第26話 もう一つの戦場、二つの心のあるところ…
「リオさん、ルナさん。今回はよろしくおねがいします。あと、この件は他の人には秘密ですからね♪」
そう言いながら、ユアとハニィは交互に姿を変えてリオとルナに声をかけた。
二人は、未だに信じられないように目の前を見つつ、無言のまま立っているだけであった。
「あれぇ???どうしたのかな?二人は私達の秘密見てびっくりしてるのかなぁ???」
ハニィのその言葉を聞いて、ふと我に返ったリオはハニィの目の前に向かいじっと見つめながら話しかけた。
「ハニィさん・・・これってどういうことですか?二人が目の前で入れ替わるって・・・」
それを聞いて、笑顔になったハニィは再びユアに切り替わった
メガネを掛けたユアはまさに、静かで穏やかな完璧な秘書であった。
ユアは側にいたリオを、一度ソファに座らせながら少しずつ話をしていった。
「私達は以前、二人で現場任務をしていた魔法使いだった。CROSS☆CASTはその時に作ったチーム名だったの・・・任務に対しては、それなりに成果は出していたと思います・・・ですが。」
「私達は過ちをおかしたの♪そう、ある任務で失敗をして・・・片方が命を落とした・・・♪」
ハニィに入れ替わりそう言うと、笑顔でテヘペロと自分の頭を叩いた。
二人はそれを見て、なんでそんなに笑って言えるのか不思議に思い、質問をしてみた。
すると、再びユアに戻り話をし始めた。
「まぁ、死んだことに対しては・・・私達は、最初から覚悟をしていたから・・・だから私達は、死んだ後もお互いを演じるって約束をした。だから私はユアであり」
「ハニィでもあるんだよ♪本来の姿がどっちかなんていう質問はひ・み・つ♡だからね♪それじゃあ~二人共~そろそろ私達は仕事なのだ!付き添い頼んだよ~♪」
そう言って、ハニィは扉を開けて出ていった。慌てて二人も早足になりハニィに付いて行った。
そんな中、ルナは軽く笑い始めそれにツラレて笑いながらハニィの後をついていった。
M'sK本部の正面入口前にて、止まっていた車に3人は乗り込みCROSS☆CASTの仕事のある、テレビ局に向かった。
車の中では、ハニィが高いテンションで二人と雑談をしていた。
「ねぇねぇ、リオちゃんはいつからM'sKに入ろうと思ってたの???♪」
「え!?わ、私ですか?えっともう、気づいた時には・・・あとやっぱりCROSS☆CASTの活躍が好きだったからかな♪」
「嬉しい事いってくれる~~~♪ちなみにルナちゃんは・・・フェイントで好きな人いる???」
「ひぇ!?好きな人ですか???えっとその・・・あの・・・」
普段、真面目なルナが慌てながら顔を赤らめているのを見てニヒヒと笑ったハニィは、ルナの頭をそっと撫でた。
「その気持ち、大切にしないとだね・・・大切な人とずっと一緒にいられるって本当に大切な事だから・・・」
ルナはそれを聞くと、静かに頷いた。
そして車は、CROSS☆CASTの仕事先であるテレビ局に到着するのであった。
到着前に、車の中でハニィはユアに入れ替わり、テレビ局の玄関で扉が開くと同時に、早歩きで入っていった。
スタジオに入るなり、そばに居たスタッフが用意していた衣装を着て、そのままカメラの前にユアは立った。
「ユアさん入りました。リハ無し、そのまま本番行きます。」
「皆さん、よろしくお願いします。」
「ではいきます!3.2..b」
すると、ユアの顔つきが代わり裏側のチェックモニターにも本番の映像が現れた。
【みんなの明日へ♪M'sK放送局、始まります!】
「みなさまこんにちわ。M'sK内広報担当チーム、CROSS☆CASTのユア・シュウハです。本日もM'sK放送局をご覧いただきありがとうございます。まず早速、本日の情報です。先日の黒い霧のが突如発生する事件に関して、現在はSTAR☆DROPが調査を行っております。霧の発生した際は、M'sK相談ダイヤルまでお願いします。続きましてトロリアの村付近でのモンスター大量発生の件ですが、Trydress【トライドレス】により沈静化、発生原因であったモンスターの巣の駆除にも成功しています。」
本番が始まると、やはり広報担当だけあり、すべての作業がなめらかに進んでいく。
そして、静かな笑顔で一つ、また一つと現状で起こっている事件の進捗状況や、解決した事件のお話をしていく、それはまさに現地以外で、もう一つの戦闘であった。
リオとルナは、それを観てただただ、唖然としていた。自分の知らない場所では、また別の戦いが行われていた事を観て、身体の震えが止まらなかったであろう。
「以上、本日の情報でした。CMの後はM'sKのアイドル、ハニィ・アシュリのライブコーナーです。」
そう言うと、映像がCMに切り替わり、スタジオ内の緊張は一旦落ち着いた。
だが、休んではいられず、スタッフは足早に隣に用意してあるライブ用のステージに向かい準備をし始めた。
ユアも、スタジオの隅に置いてある簡易更衣室に入り、ハニィへと姿を変えて衣装を着ていた。
更衣室から出ると、側に置いてあった鏡を観ながら、いろいろな顔をしながら笑顔を作っていた。
そして、右手でグーを作り良しっと言うとライブステージに立った。
「ハニィさん、あと10秒でCM明けます!」
「お願いします♪」
「5秒前、4,3,..b」
「は~~~い♪皆さ~ん♪M'sKのアイドル!みんなのアイドル!CROSS☆CASTのハチミツ♡、ハニィ・アシュリだよ~♪今日も~私の歌で笑顔にな~れ~♡じゃあ早速、今日の一曲目♪【CUTO】」
ステージ上で曲が流れ始め、ダンスをしながら歌い始める。
先ほどとは違い、激しいダンスも入れつつ、息切れせずに歌っているのもさすがプロと言ったところであった。
リオは、本気で頬を赤くしながらそれを見入っていた。
「すごい…これが、あのハニィさんとユアさんの技術…」
「でしょう…彼女は、本当に頑張っているわ♪」
ルナの言葉に、隣で一緒にいた女性が話してきた。
彼女は、この番組のプロデューサーであり、CROSS☆CASTの親友であった。
「いいでしょ、彼女♪ハニィは、凄い頑張っているわ。今の彼女は、本当に輝いているのよね♪」
「ハニィさんだけ?ユアさんだって頑張っていませんか?」
プロデューサーの言葉に、少し違和感を感じたリオが聞くと、彼女はキョトンとした顔でリオの顔を見てきた。
「あれ?彼女は言ってないの?」
「言ってないって?なんかあったんですか?」
「あ~、言ってないのね、彼女…」
そして、少し考えたあとに、プロデューサーが口を開いた。
「CROSS☆CASTは、今は二人で一人なんて、おかしな状態なんてことはないわ。あれは…ハニィ・アシュリが一人で、ユア・シュウハも演じているの。」
「えっ?演じてるって…それはどういった…?」
「ユア・シュウハと言う女性は…何年も前に死んだの。」
彼女の言葉は、あまりにもいきなりで、二人はそれを聞いても、反応することができなかった。




