131 マルシアの踊りを見てみた
「分かりました。じゃあ、マルシアさんの酒場で踊り子のショーを見せてください」
「ありがとう! ところでお兄さんのお名前は?」
「俺はハリーです。ハリーって呼んでください」
「私もマルシアって呼んでいいわよ。じゃあ、お店に案内するわ」
マルシアは俺を小さな酒場に案内してくれる。
建物は小さいが中は綺麗な装飾をされていて雰囲気はとてもいいお店だ。
そしてお店の中には小さな舞台がある。
俺の他にお客はいない。
だがお店で働いている人らしき男が二人いる。
「このお店の最後のお客様を連れて来たわよ。お酒と音楽の準備をしてちょうだい」
俺が席に着くと一人の男がお酒を出してくれる。
そしてもう一人の男性は楽器を持って準備を始めた。
「それじゃあ、ここでお酒飲んで待っててね。私は踊り子の服に着替えて来るから」
「うん。分かったよ」
マルシアはお店の奥へと消える。
大きなお店のショーもいいけど貸切りでマルシアが俺の為に踊ってくれるのは楽しみだな。
やがてマルシアが踊り子の衣装に着替えて舞台に上がった。
踊り子の衣装は金色と赤色が混ざった派手なもので胸と下半身は衣装で隠れているけどお腹の部分に布はない。
そして衣装には小さな鈴が付いているのかマルシアが身体を動かすとシャランっと鈴の音が響く。
顔にも薄いベールをつけてマルシアは俺の方を見てニコリと魅惑的な笑みを浮かべた。濃い紅をつけた唇が扇情的に感じる。
ポロ~ンと楽器の音楽が流れてマルシアは舞台で踊り出す。
腰をくねくねと動かしながら踊るマルシアの姿はとても綺麗だ。衣装についた鈴がシャランシャランと音を立てる。
大きなお店で見る踊り子のショーも凄いんだろうけどマルシアの踊りも素敵だな。
マルシアはスラリとした身体つきだから動きにしなやかさがあるし。
俺はお酒を飲みながらマルシアの踊りを楽しむ。
踊りながらマルシアは何度も俺の顔を見ては意味有り気な視線を送ってくる。
やがて曲が終わるとマルシアは俺に頭を下げた。
「素晴らしかったよ! マルシア」
拍手をしながら俺はマルシアに声をかける。
するとマルシアは舞台から踊り子の衣装のまま俺の席までやって来た。
「今日はこのお店の最後のお客になってくれてありがとう、ハリー」
「俺の方こそマルシアの踊りを見れて楽しかったよ」
「ちょっと待っててね。ハリーには特別なおもてなしもしてあげるから」
特別なおもてなしって何だろう?
マルシアは二人の使用人の男たちに何やら話をして小さな袋を渡している。
二人の男たちは袋を貰うとマルシアに頭を下げてお店を出て行った。
するとマルシアはお店の扉の鍵をかけてしまう。
あれ? もうお店を閉めちゃうのかな。
マルシアが自分のお酒を持って俺のテーブルに戻ってきた。
「マルシア。もうお店を閉めちゃうの? まだ他にお客が来るかもだよ」
「いいの! このお店の最後のお客はハリーって決めたんだから。さあ、私とお酒を飲みましょう!」
お酒の瓶から俺のグラスにマルシアはお酒を注いでくれる。
まあ、いいか。マルシアとゆっくりお酒を飲めるのも楽しいもんね。
俺の隣りに座ったマルシアは自分のお酒を飲みながら俺の顔を見つめた。
「ハリーは旅人なの?」
「うん。これからイデンまで行くんだ」
「そうなのね。じゃあ、ハリーとは本当に今夜だけしか過ごせないわね」
「そうだね。明日には俺は出発しちゃうから」
「それならハリーに忘れられないタファールの想い出を作ってあげるわ。こっちに来て」
「え?」
マルシアが俺の手を掴み俺を先ほどマルシアが踊っていた舞台の上に連れて行く。
この舞台の上で何するんだろう?
するとマルシアはいきなり俺に抱きつき口づけをしてきた。
俺の口内にマルシアの舌が侵入してきてお互いの舌が絡まる。
クチュクチュと淫らな音が舞台の上に響く。
一度唇を離したマルシアは俺の瞳を見つめながら囁いた。
「ハリーに踊りを教えてあげるわ。舞台の上で踊り子と踊りながら抱き合うなんてなかなかできないことよ。これは私からの特別なおもてなしよ。想い出に残るでしょ」
う~ん、特別なおもてなしってこれかあ。でも確かにマルシアの言う通りかも。
舞台の上で踊り子と踊りながらヤレるなんて普通のお店じゃできない経験だよね。
俺はマルシアのおもてなしを素直に受けることにした。
今度は俺からマルシアに口づけをしてマルシアを抱き締める。
マルシアの衣装についていた鈴がシャランと音を立てた。




