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異世界の仕様書を拾った元廃ゲーマー、世界のバグを攻略する  作者: Naoya


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第2話 インベントリがあるなら検証するしかない

《インベントリに収納しますか?》


 何度見ても消えない。


「いやいやいや……」


 俺は石を握ったまま、その場にしゃがみ込んだ。


「本当にあるの?」


 半信半疑で、


「収納」


 と言ってみる。


 石が消えた。


「…………」


 手の中には何もない。


「おお……」


 恐る恐る思う。


 出せ。


 次の瞬間。


 石が手の中へ戻った。


「おおおお……!」


 さっきまで混乱していたことなど一瞬で吹き飛んだ。


「インベントリだ!」


 本物。


 本当に、本物のインベントリだ。


「すっげえ……!」


 何度も入れる。


 出す。


 入れる。


 出す。


「どうなってんだこれ!」


 当然、次に浮かんだ疑問は一つだった。


「……どこまで入る?」


 そこからは早かった。


 まず石。


 一個。


 二個。


 三個。


 十個。


「まだ入る」


 拾う。


 入れる。


 拾う。


 入れる。


 気づけばかなりの数になった。


「個数制限は……まだ分からないな」


 次。


 大きさ。


 小石。


 拳大。


 頭ほどの石。


 全部入る。


 今度は倒木の破片。


 入る。


「重量は?」


 持ち上げられる範囲しか試せない。


「そこは後回しだな」


 次。


 地面から生えている草へ手を伸ばす。


「収納」


 反応なし。


「ん?」


 引き抜く。


 根ごと抜けた草を持つ。


「収納」


 消えた。


「なるほど」


 今度は木の枝。


 木についている状態では入らない。


 折る。


 収納。


 消える。


「繋がってるとダメ……?」


 こうなると止まらない。


 石。


 枝。


 葉。


 草。


 自分の靴。


「……靴も入るのか」


 片足だけ靴下になった。


「いや、これは戻そう」


 便利すぎる。


 そして何より面白い。


「でも記録取りづらいな……」


 紙もペンもない。


 スマホもない。


「ゲームならログとか見られるんだけど」


 何気なく呟いた瞬間。


 視界の端に新しい表示が開いた。


《LOG》


「…………」


 俺は固まった。


「あるの?」


 さっきまでの記録が簡単に並んでいる。


《対象を収納しました》


《対象を収納領域より排出しました》


《対象を収納しました》


 全部ではない。


 かなり簡素。


 でも確かにログだ。


「いや、最高かよ」


 思わず笑った。


 インベントリ。


 ログ。


「これ、完全にゲームじゃ――」


 言いかけてやめる。


 ここが何なのかはまだ分からない。


 でも少なくとも、俺が知っている世界ではない。


「……まあいい」


 分からないなら調べる。


 昔からそれしかやってこなかった。


 近くの石を拾う。


 表面に湿った泥がついていた。


「これ入れたらどうなる?」


 収納。


 石が消える。


 泥だけが手のひらへ落ちた。


「……お?」


 石を取り出す。


 泥はついていない。


 ログを見る。


《収納対象:石》


《付着対象:収納対象外》


「別物扱い……」


 同じように見えても、システム側では分かれている。


 俺は泥と石を見比べた。


「じゃあ……」


 自然と口元が緩む。


「どこまでが“一個”なんだ?」

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