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王女の命令で堅物将軍を騙すはずが、なぜか手を組んで反撃することになりました  作者: RiePnyoNaro


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7/10

その7『青年魔法使いハリー』

このまま何も盗まず出ていけば咎められない?


本をもって出ようとしたことをちゃんと謝罪すればいい?


そうよね?


民間人だし知らなくて当たり前!


大丈夫よね?!


決心して6番書庫に戻ろうとした。


ドアノブに手をかけようとすると、


キイッ


勝手に開き、ひとりの魔法使いの青年が入ってきた。


ベルは驚いて後ろに飛びのいた。


魔法使いの身に着けた長い黒ローブは襟元に金と銀と真珠で装飾されてる。


同じく華美な胸元の紋章は王室専属顧問魔法使いの中でも最上級魔導士の証だった。


紋章には『H.H』の文字が刺繍されてる。


まだ二十代半ばの漆黒のサラサラヘアに前髪ぱっつん、黒メガネに整った顔立ち。


その青年魔法使いがサッと杖をベルに向け


「どうやってここ入った?!」


眉を寄せ警戒した表情。


えぇっ??


杖???


って、私、攻撃されるのっ??!!


ベルは冷や汗・心臓バクバク・しどろもどろで


「え、ええっと~~~~

そのぉ~~~この書庫には面白い本がたくさんあると聞きまして、一度読んでみたかったんです!」


青年魔法使いはイラだったように


「嘘をつけっ!!

あり得ない!

書庫の扉には侵入者の魔力を調べる結界が張られている。

結界を無効化する道具か、何らかの術式を使ったのか?

それとも…」


青年はベルの全身を鋭く観察した。


「正体を現せっ!

魔物めっ!


イムペトスッッ!!」


叫ぶと杖の先から稲妻が迸(ほとばし)った。


青白い稲妻がベルの頬をかすめる。


チクッ!


頬に痛みを感じた。


ベルが頬に触れると、指に血が付いた。


「え?」


呆然とする。


青年魔法使いが怪訝な表情になった。


「本当に民間人…なのか?」


杖を降ろした。


「どういう方法でここに入った?」


呆気(あっけ)+キョトンで


「え?普通にドアノブを回して、扉を開けて、入りましたけど…?」


青年魔法使いが腕組みして考え込んだ。


すぐに顔を上げ


「どちらにしても君は罪を犯した。

民間人はここに入ってはいけない。

モチロン本を盗むなんてもってのほかだ!」


シュンと落ち込んだベルはハッ!とひらめいた。


明るい声で


「そうです!

私を牢屋に入れてください!

何年でも入ります!

牢屋に入ればもうこれ以上悪事をせずにすみますから!」


家族には申し訳ないけど、王女に命令され続けるよりはマシ。


罪を犯したのは事実だし、仕方ないよね。


これが私の人生。


王女に目をつけられたのが不運だった。


すっかり諦めていると青年魔法使いが目を丸くして


「はぁ?

自ら牢に入りたいだって?

なぜだい?」


ベルは困った。


王女の命令だってベラベラしゃべって大丈夫?


ただでさえエルンハルト将軍に打ち明けたのに。


ここは他の理由で乗り切る?


ベルが迷ってると魔法使いは拍子抜けしたように肩をすくめ


「もういいよ。

とりあえずここから出よう。

話はそのあとだ。」


青年が先に立って書庫を出ていく後ろにベルはついていった。


6番、5番、4番、……


と番号が下るにつれて集まる魔法使いの数が増えている。


1番書庫までくると部屋中にびっしり魔法使いが集まっていて、青年魔法使いが通る道のぶんだけ波がひくように人がいない。


「ハリーさん!その女は誰ですか?」


「民間人ですよね?」


「なぜ書庫に入れるんですか?」


「身元は?」


「F国のスパイでは?」


「魔物では?」


「捕まえて取り調べるんですよね?」


「魔法セキュリティが破られたんですか?」


次々と青年魔法使いに話しかけた。


ベルは怯えた。


ビクビクかつ緊張で思わず体が震え始めた。


大勢の人の前で断罪されるの?


魔法使い全員に責め立てられるの?


魔物?扱いっ??!!


F国のスパイ?


ってどういうことっ??!!


書庫に入っただけなのにっ!!


青年魔法使いハリーが口を開こうとすると、玄関の方からザワザワという声が聞こえた。


「道を開けろ!」


「学校長のお通りだ!」


「魔術学校長が来たぞ!」


集まった人垣がパックリ割れ、玄関からここまでを結ぶ道ができた。


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