「一文一動詞」を意識してみる
私の小説を読んでいただいたとある人からの指摘で、「フィーカスの文章は一文でまとめすぎている」というものがありました。
どういうことかというと、「一文で人物の動きをすべて描写しようとしている」ということです。
具体的に例を挙げるなら、
「彼女は涙を流しながらコップを手にし、歌いながら酒を飲んだ」
というような感じです。
例文の中には、「(涙を)流す」「(コップを)手に取る」「歌う」「(酒を)飲む」というように、動詞が4つも含まれています。これにより、(例文は短いですが)冗長な印象を受けてしまいます。
これが一文が長くなりやすい人の特徴になっているのではないかと考えられます。基本的に一文が長くなりすぎると、読者が休む間もなく読み続ける必要があり、疲れてしまいます。
ですから、「一文は60文字程度」と言われるように、長くしすぎない方がよいのです。
文章が長くなる人は、私と同じように一文ですべての描写をしようとしているのではないかと思います。ですが、読み返してみると、やはりイメージ的に冗長に感じてしまうでしょう。
そうなってしまう理由として、おそらくは「同時に動いていることは一文でまとめないといけない」という思い込みがあるからだと思います。なので、先ほどのような、「AしながらBし、Cした」のような文章になってしまい、思ったよりも一文が長くなってしまうわけです。
そこで、そういったことをなくすために、「一文一動詞」を意識して書くという方法があります。つまり、「一つの文に一つしか動詞を使わない」と決めて書くわけです。
そうすることによって、意図せずに長くなることを避け、適切なところで句点を打って区切ることができます。
ただ、あまりやりすぎると今度は細切れすぎて理解しにくくなりますし、「そして」「また」「さらに」などの接続詞が続くことになり、テンポが悪くなる可能性があります。
ですから、どうしても「AしながらBする」という表現にしなければならない場合は、無理に一文一動詞にしなくてもよいでしょう。
ちょっと意識を変えるだけでも、読みやすさは格段に上がります。
今回は私の指摘事項でしたが、いろんな人に読んでもらったり、いろんな人の作品を読んだりして、どこがどう違うのかを比べてみるとよいでしょう。
その中で、「読みやすい」と思った書き方を真似してみると、より読者に優しい作品になるのではないかと思います。