第17話 夢・現実・運命・そのとき
薄暗い霧の中、周りには人の気配も無くどれだけ歩いても、その霧を抜ける事は出来なかった。
暗い闇の中で、見えない道を不安になり、彼女は少しずつ足早に歩き始めた。
いくらかの時が過ぎ、彼女は息を切らしながら走っていた。暗い闇の空間の中、彼女は一人の恐怖に怯え、何かから逃げるように走った。
どれくらい、いったい何時間が経っただろう…疲れ果て歩くのを止めてしまった彼女の前で、突然霧が晴れてきた。
夕焼けとはまた違う、オレンジに染まったその場で彼女は見てしまった…
「っ!?………うそ………なんで…リオ!ルナ!!」
それは身の毛もよだつような光景だった。鋭く長い支柱のような物で腹を貫かれているリオ、血だらけで正座のような状態で倒れるルナ、二人は既に事切れていた。
彼女は、それを見て目を疑い、恐怖で足を交代させた。その時、彼女の足に何かが当たった。
彼女は恐る恐るその当たった物を確認するため、顔を向けた…
「うそっ…うそ…うそ………わたし………」
そこにいたのは、二人を守ろうとし、魔法障壁を作ったであろう状態で立って事切れいるミアだった。
自分をみた彼女は、その恐怖で座り込み絶望に打ちひしがれていた。
すると、眼の前が急に光りだした。眩しい光で一瞬目を閉じた後、その光った先を見ると…そこにはスノウ・リングが立っていた。スノウ・リングは手に持っていた魔力を解き放ち、既に事切れているミアに放った。
それを見たミアは、座り込んでいた腰を上げ、もう生きてはいない自分の前に立ちかばおうとした。
「い…いやああああああああ!!」
「ハッ!?…ハァ…ハァ…夢………?」
そこには、見慣れた天井があった。自分の家、自分の部屋のベッドの上、それを見てさきほどまで見ていたものが夢であることに気づいた。
目が冷めたミアは、息を切らしながら腰を上げ手の胸に当てて落ち着かせていた。
そして暗い部屋で静けさで、不安になっていたその時に部屋の扉をノックする音がした。
「ねぇ~、さっき凄い叫び声してたけどどうしたの?」
「あ、大丈夫だよ~。ちょっと怖い夢を見ただけだから…」
「わかった~まだ早いからもうちょっと休んでれば?」
「うん。そうする~♪」
家族が心配して様子見をしていたが、ミアの言葉で安心して部屋に戻っていった。
ミアは、心を落ちかせて立ち上がると自分の机に向かい椅子に座った。
机に置いてあるパソコンを立ち上げ、メモリーブレスをコネクタで接続しプログラムを確認していた。
「…スノウ・リングと最後に戦ったのは半年前…そしてつい最近、戦ったエンランドまでの間にキングダム関連の事件は起きていない。私達はその間にも戦いのための練習もしてきた…でもあの夢が本当に起きるなら…」
ミアは、机に手を降ろす。夢の事を思い出し、その手は震えていた。
そしてパソコンを触りながら悩んでいた。
「そういえば、パソコンってアースとの国交が開始されてから入ってきた技術なんだっけ…オオカ先生の生まれ育った世界の技術、魔法と組み合わせて出来たのがこのブレスとかベル博士が言ってたなぁ…インターフェースを利用してブレスの強化出来たりしないかな………?本部に行ったらベル博士に聞いてみようかな」
そんな事を言いながら、ミアは机の上にあった薬を4錠ほど取り水と一緒に飲んでいた。
薬には魔力回復促進剤・1回2錠 1日6錠までとの記載があった。
「っ…やっぱり、大きな魔力を使うと数日間は不安定になる…あぁ…どうしようかな~」
数週間前、エンランドとの戦かう数日前のこと、ミアは二人には秘密で中央魔導病院内M'sKスタッフ管理病棟に行っていた。
自分の使っている魔法でどうしても違和感を感じて、念の為見てもらうことにした。
M'sKスタッフ管理病棟には、専属の医師がおり、M'sKの現地魔法使い全員の治療や体調管理をしている。
今回、その医師に身体を見てもらうことにした。
「先生、どうでしたか?」
「う~ん、まぁ…あんまり言いづらいけどね…魔力回復遅延症が起きてるね。」
「魔力回復遅延症…?」
医師が伝えた症状は、魔力をある程度使用するとそこからの回復に時間がかかるとのこと、M'sKの上位魔法使い程度になるとある程度の魔力を消耗した場合、全回復にかかる時間はおおよそ半日から1日程度だるが、現状のミアの状態であるとほぼ全ての魔力を使うと全回復するのに3日はかかっていた。
それでも、なんとかこの半年はキングダムとの戦いがなかったため、大きなトラブルもなくなんとかなっていた。
しかし、医師の言葉には更に続きがあった。それはミアに対して追い打ちを掛けるような最悪な状況であった。
「ミアさんは、合わせて魔力器収縮症も発症しています。これは正直、最悪な組み合わせの症状になります。」
「魔力器収縮症って…?」
「魔法使いは、ご自身が使える魔力を体内で貯めてる部分を、よく器とか入れ物で表現していますよね。我々はそれを魔力器と呼んでいます。魔力器収縮症はその魔力を貯めておく器が小さくなる病気です。」
「…それって………」
「ミアさんの魔力器の大きさはかなり大きかったので、この症状が発生したのはおそらくだいぶ前だったのだと思いますが、すぐにはわからなかったのだと思います。ただ、今回は魔力回復遅延症が併発したため、大きな魔力を使った時に違和感を感じたのだと思います。」
医師は、ミアに2つの症状が起こす症状を説明しつつ、できるだけ今後は戦闘での魔力消費を抑えるように説明した。
その症状は、魔力消費が大きければ大きいほど、身体にかかる負担が大きいく、症状が悪化する事を合わせて伝えた。
そして、医師は最悪の話をミアに話した。
「今は薬を出しますので、それで症状緩和はできますが、この2つの病気は未だに改善策がありません。なので………最悪の場合、魔法使いを辞める事になります。」
「そんな!?………魔法使いを…辞める………?…それって…M'sKを…?…魔法少女の方程式を・・・・・・・・・?…辞める………?」
絶句だった。ミアにとっては魔法使いを辞めるということは、リオやルナと共に戦うことも出来ないということ…それを聞いて魂が抜けるような状態であった。
医師はできるだけ戦闘では大出力の魔法使わない事、処方する薬は必ず飲むことを指示された。
そんな状況の中、エンランドとの戦いがあり、更に症状が悪化したのは言うまでもなかった。
ミアは、そんな事を思い出しながら、机の上のPCをにて引き続きブレスのメンテナンスをしている。
「なんとか、私のできる事を考えないと…この2つの症状なんとかしないと…」
ミアは、自分の症状をなんとかするため、模索をしていた。
そして、新たな戦いが始まる。




