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俺は皇帝を辞めました~皇帝を辞めた俺は欲望のまま気の向くまま女とヤリながら生きていきます~  作者: リラックス夢土


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135/144

135 襲撃者の正体を考えてみた



 しばらく赤馬で夜の砂漠を走った後に俺は追手が来てないか後方を確認した。

 後方には人影はない。どうやら黒服の男たちから逃げ切ることができたようだ。



「ふう、とりあえず助かったな。でもこれからどうしよう」



 だいぶ砂漠の中を走ってきたようで後方にはタファールの町の明かりは見えない。

 だが、たとえ明かりが見えてもタファールの町には戻ることはできない。


 黒服の男たちの狙いは明らかに俺にあった。

 なのでノコノコとまたタファールの町に戻ったら奴らは俺を狙ってくるだろう。


 あの男たちが俺を狙ったのは俺がジルヴァニカ帝国の皇帝だと知ってのことかは分からない。

 皇帝として命を狙われるなら俺にはいくつも心当たりはあるがそう思うと腑に落ちない部分はある。


 ここは西大陸だ。ジルヴァニカ帝国のある中央大陸なら周辺の国からの暗殺者とも考えられる。

 いくら友好条約を周辺国と結んでいてもジルヴァニカ帝国の皇帝を暗殺しジルヴァニカ帝国を我がモノにと考える輩はいるだろう。


 しかしわざわざ西大陸まで俺を追って暗殺者を送る国があるだろうか。

 少なくとも表向きは俺は病気療養でジルヴァニカ帝国の皇宮にいることになっているのに。


 俺が西大陸で旅人のハリーとして旅をしていることを知っているのはおそらくセルシオとラッセンド宰相とローゼン将軍だけだろう。

 セルシオが皇帝になりたくて俺を暗殺しようとしてもそれは無意味なはずだ。


 皇帝としての俺を葬りたいなら一言『ザカルド6世が病気の為崩御』と発表すればいい。

 俺は『皇帝を辞める』という手紙を残したし、俺が死亡扱いになればセルシオが皇位を継いで終わりだ。


 後で俺が再び皇帝に戻ると皇宮に行ったところで「先代陛下を名乗る不届き者」として処罰してしまえばいい。

 多くの国民は俺の素顔を知らないのだから納得するだろうし顔を知っている一部の人間には「他人の空似」で押し通せば問題ないはず。


 そもそもセルシオが俺を殺してまで皇帝になりたいなんて思うはずがない。

 俺が冗談でセルシオに皇帝位を譲ろうかって言ったら真っ赤な顔で「兄上以上の皇帝はこの世界にいません!」って怒られたぐらいだし。


 ラッセンド宰相やローゼン将軍がもし自ら皇帝位を望んでも彼らは皇族ではないから皇位継承権を持つ全ての者を内乱でも起こして処刑しない限り無理だ。


 それに二人と付き合いの長い俺には分かる。

 ラッセンド宰相もローゼン将軍も野心家ではない。


 今の宰相の位や将軍の位も俺に頼まれたからやっているに過ぎない二人なのだ。

 そんな二人が内乱を起こしてまで皇帝位を狙うとは考えにくい。


 すると俺が西大陸を旅している情報を手に入れた誰かという可能性になる。

 それが中央大陸の周辺国なのかそれとも他にジルヴァニカ帝国内にいる俺の失脚を狙う誰かなのかは今の段階では情報がなくて分からない。


 あとは俺が皇帝ではなく「旅人のハリー」として狙われた可能性もあるがこちらは心当たりがあるようなないような。

 俺と関係を持った女が何かの理由で逆上して奴らのような暗殺者を雇ったことも否定はできない。



 う~ん、女は同意を得ても小さなきっかけで怒るのが女だし。

 女心は複雑だって本で読んだこともあるしなあ。


 

 ただ分かっているのは黒服の男たちは訓練された者であること。

 そして俺の命を狙っていることだ。



「今はあいつらが何者かは分からないけど今後も襲われる可能性を考えておかないとなあ。でもその前にこの砂漠から脱出すること考えるか」



 俺は自分の身に着けている持ち物を確認する。

 宿に帰って寝るつもりだったので今俺が持っているのはお金と身分証と護衛商会の会員証と愛剣ぐらいだ。


 外国では平民は身分証を絶対にいつも持ち歩いてなければならないと聞いていたので持っていたのだ。

 でもこれだけではこの夜の砂漠で過ごすには何の役にも立たない。



 う~ん、西大陸の地図も宿に置いて来ちゃったし。イデンへの道がよく分からないなあ。

 でもハルシンから北西の方角にイデンがあったのは覚えてるからとりあえず北西の方角に向かうか。



 夜の砂漠は寒いし昼間は暑くなる。

 水や食糧も今は持っていないので急いでどこの町でもいいから探さないと死んでしまう。



 そういえばローゼン将軍が夜に道が分からなくなったら夜空の星を手掛かりにして方角を確認しろって言ってたな。



 俺は夜空を眺めると今夜も綺麗な星空だ。

 その星空の中でキラリと大きく輝く星が見つける。



 あの星が確か北の方角にある星だったな。じゃあ、北西はこっちの方か。



 その場に留まると寒くて凍えそうなので俺は星の位置を確かめながら赤馬に乗り砂漠を進み始めた。




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