第29話 新たなるチカラ
CROSS☆CAST襲撃事件から数ヶ月が経過し、ラミィでは一時の平穏が流れていた。
魔法少女の方程式のリオとルナも、この時間を使い、二人でできる訓練を励みながら、学業も頑張っていた。
そんな中、新たな事件がM'sK本部で起ころうとしていた。
M'sK本部総監室内に、電話のベルの音が鳴り響き、それをクレハが取った。
「私です......はい......はい。分かりました。では、応接室に通してください。ありがとう。」
そう言うと、クレハは受話器を置き、応接室へと向かった。
応接室の扉の前に着くと、少し深呼吸をしながらボソッと口を開いた。
「果たして、これが吉と出るか凶と出るか......考えてもしょうがないか。」
そう言うと、扉をノックしながら、クレハはある人がいる応接室へと入っていった。
そんな事があってから更に、数ヶ月のときが過ぎ、リオとルナは国立魔法学校【ルオーブ】高等部へ進学した。
「ほら、リオもルナちゃんも一緒に写真撮りましょう!並んで並んで♪」
「ちょ、お婆ちゃん。進学だけだからそんなにはしゃがなくても、恥ずかしいよ.....」
「なに言っているの。こういう時じゃないと孫の晴れ舞台とか見れないじゃない。ほらほら並んで♪いくよ~はいち~ず」
そう言いながら、ティエカは二人を正門前に並ばせて写真を撮った。
彼女たちは、恥ずかしがりながらも笑顔で写真を撮っていた。
「とりあえず、そろそろ私達、本部に行くから♪お婆ちゃんは先に家に帰ってて」
「は~い♪じゃあ後でね」
ティエカが、鼻歌を吹きながらそそくさと家に帰っていく。
それを見ながら、二人はM'sK本部へと向かった。
本部へ到着すると、二人は早々に総監室の隣にある、総合会議室へと入っていった。
そこには、STAR☆DROPとCROSS☆CASTを筆頭に、複数のチームが集まっており、その先の総監席にはクレハ、その右隣にシオンが立っていた。
「さて、皆さん揃ったようですね。」
集まっていたメンバーの前で、クレハは立ち上がり挨拶を始めた。
これは、新年度が始まったことでの集まりであった。
集まったメンバーは、整列しながらクレハの言葉を聞いていた。
キングダムとの事や、今後の課題、別チーム間での連携を引き続き強化していくことを念頭において話をしていた。
「今後は、キングダムの行動も激しくなっていく可能性があります。プリンセス・スノウ・リングの1件から目立った行動をしていないのは、逆に戦力を蓄えている可能性もあります。そのため、人員の強化も必要だと思いますので、新規にて増員を行いたいと思います。」
新規の増員の話は、以前から出ていたのはここにいる全メンバーが知っていた。
このタイミングでの増員も至極当然であり、それぞれのメンバーに書類が渡された。
その書類の中には、新規で増員された新メンバーの名前や年齢、魔力特性が書かれており、その下に担当する師匠である現行のメンバーの名前が出ていた。
大体の新人は、SPランク以上のチームの元で共に行動しながら、学んでいくと言う形式を取っており、魔法少女の方程式もSTAR☆DROPの元で同じように学んでいた。
今回は、SBランクの魔法少女の方程式の元へ来るスタッフはいなかったが、それは自分たちがまだ未熟であるからと言うのは、自分たちもわかっていたため、しょうがないという感じであった。
「今後の皆さんの力が、M'sKの今後を切り開いていきますので、よろしくお願いします。それから......魔法少女の方程式......リオ・ミレーヌス!ルナ・アンバーレイン!」
『はい!!』
「プリンセス・スノウ・リングとの1件、本当にお疲れ様でした。今回の件に関は、本部上層部にて慎重に相談をさせていただき、一つの決断をしました。魔法少女の方程式は本日付にて、Tランク及びSTランクを飛ばし、SBランクよりPランクへの昇格をいたします。」
