屋敷へ帰っていった。
アルフレアと呼ばれたその男は、その後姿を観ながら名残惜しそうな顔をしていた。
するとアルフレアの後ろの草むらからガサガサと音が鳴り、1人の老人が現れた。
「ヒヒヒ・・・アルフレア様、クリストファーにこざいます。」
「・・・キサマか、手はずはどうなっている。」
「ヒヒヒ・・・仰せの通り整えてこざいます。ヒヒヒ、明日、このゼンメルは地獄となりましょうヒヒヒ・・・」
クリストファーの笑い声に、アルフレアの口元が密かに微笑んでいた。




