オンライン小説「人気投票化」の闇
オンライン小説といえば、好きな小説をブックマークしたり、ポイントを入れて応援したりすることが出来るサイトが多いと思います。また、コンテストにおいても、読者による投票や読者数によりポイントが決まり、一番多い作品に読者賞が与えられることがあります。
その他、読んでくれた人の人数が分かるPV数が分かるところもあり、作者のモチベーションにつながるきっかけになります。
ただ、このポイント制度、どうしても人間の操作が加わるため、純粋に人気を比べるにはいろいろと不備があります。というのも、ポイントの投票権が「一人一回」ではなく、「一アカウント一回」であるため、複数アカウントによる票操作が出来るからです。
基本的にはポイントが高い方がおもしろい作品ととらえられますが、複数アカウントで水増しされてしまった作品は、面白くなくても上位になってしまいます。ポイントでランキングを取っているサイトは、そういった作品が上位に表示されてしまい、読者はそれを「おもしろい作品」ととらえてしまいます。
もちろん本当におもしろい作品は、読者がさらにポイントを追加して上位をキープするのでしょうが、水増しされて上位に入った作品も、読者の目に触れる機会が多くなり、ポイントを得やすくなります。下位の作品はまず読者の目に留まる機会が少なく、ポイントを稼ぎづらくなってしまいます。
どんなにおもしろい作品を書いても、目に触れる機会が少なければそれだけ読んでもらえなくなります。そのため、「目に触れる機会を増やす」ことはとても重要なことなのです。
ポイントの水増しについては、各サイトでいろいろと対策されています。しかし、それでもどこかに抜け道があるわけで、完全に止めることはできません。個人での対策はもっと難しいでしょう。
ですから、ポイントについては、ひとまず考え方を変えるしかないでしょう。
第一に、「相対評価としてとらえないこと」です。要するに、「あの作品より自分の作品の方がポイントが低いから、自分の作品は劣っている」と思わないことです。
当然ながら、総合ランキングレベルだと人気作品は面白いものが多くなります。しかし、日間ランキングレベルだと、たった一人の投票で随分と順位が変わることも考えられます。
ましてや、前述の通り、ポイントを水増しする連中もいるわけです(総合は入らずとも月間、四半期は入っている可能性はある)から、他の作品と自分の作品のポイントを比べないことです。
第二に、「ポイントがもらえる=読者がいる」と考えることです。自分の作品をブックマークしてくれる、あるいは評価してくれる、ということは、「読者がいる」ということです(もちろんPV数でもわかります)。
水増しでない、読者が入れてくれた評価というものはきちんとした評価のはずです。それをモチベーションとして取り組む、というプラス思考で行きましょう。
第三に、「コンテストはポイントが重視されるとは限らない」と思うことです。「小説家になろう」では様々なコンテストが開催されており、0ポイントの作品でも審査通過することがあります。
これはすべての作品に対し、審査員がきちんと目を通していることを意味します。おもしろくない水増し作品なんて、簡単にはじかれます。
第四に、「ポイント自体は利益を生まない」と考えることです。確かにポイントが高いとランキングに載りやすくなり、おもしろい作品だと思われやすいでしょう。
しかし、ポイントが多いからといって、それがお金になったり、規定ポイントをためると特典があるとかでなければ、ただの「称号」のようなものでしかありません。
もちろん、アルファポリスのように、ポイントをためることで出版申請が出来るというところもあり、そういったところでは重要になってきます(が、アルファポリスで得られるのは「申請する権利」であり、出版が確約されるものではない)。ただ、そうでなければ気にすることもないでしょう。
気にするな、と言われても気になってしまう評価やポイント、PVなどですが、これらはあくまで「目安」であり、宣伝の仕方や知り合いの多さなどで随分と変わってくるものです。
どうしても自分の作品の正当な評価が知りたければ、公募に出してみることです。特に講評がもらえるところでは、自分がどのようなレベルにあるか、きちんと審査してくれますから。