メリハリを付けた展開を
あまり小説を読まない私ですが、時々気になった作品に目を通すことがあります。結構気まぐれなので、「これ面白そう」というよりも、「なんとなく」で読むことが多いです。
「小説家になろう」の作品だと、大抵異世界物、バトル物に当たります。異世界物は偏見もあってあまり好きではないのですが、将来書くこともあるかもしれないので勉強のために読んでいます。
しかし、割と多いのは「序盤から飛ばしすぎ」「最初の戦闘から時間かかりすぎ」という作品です。
例えば、ホラー作品は何故恐怖を感じるかというと、その作品に怖くない場面や日常場面があり、そこから怖い場面に入るからです。ずっと怖い場面ばかりだと、一番怖がらせたいところであまり恐怖を感じなくなってしまいます。
バトル物だと、例えば最初の方は登場人物の特徴や能力を示すために、弱い敵との戦闘シーンを書いた方がいいでしょうし、強さを比較させるためにその敵に対して「どのくらい苦戦するのか」ということを書いた方がいいでしょう。
物語を書く指標として「起承転結」や「序破急」というものがありますが、それにも関連してきます。
まずは物語の切っ掛け(「起」や「序」)があり、そこからクライマックスへ向けての準備や発展があり(「承」)、急展開が待ち受け(「転」や「破」)、盛り上がるシーンや終わりを迎える(「結」や「急」)。いろんな話を読んでも、こういった構成はほとんど同じだと思います。
これはある話の一部だけではなく、物語全体の構成でも「起承転結」「序破急」が存在します。
最初の話は世界観や登場人物になじんでもらうための話、次はそれらの設定からもう少し踏み込んだ話、そして大きな転換期を迎える話、最後に世界観や登場人物の能力、伏線をフル活用した結末の話……といった感じです。こうすることで読者は徐々に世界観になじんでいき、登場人物に感情移入していき、最後で感動できるわけです。
しかし、世界観や登場人物の能力をあまり把握していないうちから飛ばしてしまうと、読者としてはいろいろと疑問を持ってしまうのではないかと思います。バトル物だと、「この登場人物とこの登場人物、結局どっちが強いの?」とか、「説明ではこれだけ強いのに、何であっさり負けるの?」とか、「チートなのに全然チートしてない」とか、そういった感想を持つでしょう。
書く側としては、読者を引き付けたい一心や早くその場面を書きたいという一心から、最初から盛り上がる場面を作りたくなるものです。
しかし、ただ単に盛り上がる場面ばかりだと読者は飽きてしまいます。
日常場面やゆっくりとした場面などがあるからこそ、盛り上がる場面で盛り上がるのです。