第30話 清怜の魔法
挨拶会が終わり、それぞれが既存の任務に戻ろうとしている中、リオとルナはキャロを連れてエントランスのカフェに来ていた。
キャロは、ちょこんと席に座りながら緊張をしていた。
「あ、あの......良かったら飲み物を取ってきます。」
そう言って、キャロはカウンターに行き飲み物のオーダーを取っていた。
少しして、両手ギリギリで3つのドリンクを持ち、うち2つを渡した。
「......ねぇ、キャロ」
「はい?なんでしょうか?」
「なんで、私とリオの好きなドリンクを知っているの?」
「あ、そういえば、ドリンク取りに行ってくるって言ってたけど、私達のオーダー何か聞いてなかったよね。」
「え?あ、それはですね。カウンターに行って迷ってたら、店員の方が教えてくれたんです。いつも二人は何を飲んでいるかって♪」
「ありゃ、私達、ここに来すぎかな~」
そんな事を言いながら、リオは笑い、ルナは少し強張った顔を緩めた。
キャロも緊張していたのか、少し身体が固まっていたが、ゆっくりと深呼吸をしながら落ち着かせていた。
念の為、三人で細かな自己紹介を行い、自分たちが出来ることを考えながら相談していた。
するとリオとルナのメモリーブレスが通信用の着信音が鳴り出し、それに出るとシオンからの連絡であった。
「はい。魔法少女の方程式、ルナです。」
「同じく、リオです♪」
〚良かった。ちょうど二人共に連絡が取れましたね。〛
「シオンさんどうしました?」
〚実は、キングダムの動向で少し怪しい動きをしている件が一個あって、それの確認をしていただきたいのですが......〛
「了解しました。すぐに向かいます。」
〚よろしくおねがいします。場所は今からブレスの方に送ります。〛
「了解で~す。」
通信を終わらせると、すぐに二人のブレスに任務の内容が転送されてきた。
それを見て、ルナはキャロにすぐに出れるか確認をし、問題が無いようだったので、行動をすることにした。
【農場の街 ファリオーム】そこはアルストフィアより、鉄道を使用して約1時間程度走ったところに存在する、ミラサキーノ最大の放牧の街である。
今回、魔法少女の方程式は、この街で起こっている放牧している動物の行方不明事件の調査に来た。
ルナは、近くの被害にあった家庭に状況の確認を取り、リオは現場の状況を確認しており、キャロはそれに同行していた。
「リオさん。この状況って......」
「これは、キングダムのキメラモンスターを作った時に残る何かが焦げたような跡だね。キャロちゃんはここらへんの情報は......?」
「受けてます。キングダム事件は、学んでおかないと自分の命にも関わりますしね......しかもこの状態だと、まだそんなに期間も経ってないだいですよね。昨日か、一昨日か」
「よく勉強しているね。良いねぇ~。っとこの関係のキメラモンスターを作るっていうと、いや.......そんな相手、私達は知らない......って事は」
「新しい敵......ですか?」
お互いが、言葉の意味を察した瞬間、背中が痺れた。それは寒気と同じ、そして恐怖感を感じていた。
意味がわかっただけじゃない。誰かが、こちらを見ている。それだけはハッキリと分かり、リオとキャロはとっさに背中合わせとなり、周りを警戒した。
「いる......わね。」
「はい。しかもかなり強い魔力ですね。......来ます!!」
キャロがそう言った瞬間、上空から大量の魔力弾が降ってきた。
二人は、それを避けながらさっきまで立っていた場所から50mほど移動した。
そして、魔力弾が止むとお互いが離れ離れになっていた。
大きな音を聞きつけ、ルナもリオと合流したが、キャロだけは声は聞こえたが、合流が難しかった。
「一旦、声を抑えよう!!声で場所がバレると集中攻撃されるかもしれない!」
「分かりました!!」
リオとルナはローブを身に着けつつ、魔力を確認しながら再び始まった攻撃を避けながら、打ち込んできた方向に反撃をした。
だが、いくら反撃をしても手応えが無く、土煙の中でも見えない相手からの攻撃は的確にこちら側に打ち込まれ、消耗戦となっていった。
「これじゃ、厳しいね......キャロちゃんの様子も見ることができない」
「そうね......ねぇ、なんで相手は私達だけを攻撃してくるかしら。」
「ん?どういうこと......なさか!?」
「キャロが敵のスパイって可能性、それは十分に考えられるわ。このタイミングでのキングダムが動き出している可能性があるのも、偶然にして出来すぎている気がする。」
「だって彼女は総監の弟子なのよ......」
「弟子だからって、信じていいかなんて分からないわ!!」
「そんな......あ、!?ヤバい!!」
話に気を取られ、攻撃に対しての防御が弱くなり大きな魔力弾を受けてしまった。
ローブの力で多少の防御はできたが、多少なりとも怪我をしていた。
「ッツ......ミスった。ルナ!!大丈夫?」
「大丈夫だけど、これじゃ拉致があかないわ。なんとかしないと.......」
「ウィンドエアウェーブ!!」
リオとルナの会話の途中で、離れたところから魔法詠唱を叫ぶ声が聞こえた。
すると、強力な風と共に土埃が全て吹き飛ばされた。
そして視界が良くなると、その場には手にカードを持ち、空に向かい掲げた状態のキャロがいた。
「キャロちゃん!!」
「キャロ!!」
キャロは、手を降ろし持っていたカードを、右の腰周り着けていたカードホルダーに戻した。
そして、ポケットに隠していたメモリーブレスを取り出した。
「キャロちゃん......!?ルナ、あのメモリーブレス!!」
「......!!あれは......ミアの、メモリーブレス......」
キャロは、取り出したメモリーブレスを左腕に取り付けた。
そして、リオとルナの方を向いて口を開いた。
「リオさん......ルナさん、本当なら秘密にしておこうと思ったんですが、でも私も......戦いたい!!姉さんの意思をついで!!」
すると、更にポケットからミアが作ったリードリオンユニットを取り出し、メモリーブレスに接続した。
「これが、姉さんが私に託してくれたチカラ、行くよ......メモリーブレス・リードリオン!!マジシャンズ・ローブアップ!!」
キャロは、メモリーブレスへコードを発音すると、ミアが着けていたローブがキャロに装着され、そこに新しく白銀のマント、胸元に輝くクリスタルが取り付けられた。
装着されたローブ状態で、キャロは目を瞑っていた。
「キャロ......」
ルナがキャロに近付こうとした瞬間、キャロは目を開け、カードホルダーからカードを1枚取り出し、リードリオンスキャンユニットに通した。
「お返しする!!ファイヤーレイン!!」
発動した魔法から、炎を雨が発動し、ルナの後ろに向かって降り注いだ。
すると、その場にキメラモンスターがダメージを受けて現れた。
「後ろにキメラモンスターが!?」
「ルナさん、少し休んでいてください。アイツは、私の憧れた人を傷つけた。ここは私が戦います!!」
「キャロ......」
そして、キャロはキメラモンスターの前に向かい、高らかに放った。
「終わりなき息吹 全ての恵み 癒しの思いをここに受け継ぐ 清怜の魔法少女 キャリオット・コーリアス!!ミア姉さんの意思を継ぐ者!!」
ミアの妹であったキャロは、リオやルナよりも凛々しく感じ、その漂うチカラは今までのどの魔法使いよりも、強大なオーラを放っていた。




