第24話 またいつかのその先へ
プリンセス・スノウ・リングとの戦いから数日、彼女たちの戦いは【タイタンアウト】と言われ、M'skの情報機関に報告内容が保管されていた。
あの日死にかけていた三人も、ある程度の回復をしていた。
そして、いつものM'sK本部のエントランスのカフェで飲み物を飲んでいた。
「ルナとミアの怪我が大事にならなくて良かったよ~~~私はまだ、傷が治ってないし~」
「それはね~、リオは複数箇所に貫通してたし…普通に死ぬって…ねぇ、ミア…ミア?」
「…えっ!?ああ、そうだよね♪本当にリオったらね♪」
そう言いながら、ミアはコーヒーを手に取り飲み始めた。
二人は、普段ミアがコーヒーを飲んでいるのを見たことなかったため少し驚きながら、コーヒー飲んだっけ?と質問してみた。
「えっ?ああ…なんかね。私、紅茶苦手なんだよね…」
「ミア…ストレートティー好きだったと思うんだけど…」
「あ、違うの…なんか飲みすぎて逆に苦手になったの!ほら、好物が苦手になるあれよ♪」
そんな事を話しながら、ミアは笑っていた。二人も安心しながら、カフェで寛いでいた。
少し時間が経ち、ミアが時計を見ながら用事があると言い、今日はそこで解散をした。
そして、解散をした後に、ミアは一人で総監室へ向かった。そこにはクレハとシオン、日光と月光、そしてベルとアンの6人が待ち構えていた。
「ミアーシャ・コーリアス、到着しました。」
「いらっしゃい。とりあえず、ソファーに座って…」
言われるまま、ミアはソファーに座った。そして、座り次第にクレハがミアに向かって話しだした。
「報告受けました。ミアさん…貴方が使った魔法…それがどんなに危険な魔法だったのか、分かってて使ったんですか?」
「…はい。重々承知しております。」
「わかります。では、古代魔法が貴方の身体に与える悪影響もあることは?」
「分かっています。それも分かっていて使いました。そして、その影響も出始めています。」
それを聞いたクレハは、シオンと顔を合わせながら頷く。そして他の4人にも顔を合わせながら頷く。
「ミアーシャ・コーリアス…貴方はこの後どうしたいのですか?」
クレハの言葉に、一瞬の戸惑いがあったが、ミアは目の前にいる6人に怯まない強い目で口を開いた。
「ドールテン総監!そして日光師匠に月光師匠、ベル博士にアン教授…私は、今回の事でほぼ全ての魔力を使い切ってしまいました。病気の事もあり今後、現場での行動も難しいと思います。なので………私は、M'sKを辞めさせていただきたいと思います。」
「………最初から、そのつもりで今回戦ったのね………わかりました。貴方のM'sKからの退会を認めましょう…」
ミアの思いを聞き、クレハは了承しため息をついた。それをみた他の5人もしょうがないかと言うような顔をして、クレアに目を合わせた。
「…すみません。ドールテン総監…お願い事が…」
6人が目を合わせている途中、ミアがクレハに向かい進言した。
そして、自分のポケットから出した開発中のメモリーブレスと自分の腕に付けていたメモリーブレスの2つをクレハに渡した。
「この2つは、新しい魔法使い達にお願いします。ベル博士!強化インターフェイスも総監に渡しておいてください。」
「…わかった。ミアの思い、しっかりと新しい魔法使いに…いいよね?総監?」
「わかりました。メモリーブレス2つお預かりします。」
「………総監…もう一つ、ユキワは…どうしていますか?」
「彼女は、集中治療室で意識がないまま眠っているわ。いつ目覚めるかわからないけど、命に別状はないわ…」
それを聞いて、ミアは安心したのか胸を抑えながら息を吐いた。
そして、自分のM'sK会員証をテーブルの上に置くと、深々とお辞儀をして感謝を意を表し、その後部屋から出ていった。
それに合わせて、日光と月光、ベルとアンが出ていった。
「ミアちゃんは、コレでよかったんですよね…だって、二人にも辛いだろうし…」
「クレハ…僕は、あの娘達の決めた事を信じようと思うんだ。」
「…はい」
夕日が部屋に入る中、クレハとシオンは切なく苦しい顔をしながら、ただひたすら眼の前の扉を見つめていた。
翌日になり、リオとルナに総監室に向かうようにと命令が出ていた。
二人は、呼ばれたのが二人だけという状況を疑問に思いながらも、エレベーターを登り総監室に向かった。
部屋に入ると、クレハとベルが待ち構えており、クレハは二人にソファに座るように伝えた。
