視点変更のデメリットとタイミング
視点変更は、私が小説を読む時に何故か特に気にする一つです。
小説の舞台は一つとは限りませんから、舞台や追っている登場人物が変われば視点も変わります。いくつもの舞台にわたって展開される話なら、何度も視点変更することがあるでしょう。しかし、視点変更はいろいろと注意することがあるのです。
マンガやアニメ、ドラマなどと違い、視点が変わる時には勝手に読者の想像している画面が変わるわけではありません。文章の内容から、「場面が変わった」ということを提示しなければならないのです。
特に初めて出てくる場所の場合、そこがどういう場所なのかをしっかり説明しなければなりません。しかし、あまりに説明が長いと読者が飽きてしまう……といったジレンマが起こります。
二回目以降は詳しい説明は必要ないでしょうが、それでもちゃんと場面が切り替わっていることを提示しなければ、読者は混乱してしまいます。
同じ場所でも、時間が経てば風景や天候、そこにある建物や物、人なども変わってくるでしょう。そういったことも書いていく必要があります。
また、場所だけでなく、「誰を追っているのか」ということも意識する必要があります。特に三人称一人視点の場合は、追っている登場人物によって心情描写が書けるのかどうかということが変わってきます。
同じ舞台であればそこまで情景描写などは必要ないでしょうが、視点変更をすると場所の情報が変わるため、きちんとした明示が必要です。毎回やっていると、場所の提示だけでは「そこがどんな場所だったか」ということで混乱が生じるかもしれません。
さらに一人称で視点変更をすると、「誰の視点なのか」ということも考えなければいけません。
一人称の視点変更は推奨されるものではありませんし、慣れていないうちはやらない方がいいでしょう。ただ、「どうしても物語に必要」「そういうコンセプト」という話もありますから、その場合はきちんと、「誰の視点か」をはっきりさせるようにしましょう。
また、視点変更する人数が多すぎると、せっかくのメリットが全部死んでしまいますから、最初は多くても二人までにした方がよいでしょう。
個人的に視点変更が多い作品があまり好きではないのですが、別に視点変更自体が悪いわけではありません。一番気になるのは、視点変更のタイミングです。
例えば、誰かの話の途中なのに別の人の行動シーンが入ったり、戦闘中に関係ない場外の話が割り込んだり、よくわからないタイミングで回想シーンが入ったり、そういったものです。
あまり話の途中で視点がコロコロ変わると、読者の混乱を招きますし、話の流れをぶった切られてしまいます。
基本的には、その場面での行動が終わったり、話のキリがついたりしたところで場面転換、視点変更をした方がよいでしょう。
いろんな作品を読んでみましたが、結構「何故そこで視点を切り替えたの?」と思う場面があります。もちろん、なんらかの効果を狙ったり、必要性があっての視点変更なら良いのですが、どうも「何も考えずに視点をコロコロ変えている」ような作品が多い気がします。
基本的には、視点変更は話のキリが付いたところで行った方がいいでしょう。