第18話 進むべき道、新たなる決意
エンランドとの戦いの後に、ミアは医師の診察を多めに見てもらっていた。
大きな戦いであればあるほど、使用する魔力量も多くなるため、2つの症状が悪化することを気にしていた。
検査の結果は、やはり症状は進行しており、ミア自身も落胆を隠せないでいた。
「やはり、どうしようもないですか…?」
「申し訳ないですが、今の医療技術ではどうししようも…やはり薬で進行を抑える程度が限界です………」
ミアは医師の説明に、顔を落とすしかなかった。
そんな時、診察室の入り口のドアが開き、外からベルが入ってきた。
「あれ?ミアっちじゃん?」
「ベルさん!どうしたんですか?」
「いや~、実験中に腕を痛めちゃって…ちょっとだけ見てもらおうとね♪ミアっちはどうしたのさ???」
そんな話をしながら、ベルは戸棚から塗り薬を出し、それを痛めた場所に塗りつけ更にその上に治癒魔法を唱えた。
「魔法は万能じゃない、アースから受けた技術と魔法の力は、両方使って更に良くなることもあるからね♪」
「アースの技術と、魔法の力………そっか…ベルさん!実はいくつか相談があるんですが…」
「相談???他ならぬミアっちの頼みならなんでも聞くよ~♪」
ミアは、未だにリオやルナにすら話をしていない病気の事、ブレスのメンテナンスで気づいた事、今後の事について悩んでいる事をベルに話した。
病気の内容こそ聞いた時に、ベルは驚きを隠せずにはいられなかったが、それ以降はミアが話し終わるまでしっかりと聞いていた。
話を聞きながら、ベルは何かを考えながら聞いていた。そしてミアが全てを話し終わるのを待って改めて話し始めた。
「ミアっちは、病気の事はリオっちやルナっちには言いたくないの?」
「………できることならギリギリまでは…」
「う~ん…そうだね。それならそれは二人には秘密にしておくしかないね♪俺でもそんな事になったら相棒には秘密にしているかもしれないし。でも総監には伝えておくこと!」
「はい…」
「あと、これは俺からの提案なんだけど、これから俺の命令でしばらく二人とは別行動を取ってもらいたい」
「別…行動ですか…?」
「そう。君には森林都市ハルジリンに行ってもらいたい。」
「ハルジリンって…確かあそこって…」
「そう、ラミイ最大の魔導図書館がある場所だ。そこで何か症状に対しての対策がないかを調べてみるといいよ♪」
「えっ、でも、それじゃ魔法少女の方程式は…」
「少しお休みかな、でもその間は日光と月光のサポートとして4人で動いてもらうから♪」
ベルはそう言いながら、書類を書き始めた。内容はミアに伝えた命令を正式な書面として出すためであった。
ミアは心配そうな顔で見ていたたが、ベルは笑顔で大丈夫と答えるだけであった。
期限は1ヶ月、その間に改善策を見つけること、そしてもう一つの大切な命令をベルはミアに伝えた。
それは、ミアが考えていたブレスのインターフェースを利用した新たな技術に必要な物の入手であった。
「ミアっちのその発想力はスゴイと思うよ~♪正直、俺はインターフェースをそう使うってのは考えてなかったなぁ~」
ミアの伝えた内容は、ベルも惚れ惚れするような革新的な技術であった。それはメモリーブレスを新たな進化への道とでも言うものであった。
悩むところもあったが、クレハへの報告をベルと共に行うと、クレハもベルの意見に同調し、ハルジリン行きを命じた。
そしてその命令は、リオやルナにも伝わり、日光と月光と共に行動することとなる。
命令が出てから半日後、三人は本部エントランスのカフェに集まっていた。
「今回の命令は本当に驚いたよ!!まさかミアの単独での任務とか」
「三人じゃない任務って初めてですよね…ミア、大丈夫ですか?」
リオとルナは、ミアだけ一人で行動することに心配していた。
普段、三人での行動で本部からの命令もチーム制での行動が多いため、今回の任務は本当に珍しい内容であった。
ミアは、紅茶を一口飲むと落ち着きながら話をした。
「大丈夫だよ♪今回の任務は単独行動の方が断然良い任務になるし、一ヶ月っていう長いスパンでの任務になるからね~。でも絶対成功させるよーブイ」
そう言いながら指でVサインを作ってリオとルナに笑顔で答えた。
横には大きな荷物が置いてあり、いつでも出発できる準備をしてあった。それはミア自身の決意でもあった。
「それにしても、唐突だよね~…今日すぐにってのも珍しいなぁ~」
