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異世界転生した看護師の規格外な冒険物語 ※なお、スキルに頼れたのは最初だけ(悲)〜冒険編〜  作者: VANRI


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モグラ竜

「何か策があるのか? モグラなら光とか……?」


 トニーは泥を払いながら立ち上がり、空に向かって剣を振った。


「モグラは元々目が見えないので、別に光に当たっても支障ないんです。鼻の嗅覚や聴覚で僕たちの場所を特定している筈です。 

 まあ、ドラゴンの要素もあるので、どこまでモグラの生態が関係しているのかわかりませんが……」


 トニーが剣を構え、モグラ竜を捉えている。


「で? 今言ったのは特徴だろ? 

 それにどう戦えって?」


 フランも剣を構えつつニヤッと笑い、答える。


「モグラは、胃袋が空になると餓死して死んでしまうんですよ。トニーさんと戦ったことで、普通に生活するよりエネルギーを消費しているようですよ、ホラ」


 フランが顎で差した先を見ると、明らかに先程より動きが悪くなっているのがわかる。


「で? アイツが腹減るまで逃げ回れって?」

 トニーが呆れつつフランに目をやる。


「ハハッ……そんなの御免です。体力なくなるじゃないですか。

 もう決めましょう」


 そして、フランはモグラ竜を指差す。

「あれは皮膚は硬いですが、粘膜なら剣も貫けるでしょう。トニーさんは鼻をお願いします。僕は目を狙います。

 動きが鈍くなった今がチャンスです!」


「よし! 行くぞッ!!」

そう言いながらトニーは走り出す。

 モグラ竜はゆっくりだが、確実にこちらに来ようとしていた。


 二人はモグラ竜のギリギリの距離まで近付き、トニーは身体をモグラ竜の下へ滑り込ませ、フランは頭上高く跳躍する。そのままの勢いで、二人は剣に水流を纏わせフランは剥き出しの左眼へ、トニーは鼻へ垂直に剣を突き刺した。


「ガァアアアアッ!!!」


 目と鼻の両方を同時に攻撃され、どちらからも血飛沫が勢いよく噴き上がる。モグラ竜は、耳が潰れるほどの雄叫びを上げ、その場でジタバタと暴れ出した。また砂埃で視界が悪くなっていく。


 モグラ竜はバタバタと前足を激しく交互に動かし出し、あっという間に土の中に潜り姿が見えなくなった。


「どうする!? 追うか!?」

トニーが息を切らしながらフランへ問いかける。


「あれだけ深手を負わせたからもう永くはないでしょう。ですが……追うことになりそうですね」


 フランが息を整えながら剣を鞘へ戻している。

砂埃が落ち着いた時、二人の目の前にはポッカリと大きな穴が開いていた。


 フランはその穴へ近付き、穴の入口にしゃがみ込んだ。穴は一直線に続いており、一番奥にはうっすら日の光が見える。


「本当は、この先にある高い山を超えて行かなければならなかった。けれど、この分だとこの穴を通って行けば早めに着くことが出来るかもしれません」


 トニーは大きく息を吐いた。

「最悪な怪物だと思ったが、多少は役に立ってくれたみたいだな」


 

 

 穴の中へ身体を滑り込ませるように進むと、ズシャアッと二人が土を滑る音が穴の中に響く。穴は広く、二人は背を低くすることなく歩くことが出来た。それは同時に、モグラ竜の大きさを物語っているようだった。

 土の湿った匂いが身体にまとわりついてきて、フランは顔をしかめた。だが、すぐそれにも慣れ、上から時折降ってくる土すら気にならなくなる。

 入ったすぐは穴の暗さに目が慣れず、中が良く見えなかったが、外からの間接的な光で中を見ると、鋭利な爪で引っかかれた跡が幾多にも重なっている。


 フランが歩きながらポツリと言う。


「でもおかしいな……、こんなモグラ竜の存在は聞いたことがない」


「ああ……元々ドラゴンは、理由なく襲ってくることもなかった」


「嫌な予感がしますね……

本当に急いだ方がいいのかもしれない」


 足早に穴の中を進んでいく。中は真っ暗なのだが、先にある挿し込む日の光がより一層強調され、目指す先がわかりやすい。


 日の差し込む位置に辿り着き、その差し込む先を見る。触ったところ、土が脆そうなので軽く突付けば上に出られそうだった。


 モグラの穴はもっと先まで続いており、暗闇になっているためその先のことはわからない。耳が痛くなるほど静かなので予測も難しい。


 トニーが、剣の鞘を使い数回突くと、ドサドサッと土が落ちてきた。それと同時に突き刺さるような眩しい光が射し込んできた。

 二人は思わず目を手で覆ったが、まずトニーがその光の射し込む方へと土の壁に足をかけよじ登った。

 外に出たトニーは、穴の中のフランに手を伸ばし、引っ張り上げる。

 穴の外に出て感じた久しぶりの力強い風は、今まで感じたどんな風よりも心地よく感じた。


 フランはその風を感じながら、背を低くして全身についた泥を払い始めた。


「さあ、行きましょうか。……トニーさん?」


 トニーが進行方向を向いたまま、動こうとしない。振り向くことなく、トニーが口を開いた。


「どうやらそう上手くはいかないみたいだな」


 トニーはゆっくり剣を抜き始めた。

フランが立ち上がりトニーの見ている先を見ると、予想だにしない驚くべき光景が広がっていた。





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