行方不明
朝になったら村の周囲がりっぱな塀で囲まれていたので、村中大騒ぎになっていたが、村長さん達のお陰で作ったのが、わたしだとはバレずに済んだ。
それからの数日は、毎日ミミと遊んだり、夜中に少し作業をしたりしてのんびり過ごした。
すぐにでも、お風呂を作りたかったけど、村長さんに村人達が落ち着いてからにしてくれと頼まれて泣く泣く諦めて、襲撃の後に作って良いと許可をもらった。
「ミミまだかな……」
今日はミミと川辺まで行って、ストレス解消のために、アルマンとフェニを自由に遊ばしてあげようと約束している。
「心配せずとも、すぐにくるじゃろうて」
この村には娯楽がないから暇で仕方がない。
携帯がほしい……
「心配せずとも、もうすぐ来るじゃろうて」
「まいさんは本当にミミちゃんの事が好きなんですね。まるで姉妹みたいです」
「ミミは可愛いからね」
わたしには兄弟姉妹はいなかったので、ミミみたいな妹がいれば、あっちの世界でも、なにか違っていたのかな。
そんな話をしていると、院長先生が家に息を切らして入ってきた。
「ま、まいさん!こちらにミミが来ていませんか!?」
いつも落ち着き払った院長先生が珍しく焦っている。
「院長先生どうしたの?ミミはまだ来てないけど」
「そうですか、ここにも……」
なにか嫌な予感がする。
「なにがあったの?」
「今日は私も村長さんに用事があったから、ミミと2人で一緒に来る予定だったのですが、朝から見当たらないのです」
「孤児院の子供達は?」
「仲のいい子にも聞いたのですが、同じく朝から見てないと言ってました」
「わたしも一緒に探すよ!」
「まいさんありがとうございます。私ももう一度孤児院の子供達に聞いて回ります」
わたしは院長先生と家の前で別れて、村の中を探し回った。
ミミの知ってそうな人に片っ端から声をかけるも、みんなミミがどこにいるか知らなかった。
「ミミどこにいるのよ……」
そういえば昨日ミミと別れる時、少しおかしかったような気がする。
『ミミはあの時、まいお姉ちゃんに出会えて良かったです。それにアルマンちゃんやフェニちゃんに会えたし、本当にありがとう』
昨日のやり取りを思い出すと動悸が激しくなる。まるで最後の別れの挨拶みたいじゃない!
なんで、わたしはミミのサインに気づいてあげなかったんだ!自分のことが嫌になるよ。
「ミミごめんね」
それからダルガに会って聞いてみたが、ダルガも今日はミミを見ていなかった。
事情を話すとダルガも探してくれると言ってくれたので、探すのはダルガに任せて、とりあえず、わたしは院長先生が戻ってきてるかもしれないので、1度村長さんの所に戻ることにした。
「院長先生、孤児院の子供達はどうだったの?」
家に戻ると院長先生が戻っていた。
「やはり子供達は知らないみたいです。まいさんは?」
わたしは下を向いて首を横に振った。
「そうですか……」
「院長先生。昨日ミミの様子はどうでしたか?」
院長先生がなにか思い出すように目をつぶる。
「そういえば昨日の夜ーーミミが珍しく私と一緒に寝たいと部屋に来ました。その時は甘えているのだと思ったのですが、今思えば少し変だったかと」
「やっぱり……」
わたしは院長先生に昨日のミミとの別れのことを話した。
「なにか些細なことでも良いから、この数日の間にミミの周りでおかしい事はなかった?」
「関係ないかも知れませんが、2日前にログスさんが孤児院に来られましたね。初めての事だったので驚きはしたのですが、深くは考えませんでした」
それだけではなにも分からないけどガマガエルが怪しいと思う。
「ログスさんが孤児院に来た理由はなんだったの?」
「それが、『わしも考えを改めて人柱の件は納得した。ミミと言ったか?その子には、酷い事を言ったので直接謝りたい』と仰ったのでミミを呼びに行こうとしたのですが、私にこれ以上迷惑をかけたくないから教えてくれれば自分で行くと言われて。最初は断ったのですが、丁度熱を出した子供が泣き始めてしまい、最終的にログスさんは1人でミミの元に行きました」
多分その時にミミとガマガエルとの間でなにかあったんだ。
院長先生と話をしているとダルガも村長さんの家に戻ってきたが、やたりミミは見つかってはいなかった。
そして、ダルガにも院長先生の話を聞いてもらった。
「ログスさんがなにか知ってるかもしれないから、とりあえず行ってみよう」
カーンカーンカーンカーンカーンカーン
「なんの音?」
村中に鐘の音が響き渡っている。
「これは……クソッ!もう来たのか!」
「タイミングが悪いとは、まさにこの事じゃの」
「だから!なにがあったのよ」
「まいさん!この音は魔物の大群が村の近くに来た事の合図です!」
村長さんが言った通りタイミングが悪すぎる。
「わたし1人でログスさんの所に行くから、ダルガは村の人達の避難を優先して!院長先生は孤児院に早く!」
ガマガエルの家は村に1件しかない雑貨店だから、場所は分かってる。
ダルガ達には、魔物達が来た時のために用意された地下に、村人達を避難誘導してもらったほうが得策だ。
わたしのワガママで誰も死んで欲しくないからね。
「ダルガは避難が終わったら村の門に来て!わたしもログスさんに会って話したら、すぐに向かうから」
「わかった!嬢ちゃんは、あまり無茶するんじゃねぇぞ」
それぞれが役割を果たすために出ていく。
「お嬢さん」
「村長さんどうしたの?」
出て行こうとしたら村長さんに引き止められた。
「もし、ログス君がなにか関係していても許してやってはくれぬか」
「それはログスさんに話を聞いてみないと、なんとも言えないかな。でもダルガにも言われたし無茶はしないようにするよ」
そう言って、わたしはガマガエルの店に全速力で向かった。
すれ違う村人達は、慣れているのか、そこまで混乱せずに警備隊によって避難している。
「あっ!お姉様」
宿屋の前を通ると部屋の窓からミカエラが声をかけてきた。
「ミカエラ!今話してる時間がないから、村の入口に集まってって伝えといてほしいの。よろしくね」
ミカエラに言うだけ言って宿屋をあとにした。
「あれだ!」
角を曲がると、目の前には大きな店があった。
そしてよく見ると店の中で従業員に向かって次々に指示をしているガマガエルを発見した。
避難する前で良かった。間に合ったみたいだね。
「ミミ待っててね。絶対に助けるから!」
まい「もうすぐ第1章完結です」