「リオ…私、頑張ってくるからね♪あと…ルナ」
「うん?」
「私…絶対に成功させるから♪だから、リオのフォロー…頼みます」
ミアがそう言うと、二人は間を置いて笑いだした。
それを見て、ミアは顔を赤らめて頭に?を浮かべた。
「永遠の別れじゃないんだから~ミア、お互い頑張ろう♪」
「私だけじゃ、リオのフォロー頑張り切れないわよ。早く戻ってきなさいね♪」
「二人共…ありがとう…じゃあ、そろそろ頑張ってくるね…ミアーシャ・コーリアス!これより魔法少女の方程式を一時離脱し単独任務へ向かいます…ビシッ!」
ミアは二人に敬礼すると、横に置いてあった荷物を持ち外へと出ていった。
リオとルナはその後ろ姿を強い眼差して見ていた。
そしてミアは、ハルジリン行きの電車に乗り込みベルからもらった本を読んでいた。
「わぁ…お母さん!!この電車凄くオシャレだよ~♪」
「もう~…あんまり動くと転ぶわよ~!」
「あっ!?ふべしっ!!」
ミアのいる車両に、4歳位の女の子がはしゃぎながら入ってきて、母親はそれを心配していたが、案の定その女の子は転んでしまい、泣き出してしまう。
そこはちょうどミアが座っている席の通路側だったため、気づいたミアはその女の子に近づいた。
「大丈夫?痛かったよね、ここ擦りむいてるもんね。」
「いだいよ~、あちとおてていだいよ~~~」
「ミサネ!!あ、ごめんなさい。この子ったら電車に普段乗らないからはしゃいでたみたいで…」
「大丈夫ですよ♪…このくらいなら大丈夫か…えっと、ミサネちゃんって言うんだね~ちょっとまってね~♪癒やしの光を与えよ ヒーリングエイド…」
怪我をして泣いている女の子を見て、ミアは魔法を使ってキズを直した。
それを見ていた女の子は、驚いたような顔でキズ口を見ていた。
そしてミアを見つめてキラキラしていた。
「スゴイ!!おねえちゃん、まほうつかいなんだね!!」
「…そうだよ~♪お姉ちゃんね。皆を守る魔法使いなんだよ~」
「しゅごい!おねえちゃん!しゅごい~♪あくしゅしてください~♪」
喜んだ少女は、ミアをずっと見ながら再びはしゃいでいた。
そして握手を求めた女の子に、ミアは喜んで握手をした。
「こんな私で良かったら♪」
「はい♪あくしゅ~♪………おねえちゃん…」
握手をした少女は、急に顔が暗くなりそして再びミアの顔を見つめた。
それは先程のキラキラ輝いていた瞳ではなく、何かを心配するような目でミアを見ていた。
「ん!?どうしたの???」
「おねえちゃん…おねがい…なにがあっても…ふたりのおねえちゃんをまもるのに…あのまほうだけはつかっちゃだめだよ!!」
「!?ねぇ!!あのまほうってなに?ミサネちゃん!」
ミアが強い言葉でミサネと言う少女に声を掛けると、ミサネは少し恐怖を感じたようで母親の後ろに隠れた。
それを見て、少し自分が焦っていたのを感じていたのに気づいた。
「ごめんなさい。この子ってたまに人に触れると何かが見えたように話をしてくるのよ~」
「あ、ごめん…なさい…驚かせちゃったね…ミサネちゃん。心配してくれてありがとう♪お姉ちゃんね、ミサネちゃんが言う魔法は絶対使わないよ~」
「…ほんとう?」
「本当だよ♪」
「やくそくだよ…あとね~…」
「な~に~?」
「わたしも、まほうつかいになれるかな…?わたし、まほうつかいになりたい…」
それを聞いたミアは、少し戸惑ったが、すぐに満面の笑顔をミサネに見せて答えた。
「なれるよ。信じていれば、絶対スゴイ魔法使いになれるよ♪私が保証する。良かったら…」
そう言うと、ミアは自分の右手の人差し指に付けていた指輪を外してミサネに渡した。
ミサネはその指輪を指にはめようとしたが、どの指でも緩く抜けてしまっていた。
「ミサネちゃん。もしその指輪が…右手人差し指にはまるようになったら魔法使いの学校に来てね。そうすれば、ミサネちゃんはすごい魔法使いになれるから…」
「………わかった♪お姉ちゃんありがとう♪」
ミサネは笑顔でそう言うと、ミアの頬にキスをした。
ミアはビックリして顔を赤くしていた。ミサネはしてやったりといった顔をし、手を振りながら母親と一緒に取っておいた席のある車両に歩いていった。
「あの魔法………一体、それに二人ってやっぱりリオとルナだよね…」
ミサネの言っていた言葉を気にしながら、ミアを乗せた列車はハルジリンへと向かって行った。