「さてと…二人に早速ですが命令です。魔法少女の方程式は本日より二人体制にて行動をしていただきます
。そして、ミアーシャ・コーリアスは本日をもってM'sKより退会となります!!」
「えっ!?ちょっとまって!!」
「ミアがM'sKを辞めたってどういう事ですか!!」
二人はクレハの言葉を聞くと、慌てて立ち上がりクレアの側まで近づきクレハにいろいろと質問攻めをしていた。
慌てて、側にいたベルがなだめながら落ち着かせていたが、なかなか二人共落ち着くまでに時間がかかった。
「やっと二人共落ち着いたか…総監、続きを言ってあげなよ~」
「そ、そうね…M'sK退会については実は彼女の意向なの…」
「ミアの…意向…?」
「そんな、どうしてそんな?傷も治ってきてたじゃないですか!」
「彼女はね…2つの病気を抱えていたの…」
「病気…?」
クレハはミアの持っていた病気を説明し、その進行具合と禁断の魔法の事についても話した。
大量の魔力を消費するが、代わりに強大な力を生み出す魔法であるが、ミアの状態でそれは自殺行為でもあったこと。
それを聞いて、二人の握られた拳にはよりいっそう力が入っていた。
言ってくれなかったミアに対してもだが、それに気づかなかった自分たちにも憤りを覚えて…
「ミアは…ミアは今、どこにいるんですか!?」
「…」
「総監!!」
「………今、どこにいるかは分からないわ…ただ、彼女は今日、この街を出ていくそうよ」
『!?』
クレハの言葉を聞き、二人は驚きを隠せなかった。今日一日だけで数えきれないくらいの衝撃があった。
そして、その場で言葉も出ずに立ち尽くすだけだった。
二人が、クレハとの話を聞いていた時、ミアはキュースケを連れて魔法病院の中にいた。
「………ユキワ、あなたには私の意思を受け継いで欲しい…二人を…いや…を…だから…早く目覚めなさい。」
「キュ~…」
ミアの言葉に、キュースケが鳴きながらユキワの側に寄り添っていた。
ミアは、それを見ながら医者の先生にキュースケを預け部屋から出ていった。
廊下を歩きながら、彼女は息を荒くし少し進んだ後に壁に手を付いき、深呼吸をした。
「ハァハァハァ…、大丈夫…まだ私は…駅に向かおう…キュースケは…総監に任せてあるから大丈夫だし…もう、いいよね…?」
そう自らに言い聞かせ、足をもたつかせながらミアは駅に向かっていった。
クレハの言葉を聞き、立ち尽くしていた二人であったが、リオは頷くと走り出し総監室の扉を開けようとした。
「リオさん!!どこへ行くのですか?」
「決まってます!ミアを連れ戻して、どうして相談してくれなかったか聞くんです!」
「それで、どうなるというのですか!?ミアさんが言わなかったのは二人を思ってだと分からないのですか?」
「私達を…?」
「リオ…総監の言っていること…私達が、ミアの事を意識しすぎると戦いにスキが出来るのを、ミアは嫌ったんだと思う…」
「ルナ………」
「ミアの事を考えれば、この決断はしょうがないと思う…」
「でも!!」
「分かってるわよ!!!!!!」
「!?」
「声に出して、ミアの考え出したことをしょうがないって言っても、私の心はリオと同じだよ!!でも…でもね…せめて、ミアの決めたことを私達が信じてあげないと…私達は三人で一人前なんだから…」
「………」
リオとルナが、自分達の思いをぶつけているの見ていたクレハとベルの元へ、シオンがノックをして部屋に入ってきた。
二人が今にも泣きそうなくらい涙を貯めているのを見て、シオンが口を開いた。
「総監…今日の書類なんですが、ミアさんが14時34分の列車で街を出ると言う連絡が入りました。街を出たのを確認して退会は完了ということでいいですね?」
「え?あぁ、はい。ありがとうございます。…!!。そういえば、街を出るのを確認するスタッフがいなかったわね…リオ、ルナ、あなた達にその任をお願いしてもいいかしら?」
「へ?それって…」
「私達がそれの任務をするって事は…」
「フフ、挨拶くらいしてあげなさい♪」
「…ルナ!!」
「わかってる。リオ行こう!!」
「よかったです。ちなみに、二人にお願いが…この手紙をミアさんに渡してくれませんか?私と総監の昔からの知り合いなのですが、何かあったら頼ってくださいと言う事が書いてあるので」
「了解しました。」
そう言うと、二人は足早に部屋を出て駅に向かった。
シオンは、さっそくクレハとベルのお茶を用意していた。クレハは椅子に座り天井を眺めながらため息をついた。
「どうか…今日くらいは、三人が笑顔でいてほしいわね…」
