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 ひひひ…。もう駄目でございます。あなたもそのことが分かっておいででしょう?ろくでもない欲を出して得意げに駄文を書き散らした挙げ句に、こんなおいうえお作文にお手を煩わせているようでは先が知れています。大体あなたには何かを積み重ねてものにした経験などおありにならないでしょう?書くために書く?ひひひ、ご冗談を。あなたは結局何でも良かったのでございましょう?とりあえず暇をつぶせて、元手がかからなくて、それでいて一応は夢のある分野で…。そもそも夢なんてものも幻想に過ぎないことをあなたはよくご存じのはずですが、不思議なもので分かっていても手を出したくなる。つまりそれだけ未熟なのでございましょう。

 もういい加減にしておやめなさいまし。よろしゅうございますか、才能だとか運だとかいうものは決してあなたが考えているような漠然としたものではございません。古今東西を探してみても、夢を叶えた人物など一人もおりません。いるのは階梯を一歩ずつ着実に登った人でございます。どんな境地に辿り着こうとも、彼らにとってそれは夢ではないのです。ただ一段高いところに登ったに過ぎないのでございます。そうしていつの間にか高みに立っているのでございます。いつまでも夢を見ているあなたには結局何も出来ないのでございます。お説教がましく思われるかも知れませんが、私はあなた様の為に申し上げているのでございますよ。

 世の中にうまい話などないに決まっております。あるように思われたなら、きっとそこには何か罠があるに相違ございません。しかし殆ど職場と家の往復しかしていないような閉鎖的な環境の中にいる分際でよくもまあそんな誇大妄想を抱けたものでございます。世間知らずは週末にあおる一杯の酒を楽しみに生きていれば分相応というものでございます。

 そもそもあなたの様な平々凡々たる人生を歩んでおられて、しかも確固たる学もなく、さりとて独創性に富んでもおられないお方が作家になりたいなどと、甚だ荒唐無稽な話でございます。ええ、笑止千万でございます。この際だから、はっきり申し上げておきましょう。よろしゅうございますか、あなたにはこれっぽちの可能性もありません。幼い頃より特段文学に親しんでいらっしゃった訳でもございませんでしょう?それどころか高校生にもなって『竜馬がゆく』に一巻で挫折したではござりませぬか?『坂の上の雲』にいたっては登場人物が多過ぎるなどと詰まらぬ事を仰って古本屋に売りに行ったではございませんか?国語の成績はどうでした?目を覆いたくなる程惨憺たるものだったでしょう?そんな輩がよりによって作家になりたいなどと、おやめなさいまし。厚顔無恥も甚だしい事でございます。

 あ!どこに行かれます?お待ちなさいな…。


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