「読者層」を意識する
一口に読者といっても、いろんな人がいます。
小さい子供や学生社会人、あるいは定年退職した高齢者もいるでしょう。
また、性別も男性だったり女性だったり、様々です。
万人に好まれる文章が書けるならそれに越したことはないですが、なかなかそういう文章を書くというのは難しいものです。
多くの人は、「こういう人に読んでもらいたい」ということを考えながら書いているのではないかと思います。例えば、恋愛小説なら十代二十代の人向けだとか、ファンタジー物なら学生向けだとか、歴史物なら少し年齢高めの人だとか、そんな感じです。
自分が書ける文章の範囲が決まっている以上、どの読者に向けて書くのかというのは結構重要な事柄です。
極端な話、童話に難しい言葉や漢字を大量に使って、ルビも振っていなければ子供は読んでくれないでしょうし、難しい話なのにひらがな表記だと大人には読みづらいでしょう。
読者にはそれぞれ「好きな文章」や「読みやすい文章」がありますから、それに合わせた書き方や設定をしていった方がいいでしょう。でないと、ストーリー自体は読者層にあってるのに、書き方のせいで共感できない、という状況になってしまいます。
比較的簡単に読者層を合わせるのは、「自分と同じ年齢層を意識すること」です。つまり、自分が読みやすい文章や話を書けば、大体同じ年齢層の人は読みやすいだろうということです。
ただ、精神年齢や語彙力などもあるので、そこらへんの加減は注意する必要はあるでしょう。
具体的にどういうところに注意するか、少しだけ考えてみました。
・登場人物の年齢、性別
主人公、あるいはヒロインや、メインキャラクターは、出来るだけ読者層に近い方が共感を得やすいでしょう。
ライトノベル系統では、特に学生が多いので、中学生や高校生を主人公やメインキャラクターに置くとよいでしょう。
実際、ライトノベルの主人公の大半は、高校生であることが多いのが分かると思います。読者層に合っているというのもありますが、学生は大人も経験したことがあるものなので、共感を持ちやすいのです。
筆者にとっても、自分の学生時代と重ね合わせながら書くことができますので、書くのも調べることが少なくて楽になるでしょう。
童話については、子供が主人公だったり、動物や物を擬人化したものが多いと思います。これも、子供目線に立って話が進められるので子供が理解しやすいですし、擬人化はその「物」がどういうものかを理解するのに便利な方法です。
・漢字の開き方を変える
漢字の多さも、読みやすさに関係してきます。
漢字が多い文章だとなんとなく硬いイメージができますし、少ない文章だと柔らかいイメージになります。
大人の読む文章であれば、変換できるところは漢字変換してもよいでしょうし、中高生向けであれば、読みが難しい漢字はひらがなにしてもよいでしょう。童話であれば、簡単な漢字以外は全部ひらがなにしてしまうのもありです。
いずれにしろ、読者の想定年齢には読みづらいと思われる漢字や、普通の読みでは読めない漢字にはルビを振った方がいいでしょう。
・表現の仕方
読者の想定年齢が低い話に、やたら難しい二字熟語や四字熟語、慣用句を乱発されると、読む方は頭が痛くなってしまうと思います。また、想定年齢が高い話に、やたら回りくどい表現を使うと、読者は「なんでこんな書き方するのかな」と思ってしまいます。
想定読者の年齢層によって、どのくらい難しい表現を使うのか、というのを変えていく必要があるでしょう。
漢字や表現については、登場人物の年齢や知識の描写にも使えます。例えば難しい表現を使うと、実年齢や精神年齢が高いと思われますし、ひらがなを多用すれば実年齢や精神年齢を低く見せることができます。
文字の世界では、どんなに話が面白くても、理解してもらえなければ意味がありません。想定読者を設定し、その年齢層や性別に合った表現で統一することで、より読みやすい文章になるでしょう。