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異世界転生した看護師の規格外な冒険物語 ※なお、スキルに頼れたのは最初だけ(悲)〜冒険編〜  作者: VANRI


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新たな目的地

「じゃあどうしたら……? 

 新たな魔剣を手に入れるには何処へ行けばいいの?」


「それも調べております」

イーサンが穏やかな声を出す。

「魔道具を作る国に行けば、手に入ると思われます」


「それって……」


ゼインに目をやると、私が言おうとしていることを察したようだった。


「ああ、恐らくそこがリオールの生まれた国だ」




「僕の生まれた国?」



 振り返ると、リオールがちょこんと座りこちらを見ている。


「リオール!!」


 駆け寄り抱き締める。

「怖かったよね、苦しかったよね……

ごめんね、早く助けに行けなくて……」


「メアリーが助けてくれたんだよね……

 ありがとう……」

リオールの手が、私の背にしがみつくように力が入るのを感じる。


 「それより、僕の生まれた国がわかったの?」


 腕の中からの声に思わず身体を離す。

真剣に見つめられて目を逸らしてしまう。

「そう……そうなんだけど……」


「大丈夫だよ」

その言葉に反応し視線を戻すと、リオールのそのままの瞳と視線が合う。


「僕の家族や仲間がどうなっていたとしても、小さい頃の記憶がない僕は傷つかないよ。

 どんな風に思えたらいいのかもわからないし」


「そうね……」


 リオールが不憫にも思えるし、思い出が深くない為に傷が浅くて済むことが幸せにも思える。


「ただ、本当のことは知りたい。

 僕はどんな国の生まれで、どんな力があるのか。

 それで、一緒にいた子供たちはどうなったの?」


 リオールに、迷いながらも丁寧にこれまでのことを話した。

ミサンガや母親の力のことなど、予測出来ることまで。そして、野獣になった経緯や解毒薬を手に入れようとしていることも。


 リオールは時折考え込む様子を挟みながら、そして頷きながら話を聞いていた。話が終わると、それを待っていたかのように話しだした。

 

「僕は、僕が生まれた国へ行ってみたい!!」


「そう……だよね、そうよね……」

「行けないの?」


 私の反応を見て不思議そうに首をかしげる。


 リオールを連れて行って危険ではないだろうか。

せっかく救うことが出来たのに、また危険に晒しては……



「行くか?」

ゼインが背後から顔を出す。


「行く!」

リオールはとびきりの笑顔を見せる。


 私の反応など気にもせず、セインはリオールを高く抱え上げる。


「俺が守る。行こう。お前の国へ」

「うん!」

リオールが子供らしい笑顔で応える。


 なんか親子みたいだな……と二人を温かい気持ちで見ていると、不意にゼインと目が合う。

腕に抱えられたリオールもこちらを見ていた。


「よいか?」


「うん……。ゼインがいてくれるなら安心だし……」


 私の答えを聞いたリオールは、益々笑顔を輝かせている。それを見て温かい気持ちになるのを感じる。



 だが、まだやらねばならないことがある。

二人から離れてトニーたちの元へ向かう。


 トニー、フラン、ミアは離れた所に立っており、城から目が離せないでいた。

 だから私が近付いていることに誰も気付かない。


 トニーが血が出るほど強く拳を握りしめているのが見える。距離が近くなるにつれ、三人の押し殺したような話し声が耳に入ってくる。


「今から戻れないのか……?」

トニーが城を見下ろしたまま、祈るように呟いた。


 フランが木陰に腰を下ろし、俯きながら口を開く。

「無理でしょう……。

僕たちはもう魔力も残ってない。

 行ったところで無駄死に……」


「俺は……!

 ずっと子供の頃からあいつと一緒だったんだ!!

困った時は助け合って、楽しいことは分かち合って……

 今まであいつが誰かを見捨てたことがあったか!?

人が困ってる時は、知らない奴にでも……悪人にでも手を差し出すような……奴だろ……」


 トニーの声が震え、弱く小さくなっていく。

そして、ゆっくり膝をついた。


「そんな奴を俺たちは……見捨てたんだ」

トニーの涙声が真っ直ぐに心に届いてくる。悲痛な表情が心を揺さぶってくる。

 あの決断は間違っていたのか、命を捨てる覚悟で戦うべきだったのではないかと、あれから考えなかったことはない。

 でも、あの決断があったから、ここにいる皆は少なくとも命が助かったということを、何度も何度も自分に言い聞かせてきた。


 フランは、トニーの声を聞きながら自分の膝に顔を伏せている。ミアは何も言わず立ったままでまだ城を見つめていた。

 だが気配で気付いたのか、パッと顔を向けられる。


「メアリー様……!」


 ミアの声に二人が反応し、私に目が向けられる。

だが、トニーはハッとした顔を見せ、すぐに険しい顔で私から目を逸らす。



「話したいことがあるから三人にも来てほしいの」

トニーの様子を気にしないふりをする。自然と手に力が入る。


 トニーとフランが立ち上がったのを確認し、ゼインたちの方へ歩き出す。

 もう後戻りは出来ない。






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