137 ラティファのテントで寝ることにしてみた
「まだ夜は明けてないわ。体力回復するためにも水分取ってハリーは寝た方がいいわよ」
ラティファは俺に水を入れたカップを渡してくる。
俺はその水を飲んで喉を潤した。
「俺はどのくらい意識を失って寝ていたんですか? ラティファさん」
もし意識のない間に数日間経っていたらルイーフ王子たちを追ってイデンに行くのを急がねばならない。
その可能性も考えて俺はラティファに尋ねた。
「ハリーを助けてからまだ数時間しか経ってないわよ。それに私のことはラティファって呼んでいいわ」
「まだ一日も経ってないんですね。良かった」
俺はホッと胸を撫で下ろす。
「その様子だとどこかに急いで行く必要でもあるの?」
「あ、はい。イデンに俺の仲間たちが向かっているのでイデンまで行かないとなんです」
「イデン? まだそれなりに距離はあるわよ。イデンまでは貴方を送って行けないけど近くの町まででいいなら明日送ってあげるわ」
「それってタファールの町ですか?」
タファールの町で謎の襲撃者に襲われた俺はタファールには戻れない。
しかもまだ襲われて一日も経っていないのだから。
「いいえ。だってハリーはイデンに行きたいんでしょ? それならヘルドラドの町に案内してあげるわ」
「ヘルドラド? そこを通ればイデンに行けるんですか?」
「もしかしてハルファ王国を旅するのは初めてなの?」
「はい。地図とかの荷物は仲間たちが持っている俺の荷物の中に入れっぱなしでイデンまでの道が分からなくて…」
俺の荷物はラザック隊長が持っていてくれるだろう。
ラザック隊長には「逃げ延びたらイデンに向かう」と言っておいたし。
「ここからイデンに行くにはいくつか行き方があるわ。ヘルドラドに行ったら地図を買って道を調べればいいわ」
「分かりました」
とりあえずお金はあるから地図は買えるだろう。
それにできれば服も買いたい。さすがに今の服装では砂漠の旅は危険だ。
「着替える服も持ってないようだけどなんでそんな軽装で夜の砂漠にいたの?」
「えっと、タファールの町で暴漢たちに襲われて砂漠まで逃げたら迷ってしまって…」
訓練を受けた暗殺者みたいな奴らに襲われたことを話したら俺の正体を疑われるもんね。
ここは単なる暴漢から逃げたことにしておこう。
「ふ~ん、それは大変だったわね。でも流浪の砂漠の民でもないのに単身で夜の砂漠に逃げるのは暴漢に襲われるより危険よ。これからは気を付けた方がいいわよ」
ラティファは呆れたように俺に注意してくる。
どうやら俺の言い分を信じてくれたようだ。
それにしても「流浪の砂漠の民」って誰のことだろう?
ラティファはその「流浪の砂漠の民」なのかな。
「ラティファは「流浪の砂漠の民」なの?」
「そうよ。私はこの国では流浪の砂漠の民と呼ばれる「エシア」の民よ」
「ハルファ王国の民とは違うの?」
「う~ん、大きな意味ではハルファ王国の民だけど私たち「エシア」は定住地を持たないで砂漠のオアシスを転々としながら生活している民なのよ」
そうなのか。それなら他にも近くに同じエシアの民がいるのかな。
このテントには他の人間はいないがテントの外を見ていないので他に同じ民がテントを張っている可能性はある。
「テントの外には他のエシアの人がいるの?」
「いいえ、いないわ。エシアは基本的に成人したら単独で生活するの。まあ、同じオアシスを共用していることも多いから他のエシアにそういう場所で会うことはあるけどね」
「そうなんだね。一人で砂漠で暮らすって寂しくない?」
「別に。そういうものだと思っているから寂しくないわ。さあ、そろそろ寝なさいよ、ハリー」
「うん」
さっき自分の身体を確認した時はおかしな感じはしなかったけど休める時に休んでおかないと身体が持たなくなるかもしれない。
俺は横になって眠りにつくことにする。
すると呟くような声が聞こえた気がした。
「フフフ、いい男を捕まえたわ♡」
いい男?
その言葉に疑問を持ったが強烈な睡魔に襲われ俺は眠りに落ちた。
俺は女を抱いている夢を見ていた。
夢だと分かったのは抱いている女の顔が見えなかったからだ。
う~ん、やっぱり女の中って気持ちいいなあ。
夢の中なのに俺の下半身は温かく心地いい感覚を俺に伝えてくる。
ああ、このまま出しちゃいそう。
「ん?」
俺の意識が浮上してきて俺は目覚めた。
しかし夢で女を抱いていた気持ち良さをまだ股間に感じて俺は寝たまま自分の下半身を見た。
「わああ!?」
そこには剥き出しになった俺の開いた両脚の間にラティファの姿がある。
「もう少し寝てても良かったのに。起きたなら遠慮はいらないわね」
ラティファは俺の欲望を刺激してきた。
う! 気持ちいい!