「え!?Pランクって.....」
「マスターランク、SPランクの次......そんな......」
一瞬、クレハの言葉の意味に理解するのに時間がかかったが、それを理解した二人は、お互いを見つめ合いながら抱きしめあった。
そして涙を流しながら、お互いを強く、強く抱きしめていた。
クレハは、それを見ながら、唇を緩めつつ、更に言葉を続けた。
「ただし、君たちにも新しい任務があります。」
「あ、すみません。取り乱しました。」
「新しい任務ってなんですか?」
姿勢を戻した二人は、クレハに問いかけると、扉に向かい入ってきなさいと声を掛けた。
すると扉が開き、そこからリオやルナより何歳か年下の少女が入ってきた。
少女は一礼をすると、クレハの元に歩いていき、隣につくと正面を向き、再び一礼をした。
「紹介するわ。この娘はキャリオット、新しくM'sKに加入したメンバーになります。そして......新しい魔法少女の方程式の3人目としてチームに入ってもらうことになるわ。」
クレハがそう言うと、リオとルナは先程までの嬉し涙が吹き飛び驚きクレハに詰めかけた。
「ちょっと待ってください。総監、それはどういうことですか!?」
「そうです。私は、私達はミアも含めた3人で魔法少女の方程式です。いきなり3人目って言われても......」
すると、クレハはやっぱりという顔をしながら、口を開こうとしたが、その間にキャリオットが割って入り話をし始めた。
「お二方のお気持ち、重々理解をしています。ですが、私はどうしても、魔法少女方程式のリオさんとルナさんと一緒に戦っていきたいのです。まだまだ、不甲斐ないですが、どうか......お願いいたします。」
キャリオットはそう言って、二人の前で更に深々と頭を下げながら懇願していた。
リオとルナもそれを見て、強くは言えなくなってしまった。
だが、どうしても気になることがあったルナは、念の為キャリオットに質問をしてみた。
「キャリオットだっけ?」
「はい。長いので良かったらキャロと呼んでください。家族からもそう呼ばれていましたので。」
「じゃあキャロ、あなたの魔法使いランクと得意魔法を念の為教えてちょうだい。」
「魔法ランクはまだ入ったばかりなので、Bランクです。魔法はカード魔法を使っています。」
笑顔でそう答えたキャロを見ながら、ルナはクレハに対して質問をした。
リオは、そのルナをじっと無言で見ていた。
「総監、どういうことですか?カード魔法って魔法学校の初等部の最初の2年程度で学ぶものじゃないですか......それをBランク魔法使いとして迎え入れるって危険じゃないのですか!?」
それを聞いたクレハは、頷きながらも笑顔のままそれに対しての返答を行った。
他の集まっているメンバーもルナがここまでクレハに向かって行くのを見て、少しざわつき、特に師匠である日光は止めようとしたが、月光がそれを止めていた。
「そこら辺は、今後の彼女を見てもらえれば大丈夫だと思います。それにキャロは......私が唯一育てた弟子ですからそこは信頼してください。」
その言葉は、そこにいるほとんどの人間が驚いていた。クレハは総監になる以前から、弟子はとらない事を公言していた。
それは、どんな将来性のある人からの懇願でも、頑なに受けなかったため、今回のキャリオットを弟子として育てたというのは、彼女がどれだけ特別だったかを思い知らされた。
そして、ルナはそれ以上のことは言えず、キャロと共に行動することを了承した。
リオも、笑顔になり後ろからルナを抱きしめつつ、キャロに一言、よろしくと伝えた。
「こちらこそ、よろしくお願いします。お二方と一緒にいられるのは凄く嬉しいです。」
キャロは、部屋に入ってから一番の笑顔で再び頭を下げると、少し声を震わせながら感謝の言葉を告げた。
新しい魔法少女の方程式がここに結成された......唐突に現れたキャロに対して、ルナは心の中で不信感を頂いていた。




