登場人物の設定はどこまで作るのか?
物語を進めるにあたって、登場人物の設定はきっちりと決めておかないと、途中でキャラがぶれたり他のキャラとごっちゃになったりして、その登場人物のキャラがはっきりしなくなってしまう恐れがあります。
じゃあ最初からガチガチに全部決めてしまうのがよいか、というと、そうでもないと思います。
何故かと言うと、「登場人物は物語の進行とともに成長するから」です。
もちろん短編や掌編など、文章量的に長くない話の場合は、最初からガチガチに決めてしまった方がいい場合もありますが、長編で登場させる登場人物に対しては、「設定していない部分」も作っておいた方がいい場合があります。
例えば、物語序盤で大して重要ではないのに、登場人物が謎の特技を披露したり、家族が最初から明らかになっていると、後半で使える設定が少なくなってしまいます。これらを伏線にする場合はよいですが、必要なければ必要ないプロフィールは隠した方がよい場合があります。
例えば、「兄弟がいる」など、ある程度あいまいな表現で序盤はとどめておくことで、物語中盤や後半でその「兄弟」を登場させる際、進行状態によって兄なのか弟なのか、はたまた姉なのか妹なのか、という選択肢ができるわけです。
最初から、例えば「弟がいる」と断言してしまうと、物語の進行も「弟」という縛りが出てきますし、物語の進行上女性の登場人物が都合がいい場合に、別の登場人物を新しく設定する必要が生じてしまいます。
登場人物の設定として、最初にほしい事柄と言うのは、
・キャラクターを固めるための設定(容姿、服装、話し方、口癖など)
・序盤の物語の進行上必要な情報(職業、行っている学校、住んでいる場所、交友関係など)
・物語中盤から終盤での伏線
くらいなのです。他の項目については、必要に応じて設定していけばよいのです。
最初から登場人物のキャラをガチガチに固めてしまい、プロット上でもその設定をしっかりと活かせるような書き方ができる人は、最初からキャラを固定してしまってもいいでしょう。しかし、少しずつストーリーを練っていく人の場合、最初にキャラをガチガチに固めてしまうと、「あぁ、この設定が邪魔になる」という場合が出てくる可能性があります。そうなると、最初から文章自体を見直して、設定を変更して矛盾した場所を探して書き直す必要が出てくることがあります。
利点も欠点もありますが、自分のスタイルに応じて登場人物の最初の設定を考える、ある程度いろいろ設定が考えられように、あえて設定しない部分を作る、ということも大切でしょう。