ミラサキーノ中央ステーション、ここはミラサキーノに存在する列車駅の中でも一番大きく、複数の国家や異世界へ移動をするための重要な施設となっている。
この駅ができたことで、ミラサキーノは技術発展が早く魔法と機械技術を合わせた研究の最先端を行えたのである。
そして、その駅のホームの椅子にミアは座っていた。その手には手帳を持っており、日記をそこへ書き綴っていた。
「…そろそろ時間か…楽しかったな…」
ホームに列車が入ってきた。扉が開くとそのまま列車へ入ろうとした。
入る直前に、町並みを一度見渡し、何かを思いながら再び前を向き列車に入ろうとした。
「ミア!!」
ふと、ホームの少し離れたところから名前を呼ぶ声が聞こえた。
振り返り見ると、そこには息を荒くしているリオとその後ろから、遅れてルナが現れた。
二人を見て、ミアも上げた足を下ろした。
「リオ…ルナ………」
本来であれば、二人に秘密でいなくなるつもりだった。それなのに、目の前にはその二人が現れたのだから、どうすればいいか分からず見た目は落ち着いていても、心の中で慌てるのも無理はなかった。
「二人とも………ごめっ」
「結ぶ、結ぶ思いは心の強さ…つながりの魔法使い………リオ・ミレーヌス!!………」
「…フフフ、四つの元素 今、我とともに 叡智の魔法使い ルナ・アンバーレイン」
二人が、ミアや複数の人達がいる前でポーズを決めながら名乗りを行った。
それを見ながら、ミアは少し考えたあと軽く笑いながら返した。
「優しき力 今生命の息吹となりて全てを包む 癒しの魔法使い ミアーシャ・コーリアス♪」
『三つの力 いま 一つと成りて魔導を制す! 我ら魔法少女の方程式!!』
「…ふ…ふふふ…はは、いきなりどうしたのよ…二人とも」
「ミア…私は…病気の事、M'sKを辞めたこと、街を出ていくことを教えてくれなかったこと…それを怒ってるんだよ!」
「………」
「でもね…ミアがどれだけ頑張ってたかは…見ていて分かってるんだよ。」
「私もリオも、ミアのユキワを助けたいって気持ちを見て、少しでも一緒に頑張ろうって思ってたのよ…私達は三人で一つなんだから…」
「リオ、ミア…ごめん…ごめんね…一緒に戦えなくなるって知って、どうしても言えなくて…」
二人の話を聞いて、自然に目から涙がこぼれ落ちた。それを見たリオとルナは、ミアのところまで走っていき、思い切り抱きついた。
ミアも、二人をを思い切り抱きしめ、気づいたら三人でしばし泣いていた。
「…そろそろ、行かないと」
「やっぱり、行くんだね…」
「そう…だね。いろいろと旅をして、また二人と一緒に戦えるようになりたいしね♪」
「うん…そういえばルナ!!」
「あ、うん。シオンさんから、これをミアに渡してって、なんかいざとなったらこの手紙を見てくれって…」
「シオンさんから?…わかった。ありがとう♪…じゃあ、そろそろ行くね♪」
そう言うと、ミアは列車に乗り座席に座った。ガラス越しにリオとルナが心配そうに見ていたが、ミアは笑顔で二人にピースサインをした。それを見て二人は一瞬キョトンとした後に笑いながらピースを仕返した。
そして、列車が少しずつ動き出した。二人はその動きに付いてきた。
だが、少しずつ速度が早くなるに連れて、二人とのどんどん距離がどんどん離れていった。
二人は、走るのを辞めミアに対して大きく手を振った。
「ミアーーー!!絶対、絶対にまた戻ってきてねーーー!!」
「離れていても!!私達は三人で魔法少女方程式だからね!!」
その声を聞きながら、ミアを乗せた列車は走っていった。
椅子の背もたれと窓の隙間にもたれかかり、少し目を閉じた。
「リオ…ルナ…約束、守れなくてごめんね。」
その頃、M'sK本部総監室では、クレハとシオンの二人がいた。
「あの二人、ミアさんに会えたかしら…」
「大丈夫ですよ。彼女たちは三人はクレハにとって最高なんでしょ」
「そうです。ですが!!古代魔法を使う代償が…」
「分かっています。古代魔法…強大な力な分、Vの因子に選ばれた者以外が使った場合…」
列車に乗っていたミアは徐々に意識がうつろうつろとし、そして言葉を少しずつ独り言のように言っていった。
「みんな…みんなと一緒に戦えたこと、嬉しかったな…みんな、さっきの二人………リオ………ルナ………あ…れ…?…誰だっけ………?」
シオンが放った言葉は、ミアの今の全てを物語った。
「その魔法を使用した者のほぼ全ての魔力と、記憶を失うのだから………」




