第8話 正しい開け方なんて誰が決めた?
「俺が踏んでる」
「リクはどうするの?」
「あとで考える」
「先に考えなさいよ!」
エリスはそう言いながらも扉の向こうへ。
俺がスイッチから降りる。
石扉が閉じた。
「リク!」
向こう側から声。
「大丈夫!」
「何が大丈夫なのよ!」
さて。
扉。
壁。
接合部。
「こういうマップの継ぎ目って怪しいんだよな……」
手で触れる。
ログ。
《接触:壁》
少しずらす。
《接触:扉》
境界で身体を押し付ける。
《接触:壁》
《接触:扉》
《移動補正》
《移動補正》
「……ん?」
判定が高速で切り替わる。
《世界仕様書》。
《接触判定》。
《移動》。
「補正が競合してる……?」
「リク?」
「ちょっと試す」
「何を!?」
壁と扉の接合部へ背中を向ける。
斜めに押し付ける。
一歩。
後ろへ。
《移動補正》
身体が僅かに横へずれた。
「……いける」
「何してるの?」
「壁抜け」
「は?」
もう一歩。
ガリ。
肩が少し壁へ沈む。
「ちょっと! 身体埋まってる!」
「いけるいける」
「何がいけるのよ!」
壁側が右へ。
扉側が左へ。
補正がぶつかる。
その間へ身体が少しずつ押し込まれる。
「昔あったんだよな、こういうの……!」
「昔何があったのよ!」
あと一歩。
背中から押し込む。
ズルッ。
「うわっ!」
視界が一瞬石で埋まり――。
次の瞬間。
俺は扉の向こう側へ転がり出た。
「…………」
エリスが固まっている。
「抜けた」
「抜けたじゃないわよ!!」
「やっぱ接合部か」
「なんで壁の中通ってきたの!?」
「判定が――」
「意味分からない!」
その時。
エリスが指をさした。
「あそこ」
「ん?」
壁に普通のレバー。
「……何それ」
「解除装置」
「…………」
「普通に開けられたんだけど」
「……まあ」
「まあ?」
「壁抜けできるって分かったし」
「絶対反省しないわね!?」
奥へ進む。
保存状態が明らかに変わった。
「ここから先、別エリアっぽい」
「またその言い方」
広い円形空間。
中央。
巨大な石像。
「……あれ、動かないわよね?」
「そういうこと言うと――」
ズン。
石像の目が光った。
「ほら」
「言わなきゃよかった!」




