レーベルカラーとカテゴリーエラー
出版社には、それぞれ得意な分野と不得意な分野があります。
例えばラノベ系統が得意なところがあれば、推理もの、ミステリーが得意なところもあり、あるいはエッセイやノウハウものが得意なところもあります。
また、同じラノベでも、異世界物が得意だったり、日常系が得意だったりと、細かく分かれていることがあります。
出版社の得意分野は、その分野の物を売るノウハウがあり、書籍化する際に「どうやったら売れるか」「どういう編集したら読みやすくなるか」というものを知っています。また、「その作品が売れるかどうか」ということも詳しいはずです。
コンテストや公募で、出版社ごとにテーマやお題が決められているのは、出版社ごとの得意分野に合わせた作品を募集します。そうした方が審査がしやすいですし、「売れる」「売れない」の判断が付きやすいのです。
以前、「お題やテーマを大切にする」ということを書きましたが、コンテストではいくらおもしろくても、お題に沿った作品でなければ落とされてしまいます。そうでなければ、お題を出す意味が無くなりますから。
また、特にお題指定がなくても、出版社ごとに得意な分野があるために、その出版社が得意とする分野について書いた方が、選考では有利になるでしょう。得意ではない分野は(明らかにおもしろければ問題ないですが)、おもしろいかどうか判断が付きにくいからです。
趣味で書く分には、お題もテーマも、文章の長さまでもが自由です。
しかし、コンテストや公募に出すということは、「商品にする作品を作る」ということになります。
商品は購入者(読者)の需要に合わせるとともに、出版社の「こういう商品を出したい」という要望にも応えなければならないことになります。
いうなれば就職活動における面接のような物で、「自分はこういうものが書けるのだ」というアピールが必要となります。出版社が必要としていることを満たしていなければ、審査通過もままならないわけです。
逆に言えば、実力があり、話がおもしろいにも関わらず審査に通らなかった場合、その作品はそのコンテストにとって「カテゴリーエラー」で落とされた可能性があります。ということは、他のコンテストに出せば入賞することだってあり得ます。
コンテストに出すなら、まずは相手を知ること。そして自信作なら他のコンテストにも応募してみること。
とにかく、いろいろやってみなければわかりません。世の中、どんな作品がうけるかわからないですから。