ま
全く覚えていない。夢なんてそんなものであろう。ただ頭が酷く痛む。少し寝過ぎたのかも知れない。会社に行っても働く気がしない。全てがぐるぐると俺の周りを回っている。俺はその中心で立ち尽くしているだけ。無力感に苛まれるが、頭を抱えていたって何も始まらない。始まらないどころか、次第にこっちに波が押し寄せてくる。それを俺は必死に押し返さなければならない。毎日をただ目的も無くやり過ごすのはなかなか難しい。このてんでちぐはぐな生活の断片をかき集めて、何か一つの目標とか大義とか、そういうものに傾注できたらどんなに有意義だろうと思った。だがそれもまた難しい。生活にはいろんなものが必要だ。俺らは皆大概八方美人になっていろんな方面を向いて押し寄せる荒波を押し返さなければならない。何の為に生きるか?そんな事は生きていないと考えられない。だからとりあえず生きる。生きているうちに忘れる。忘れて死んでいく。それで誰も文句は言わないだろうが、とは言え虚しすぎやしないか?俺は何だか孤独という文字が自分にぴったりだと思ったが、そういう言い方すら自分にはかっこ良過ぎる気がした。実際は孤独なんてものよりもずっと惨めで、何も生まれない、何も始まらない状態だ。
部屋の掃除をしていたら、去年の手帳を発見した。俺はそれを繰ってみた。自由メモ欄にはこう書いてあった。
今年一年ももうすぐ終わる。だが俺は去年と何も変わっていないわけだ。このまま新年を迎えても、また同じ一年を送る様な予感がした。いや、予感というよりももっと強い確信を持ったものだ。




