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王女の命令で堅物将軍を騙すはずが、なぜか手を組んで反撃することになりました  作者: RiePnyoNaro


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その6『王室専属顧問魔術師の書庫』

王女に偽の軍事情報を手渡してから数日間、


ベルはビクビクしていた。


掃除に配膳、着替えの手伝い。侍女の仕事はいつもと変わらない。


何をしててもディアナの様子が気になった。


そして二人きりになった。


ディアナが冷ややかな声で


「次の命令よ」


ベルはコクンと頷いた。


ホッとした。


あの軍事情報の嘘はバレなかったのね?


王女が


「王室専属顧問魔術師専用書庫で盗みをしなさい」


え?


あの魔法学校を優秀な成績で卒業したエリートだけが所属する『王室専属顧問魔術師』だけが使える書庫で?


盗みを働く?


ベルは怖気づいた。


誰でも入れるのかしら?


王女が意地悪そうな笑みを浮かべ


「できるだけ奥の書庫から何でもいいから一冊盗みなさい」


ん?


?(ぎもん)で頭がいっぱいになり


「『奥』って書庫がいくつもあるんですか?」


王女はそっぽを向く。


手をヒラヒラして追い払う仕草。


「自分で調べなさい。もう下がって」


 

 調べればすぐに分かったのでベルはさっそく出かけた。


王室専属顧問魔術師専用書庫は王宮の隣にある。


ウナギのような細長い外観で灰白色の石壁に、細長い窓が並ぶ。


ベルは玄関の重厚な木製扉を開けて中に入った。


パンパンに本が詰まった本棚が列をなしてびっしりと並び、窓のある壁ぎわには長い机と椅子がある。


できるだけ奥の書庫?


ってディアナは言ってたわよね?


ベルは何気なくまっすぐ進んだ。


突き当りの扉に到着。


頑丈な木板を何枚も組み合わせ、強度を高めるための鉄帯(アイアンバンド)が植物の蔦や波のような美しい曲線に鋳造され、張り巡らされている。


『2番』と書いてある。


何番まであるのかしら?


ベルがドアノブに手をかけグイッと回すと、


ビシッ!


一瞬、火花が散り指に鋭い痛みがあった。


それでも抵抗なく開いた。


ベルは中に入った。


中は1番書庫と同様に、本棚が列をなしてあり、壁際には長い机と椅子。


さっきと違う。


椅子にすわって本を読んでる人がいる。


魔法使い特有の黒い長いローブを着てる。


襟元の装飾が豪華だから王室専属顧問魔法使いかもしれない。


ベルは戸惑った。


違和感が半端ない!


魔力ゼロの自分が入ってもいい場所??!!


ビクビクしながら通り過ぎると目が合った。


軽く会釈してさらに奥に進む。


3番書庫への扉。


同様に軽く火花が散り、ノブが回る。


ドアを開く。


同じ風景。


黒いローブ姿の魔法使いの姿も。


今度は3人。


熱心に書物を読んでる。


できるだけ奥っていうけどもういいかな?


ベルは怖気づた。


一番近くの書棚から近くにある本を引き出した。


表紙を見る。


深緑のベルベッド張りの本。


『運命の子のすべて』


という題名。


ちょっと興味がひかれた。


ディアナに渡す前に読んでみようかしら?


あたりを見回す。


3人の魔法使いは本に没頭してる。


侍女服のエプロンのポケットに本を隠した。


よし!今よっ!


ベルが3番書庫から2番書庫へ戻ろうと扉を開くと、


ジリリリリリリリリリッッッッッ!!!!!


けたたましい警戒音がして3人の魔法使いがベルを見た。


「えぇっっ??!!」


貸出し?とかは無理なのよね?


やっぱり窃盗になるのねっ?!!


心臓はバクバク!


背中は嫌な汗でジットリ!


警戒音を消したくて、ベルはポケットから本を取り出し、急いで元の書棚に戻した。


ジロジロ見る魔法使いたちに


「あの、その、持って出るのはダメなんですね?

知らなくって!

ごめんなさいっ!」


3番書庫から2番書庫へ続く扉を開こうとすると声が聞こえる。


「警報が鳴った!

中にいるやつは魔術師じゃないっ!」


「捕まえろっ!」


え?


焦ったベルは反対側の『4番書庫』へ通じるドアへ急いだ。


火花の出るドアノブには慣れっこ!


スムーズに通り抜けた。


そこには誰もおらずベルは一安心で考え込んだ。


『どうすればいいの?

持ち出すと警報が鳴るのね?

なら絶対無理じゃないっ!

まさか、窓から出ろって?

無理無理!

鉄格子になってるしっ!』


扉を隔てた3番書庫から声が聞こえた。


「何?4番書庫に入っただと?」


「民間人が?」


「嘘だろっ!」


「怪しいやつだ!」


「上級魔導士を呼んでこいっ!」


「でも誰なの?」


「知ってる?」


「いいえ。」


「変ね、上級魔導士なら顔を知ってるはずよね?」


ベルは余計焦った。


ヤバい場所?に入ってしまった!


逃げなきゃ!


急いで『5番』書庫の扉を開けて入った。


誰もいない。


4番書庫から


「おいっ!誰もいないぞっ」


「5番書庫かっ!」


「なんてやつだっ!」


ヤバッ!!


もっと奥へ!


ベルは走ってさらに『6番』書庫へ。


さらに走って『7番』書庫へ扉を開けて駆け込んだ。


その奥に扉は無く、そこで書庫は終わりだった。


7番書庫は明らかに異様だった。


木製の書棚や並ぶ書物の皮表紙は朽ちかけ古びてボロボロ。


羊皮紙を筒状に丸めたものも。


どれも埃をかぶっていて、手に取ると崩れ落ちそうにみえた。


窓は無く、ランプが弱々しくあたりを照らす。


深呼吸。


カビの匂いを吸い込み顔をしかめる。


ベルは落ち着こうとした。


扉の向こうから物音はしない。


追手が来ないので少しホッとした。


どうしよう?



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